「奇跡は起こすもの」
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HiRO
2006年07月20日 03:01 visibility47
Lions 5 - 9 Hawks
森脇監督代行のこのコメント以上の言葉はない。
「プロは毎日が特別な日だけど、それにしてもきょうは特別な日なんでね…。奇跡は起きるものじゃない。起こすものです。」
「奇跡は起こすもの」。この熱さこそが今のHawksを支える。
この日の午前、前日の王監督の手術について、主治医による会見があった。
病名は早期の胃ガン。7時間にも及ぶ腹腔鏡手術により胃を全摘出。
退院は術後10日ぐらいで可能。
王貞治は早速この日の朝には、スポーツ新聞に目を通し、楽天フェルナンデスの美しい打撃フォームを伝えるスポーツ紙の写真のコピーを「参考にしろ」と関係者を通じてファクスで送っていた。
王監督が病魔との7時間にも及ぶ戦いを制し、そのダメージからの回復を図ろうかという今なお、自分以上にチームのことを気にかけている。
ナインが、ベンチが燃えぬはずはない。
「今日は王監督にお祝いに勝利を捧げる。今日は絶対に負けられない。」
ナイン、ベンチ、ファン、全てが間違いなくそう思っていた。
ところが、稲嶺の犠牲フライで5回の裏に先制点を挙げるも、6回表に新垣が一挙5点を許してしまい、8回表を終わって4点のビハインド。
だが、森脇監督代行はいう。
「多くの人はこのまま終わると思っただろう。ただ、ベンチ内にはそういう雰囲気はみじんもなかった。」
8回裏、先頭の山崎の代打仲澤がショートの横を抜けるセンター前ヒット。ここから奇跡の幕があく。
続く大村がチョコンとショートの頭を越すレフト前ヒット。さらには宗もレフト前の痛烈なヒット。涌井は限界か、ストレートは棒球、スライダーにもキレがない。無死満塁。だが、将来のエース候補として、この試練を自ら乗り越えよ、ということか、Lionsベンチは動かない。
柴原の打球はまたもレフトを襲うライナー性のいい当たり。だが、突っ込んできたレフト高山の真正面。犠牲フライには厳しい......そう思った瞬間、高山がグラブの土手か手首当たりに打球を当て後逸。
2人が還り2点差、なおも無死2、3塁で涌井は降板、星野がマウンドへ。
打席には松中信彦。この日の1打席目の空振り三振などを見ていると臀部が痛むのだろう、下半身の粘りがない。そのためタイミングを外されると下半身で踏ん張ることなく泳ぎながらバットを振ってしまっている。
だが、ここは気合いが入っていた。3球目の緩いボール、痛みを気にせぬほどに集中しきった信彦の下半身がクッと溜まるや痛烈な打球がセンターへ抜ける。
タイムリーヒット。1塁へ走りながらガッツポーズ。さらには塁上でもう一度雄叫びを上げ、自らとナインを鼓舞するかのように2、3度、手を叩く。
1点差。
代わった石井貴を見下ろすかのような打席のズレータ。結局、四球で歩き、再び無死満塁。
続く本間にはストライク先行でいったん追い込むものの、そこからストライクが入らない石井貴。2-3からの1投は外の高めに大きく外れるボール。
押し出し!
遂に同点。この回4点を挙げ、なおも無死満塁。
続く辻が追い込まれながらも、石井貴の勝負球、決して失投ではないアウトコース一杯のスライダーに食らいつく。打球はレフト高山の前でワンバウンド、高山のグラブをかすめ後ろに。その間、2者が還って2点を勝ち越し。
さらには稲嶺の代打大道がライトに犠牲フライ、大村のセンター前タイムリーで、この回、一挙に8得点。
何て奴らだ!
ペナントレースにおけるこのゲームの意味、その大切さ。それ以上に大切な、特別なゲームとなった、その意味を1人1人が噛みしめて結実させた。
執念の決勝打を放った辻がいう。
「今日は絶対に負けられない試合。何としても打ちたかった。」
「初めて1軍に上がった時、王監督に『失敗してもいいから打席ではとにかく思い切り行け』と言われた。その言葉は今でも忘れられない。」
奇しくも、王監督の背番号と同じ、89試合目。
この劇的な勝利を意味あるものにするために、シーズンを振り返ったときにターニングポイントだったと言える勝利にするためにも、今季をリーグ優勝で、日本一で飾らねばなるまい。
とはいえ、Lionsもそう簡単に勝ち越しを許してはくれまい。
今日も目を吊り上げて戦うべし!
