1458日ぶりの帰郷

  • HiRO
    2007年03月04日 12:36 visibility65

背番号3がヒットで出塁。
ゆっくりと背番号9を背負ったその男が打席に向かう。その背中に注がれる温かな拍手と大歓声、ドームが沸く。遂に、この男が帰ってきた。

 


小久保裕紀。
2003.3.6、Lionsとのオープン戦以来、実に1458日ぶりの本拠地凱旋。

 

2003年、日本一の祝勝ムードを吹き飛ばした、球団を私物化するオーナーと球団社長による、チームの支柱の放出。以来、Hawksは優勝を逃し続けた。まるで呪いがかかったかのように。それはまさにHawksの黒歴史。

だが、背番号9を空けて待ち続けた王貞治と、そして、小久保裕紀本人の変わらぬ想いが、その呪いを解き、黒歴史の幕を閉じる。
ダイエーからソフトバンクへ、チームは変わった。ここからが、本当の意味での福岡ソフトバンクホークスの幕開けである。


一方、福岡をあげて小久保裕紀の復帰を歓迎する、そんなムードのなか、危機感をもって今季に臨む男がいる。
松田宣浩。
ルーキーイヤーの昨季は、使いながら育てる首脳陣の方針で開幕スタメンに名を連ねながら、打率.211、3本塁打と低迷、シーズン途中からはファームに。
与えられた開幕スタメンで結果を残せず、更に同ポジションに小久保が復帰。これで目の色が変わらないようでは、ユニフォームを脱いだほうがいい。
このオフは松中信彦のグアム自主トレに参加、キャンプ期間中やオープン戦が始まってからも、居残り志願で3冠王の指導を仰ぐ。
が、残念ながら前日までのオープン戦5試合で17打数2安打。しかし、内容は悪くない。
昨季は、外へのストレートや変化球に、面白いようにバットが空を切っていた。ドアスイングでバットが出てくるうえに、コースに柔軟に対応できるスイングではない。タイミングの幅も狭い。
が、今季ここまで観る限りは、だいぶ下半身を使って振れるようになっている。いわゆる「下から振れる」状態が作れつつある。結果が出てないとはいえ、野手の正面を突いたりしているだけで、鋭い打球を連発、ボールを捉えることは出来ている。その意味では、爆発の切っ掛けが欲しいところ。

小久保が福岡ドームに帰ってきたそのゲームで、その松田が結果を出す。
この日も、第1打席、第2打席共に外野フライで凡退。だが、いずれもフライというよりもライナー性の鋭い打球。それが野手の正面に飛んだだけで、あれが野手の間を抜けるようになれば長打になる。状態は悪くない。
2点ビハインドで迎えた7回、2死1、2塁の第3打席。初球、外よりのスライダー。レフトスタンド中段への逆転3ラン。


チームとしてもオープン戦6試合目にして初HR。
これを切っ掛けにノっていってくれることを期待したい。


この春、Hawks伝統の練習風景が復活した。
各球団のキャンプを訪れた解説者達が、一様に目を見張るその密度の濃い練習。1塁の信彦と3塁の小久保が競い合うように声を出し、それに引っ張られる若手。
チーム練習終了後も居残り特打は当たり前。信彦と小久保が並んで居残り特打やロングティーを行う光景は、2003年までのHawksキャンプの風物詩だった。

松田のライバルは小久保だけではない。江川、井手正太郎、仲澤......チーム内での競争こそがチームを強くする。Hawksの5年後には、彼らがスタメンに名を連ねていないと嘘だ。その時、チームが弱かったのでは話にならない。

秋山、小久保、松中、そして川崎、といったチームの先輩達が脈々と築いてきたチームの良き伝統、それを築いた小久保と、受け継いで次代を担うべき松田。
愉しみは尽きない。

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