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苦節6年、山村路直のプロ野球人生の幕開け
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HiRO
2007年04月01日 19:20 visibility716
超高校級ルーキー田中将大の初登板。
その注目の1戦でプロ初勝利を手中にしたのは、そのスーパールーキーではなく、6年前のスーパールーキー、「未だ見ぬ大器」と呼ばれ続けた山村路直だった。
注目の田中将大の立ち上がり。
初回、1死から宗がアウトコースへの真っ直ぐをレフト前へ。打たれはしたが、いいボールだ。打った宗の巧さが光る。簡単に2盗を決めると、信彦がスライダーを痛烈にライト線へ。打球のスピードがもの凄い。タイムリー2ベースであっさり先制。
だが、Hawks先発ガトームソンも乱調。スピードもなく制球も悪い。
甘く高めに浮いたボールを痛打され、2回表、あっさり3点を献上、逆転を許す。
2回裏、ブキャナンのボテボテの打球をショートがスルーしてしまいセンター前に。ここからヒットと四球で2死満塁として、打席には再び宗。スライ ダーをことごとくカットし、カウント2-3。サインに首を振る田中将大。勝負球は真っ直ぐ。真ん中高めへ。打球が、1、2塁間を抜ける。ランナー2人が還 り同点。
さらに、多村の3番が機能する。左中間を破る走者一掃の2点タイムリー2ベースで、田中将大は降板。わずか1回2/3でノックアウト。
一方、多村は5試合を消化して既に9打点!
替わったインチェからも、信彦が1、2塁間を破るタイムリーを放ち、この回一挙5点。
だが、ガトームソンが相変わらず。毎回先頭打者を出塁させ、試合がもつれる。
3回に2点、4回には鷹野にソロHRを打たれ再び同点に。
Hawksは6回、大村のタイムリーで1点を勝ち越すも、7回、ガトームソンからスイッチした柳瀬が2死から2連続2ベースを浴び、三度同点に。
そこから試合が落ち着き、7-7の同点のまま迎えた9回表、2死で右の高須を迎えたところで、三瀬から山村へスイッチ。その山村が初球をセンター前へ運ばれる。続く塩川の打席で、高須が2盗を試みるも的場の好送球でタッチアウト。
その裏、3番多村から。期待の持てる打順。投手は牧野。が、多村、信彦と打ちとられ、簡単に2死。延長か?と思いきや、小久保はセカンド深い位置への内野安打。続く打席には柴原。
過去、優勝したシーズンには、こういう場面で決める柴原がいた。と思って観ていたら、その初球低めの変化球を振り抜きライトスタンドへ!
サヨナラ2ラン!
柴原がこういう活躍を魅せてくれるようだと頼もしい。
この長いゲーム前には、そのプロ初登板で注目を集めた田中将大。
この日の投球内容は、高校時代の甲子園でのそれからすれば、明らかに見劣りがした。あの決勝でのスピードもなく制球も悪い。外角低めにきっちりとコントロールされていた真っ直ぐもスライダーも見ることはなかった。
高めに抜けたスライダーをことごとくカットされ、最後には真っ直ぐを打たれる。僅か1回2/3。打者12人に対し57球。
ベンチに退き、ひとしきり悔し涙を流した頃合いを見計らって、ノムさんが横に呼ぶ。その話に頷きながらこの長い試合を観ることになった田中将大のプロとし ての第1歩は苦いものとなったが、プロの洗礼を浴びせたとはいえ、油断は禁物。プロの水に慣れ、甲子園でのピッチングをされれば、そう簡単には攻略できま い。
長きに渡るであろう鷹との戦いはこれからだ。いつの日か、松坂vs信彦のような鳥肌の立つ名勝負を魅せてくれることを願ってやまない。
負けが点かなかった、という意味で運も持っている。
終わってみれば、勝利投手は山村。九共大の先輩、柴原の一打によって、プロ初勝利が転がり込んだ。
この日、自分では1死も獲っていない。勝ち星に恵まれるときは、こんなもの。
「モノが違う」と言わしめた豪腕を武器に鳴り物入りでドラフト1位入団。だが、ルーキーイヤーの春から原因不明の右上腕部痛に悩まされ、肘痛や疲労骨折で右腕にメスを入れること7度。山村路直のここまでのプロ野球人生は、怪我との戦いに明け暮れた。
柴原のヒーローインタビューに沸く福岡ドームのロッカーに、号泣する山村の姿があったという。
おめでとう、山村投手。
苦節6年、7回の手術を越えた掴んだ1勝。山村路直のプロ野球人生が幕を開けた。
次は、自身の快投による勝ち星を期待する。
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- 事務局に通報しました。
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