暗黒のシーズン終わる

昨日を持って12球団の144試合、2014シーズンの全日程が終了した。

 

今期のライオンズの結果は63勝77敗4分。

借金14でパリーグの5位。

 

開幕3連敗でスタート。

一度も貯金を作ることもなく、一度も3位以上になることもなかった。

これ以上ない無様な結果である。

 

もちろんこの結果には、

4月までに伊原が作った借金が大きく影響したのは間違いないが

西武フロントは早目に手を打った。

就任1年目の6月での監督交代は異例中の異例である。

しかし、田辺体制となってから、一時的な持ち直しはあったものの長くは続かず、

結果5年ぶりのBクラス、9年ぶりの5位、そして5割以下に終わった。

 

田辺が伊原から引き継いだ際の借金は13。

最終的な借金は14。

西武フロントは5割近くの戦績を残した田辺を評価し、来期は田辺が正式な監督に就任するという。

であれば、この結果はひとえに伊原一人の責任ということなのか。

 

いや、そうではないだろう。

 

もちろん、伊原采配はおおいに問題がある。

ミクロの視点で見れば、伊原監督は今期の無様な結果に対してのA級戦犯あることには間違いない。

そんな伊原を任命したフロントの責任もあるだろう。

伊原から引き継いだあと、バント一辺倒の消極的な采配でビッグイニングを作れず、

継投を石井丈に丸投げしていた田辺の責任ももちろんある。

 

では今期の成績は稀代の愚将によるとんでも采配のせい、一時的な確変なのだろうか?

 

私にはとてもそうは思えない。

今期のような成績に落ち込む事態はいつ起こってもおかしくなかった。

そう遠くない未来にこうなることはわかっていた。

むしろ不可避の事態だったように思う。

この無様な戦績は「終わりの始まり」に過ぎない。

 

今年の夏ごろに週刊ベースボール誌上での「史上最強チーム」の特集で

関係者へのアンケートの結果、

栄えある1位に輝いたのが80年代から90年代にかけてのライオンズであった。

これに関しては異論のないところだと思うが、

その栄光の歴史はすでに20年前には崩れ始めていて、

ここで完全に終了したと見ていいだろう。

 

堤義明が同一リーグにライバルチームを欲し、ダイエーを強化した。

逆指名、FAを導入した際は、金満ライオンズの追い風となるはずだった。

 

しかし、経済がグローバル化していく中、

外圧等により企業の業績は単体ではなく連結での評価基準に切り替わっていき、

多分にグレーな部分がある堤王国は崩壊した。

逆指名は廃止されたが、FAに関しては国内だけでなくMLBへの戦力流出を加速させた。

球界は財力のある球団とない球団の戦力格差が激しくなり、今日に至る。

この流れの中で最も急速に落ちぶれていったのが残念ながらライオンズである。

 

伊原監督が稀代の愚将であるとすれば、渡辺監督は稀代の名将だったのだと思う。

現実が見えていない古老のライオンズファンは「渡辺では優勝できない」とギャーギャー文句を言っていたが、

であれば、と監督を代えて見た結果がこれだ。

 

いい加減わかっただろう。

過去は過去。

今のライオンズは球界屈指の貧乏球団でFA権を獲得した選手たちは皆、沈みゆく船から逃げ出して行く。

そんな中で金満球団と対等に渡り合い、Aクラスを維持することがどんなに大変なことだったか。

 

以下は自らの意思でライオンズを去った現役選手たちの名だ。

投手:松坂、涌井、サファテ、帆足

捕手:細川

内野手:ヘルマン、片岡、松井、中島

外野手:和田

仮にこれらの全選手が今なおライオンズに残っていたとしたら、

ソフトバンクも真っ青の巨大戦力である。

 

特に昨年は涌井、サファテというセットアッパーとクローザー、

ヘルマン、片岡といった1、2番タイプの走力のある右の内野手を失った。

近い役割の選手を二人ずつ失えば、そりゃ戦力も薄くなる。

涌井orサファテ、ヘルマンor片岡、どちらかだけでも絶対に残すべきだった。

しかもヤス以外の3人は同一リーグへの移籍である。

 

ライオンズのフロントから金をもらっているのか何なのか知らんが、

一部のライオンズファンは「サファテ以外は大した成績じゃないし」とドヤ顔で語っている。

じゃあ聞くが、今期のライオンズの右打ち二遊間の選手は林崎、美沢、浅村、渡辺、山崎らであるが、

ここにヤスがいた方がいいのか、いない方がいいのか。

ヤスより上と言えるのは将来性込みで浅村しかいない。

コスパが悪い?そんなことはフロントがどうにかすべきであって、ファンが考えることではない。

コスパが良ければライオンズが弱くていいのか?

浅村がいて、ヤスがいて、それでいて初めて直人さんや金子、永江との競争が始まる。

その競争こそがチームを強くしていくのだ。

 

今の浅村に競争はあるか?

今期の浅村は.273でHR14本。

悪い成績ではないが、これで不動のレギュラーであり、対抗馬もいないのが現状である。

これで強いチームになって行くのか?

 

昨日、メヒアの残留が発表された。

昨年サファテとヘルマンの流出の経験したチームのファンにとっては明るいニュースだ。

 

ライオンズのスカウトは今なお優秀だと思う。

育成も悪くない。

あとは流出をいか防ぐかだ。

 

次に重要なミッションは銀ちゃんの流出阻止。

 

そりゃ銀ちゃんは打てない。

一方対抗馬の森君は天才的なバッティングセンスを持つ。

 

ここで「だから銀はいらない」と言っていては強いチームは作れない。

 

何も金満チームのように高額FA選手を獲得して欲しいとか

他球団で戦力になっている外国人を引き抜いて欲しいなどとは思わない。

ただ、このチームで育って、

今現在戦力になっている選手を簡単に他球団に流出させることだけはやめてほしい。

 

今期ライオンズの観客動員は12球団ダントツで減少した。

弱かったから?それもあるだろう。

それ以上に弱くなった原因=選手の流出にしらけたファンが多かったことも一因にあると思う。

 

まずは既存の選手の引き止めに全力を尽くして欲しい。

監督がどうの、コーチがどうの補強がどうの、と言うのは、その後の話だ。

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