森脇監督代行のこのコメント以上の言葉はない。
「プロは毎日が特別な日だけど、それにしてもきょうは特別な日なんでね…。奇跡は起きるものじゃない。起こすものです。」
「奇跡は起こすもの」。この熱さこそが今のHawksを支える。
この日の午前、前日の王監督の手術について、主治医による会見があった。
病名は早期の胃ガン。7時間にも及ぶ腹腔鏡手術により胃を全摘出。
退院は術後10日ぐらいで可能。
王貞治は早速この日の朝には、スポーツ新聞に目を通し、楽天フェルナンデスの美しい打撃フォームを伝えるスポーツ紙の写真のコピーを「参考にしろ」と関係者を通じてファクスで送っていた。
王監督が病魔との7時間にも及ぶ戦いを制し、そのダメージからの回復を図ろうかという今なお、自分以上にチームのことを気にかけている。
ナインが、ベンチが燃えぬはずはない。
「今日は王監督にお祝いに勝利を捧げる。今日は絶対に負けられない。」
ナイン、ベンチ、ファン、全てが間違いなくそう思っていた。
ところが、稲嶺の犠牲フライで5回の裏に先制点を挙げるも、6回表に新垣が一挙5点を許してしまい、8回表を終わって4点のビハインド。
だが、森脇監督代行はいう。
「多くの人はこのまま終わると思っただろう。ただ、ベンチ内にはそういう雰囲気はみじんもなかった。」
8回裏、先頭の山崎の代打仲澤がショートの横を抜けるセンター前ヒット。ここから奇跡の幕があく。
続く大村がチョコンとショートの頭を越すレフト前ヒット。さらには宗もレフト前の痛烈なヒット。涌井は限界か、ストレートは棒球、スライダーにもキレがない。無死満塁。だが、将来のエース候補として、この試練を自ら乗り越えよ、ということか、Lionsベンチは動かない。
柴原の打球はまたもレフトを襲うライナー性のいい当たり。だが、突っ込んできたレフト高山の真正面。犠牲フライには厳しい......そう思った瞬間、高山がグラブの土手か手首当たりに打球を当て後逸。
2人が還り2点差、なおも無死2、3塁で涌井は降板、星野がマウンドへ。
打席には松中信彦。この日の1打席目の空振り三振などを見ていると臀部が痛むのだろう、下半身の粘りがない。そのためタイミングを外されると下半身で踏ん張ることなく泳ぎながらバットを振ってしまっている。
だが、ここは気合いが入っていた。3球目の緩いボール、痛みを気にせぬほどに集中しきった信彦の下半身がクッと溜まるや痛烈な打球がセンターへ抜ける。
タイムリーヒット。1塁へ走りながらガッツポーズ。さらには塁上でもう一度雄叫びを上げ、自らとナインを鼓舞するかのように2、3度、手を叩く。
1点差。
代わった石井貴を見下ろすかのような打席のズレータ。結局、四球で歩き、再び無死満塁。
続く本間にはストライク先行でいったん追い込むものの、そこからストライクが入らない石井貴。2-3からの1投は外の高めに大きく外れるボール。
押し出し!
遂に同点。この回4点を挙げ、なおも無死満塁。
続く辻が追い込まれながらも、石井貴の勝負球、決して失投ではないアウトコース一杯のスライダーに食らいつく。打球はレフト高山の前でワンバウンド、高山のグラブをかすめ後ろに。その間、2者が還って2点を勝ち越し。
さらには稲嶺の代打大道がライトに犠牲フライ、大村のセンター前タイムリーで、この回、一挙に8得点。
何て奴らだ!
ペナントレースにおけるこのゲームの意味、その大切さ。それ以上に大切な、特別なゲームとなった、その意味を1人1人が噛みしめて結実させた。
執念の決勝打を放った辻がいう。
「今日は絶対に負けられない試合。何としても打ちたかった。」
「初めて1軍に上がった時、王監督に『失敗してもいいから打席ではとにかく思い切り行け』と言われた。その言葉は今でも忘れられない。」
奇しくも、王監督の背番号と同じ、89試合目。
この劇的な勝利を意味あるものにするために、シーズンを振り返ったときにターニングポイントだったと言える勝利にするためにも、今季をリーグ優勝で、日本一で飾らねばなるまい。
とはいえ、Lionsもそう簡単に勝ち越しを許してはくれまい。
今日も目を吊り上げて戦うべし!
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- 事務局に通報しました。
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