攻撃野球の申し子

  • HiRO
    2006年07月13日 01:31 visibility120
Hawks 4 - 1 (ORIX)Buffaloes

攻撃的采配。
王貞治が見せる采配や代打策の冴え。継投においても攻撃においても、攻めずに後悔することを最も忌み嫌う。策を打って失敗するのはいい。だが、策を打つのを躊躇い、後悔するのは大嫌い。攻めダルマ。それが王貞治という監督。
それに輪をかけてアグレッシブな走塁を追求する3塁ベースコーチがHawksにいる。
そう、森脇現監督代行その人だ。

この日の1点目は初回、1死、2、3塁の場面。
ズレータの打球は浅いセンターへのフライ。タッチアップは微妙なところ。だが、こういうケースでは迷わずGoサインを出すのが森脇守備走塁コーチ。スタートを切る大村。ホームは微妙なタイミング。だが、捕手の後方から手でベースタッチ。ナイススライディング。
このあと、柴原の右中間を破るタイムリー2ベースも飛び出し、この回、Buffaloes先発平野から2点を先制。

同様のケースが6回にもある。
3ベースの稲嶺を3塁において、森本の打球は浅いライトフライ。ここでも、迷わずタッチアップ。ライトからの好返球に余裕で憤死。

一見、冒険に見えるこのタッチアップ。しかし、森脇守備走塁コーチの信号機は一貫して青信号。この攻撃性こそが、王貞治のもとで守備走塁コーチ兼、チーフコーチを務める森脇浩司という男の真骨頂。

確実に1点を求める発想で言えば、確かに一か八かのギャンブルである。
だが、常に、シーズンを通して終始一貫して、アグレッシブな走塁をすることによって、相手がそれを意識する。
タッチアップに限らず、本塁でクロスプレーになる場合、タッチアウトは、外野手がファンブルすることなく捕球し、いい返球を捕手に返し(場合によっては中継も入る)、捕手が絶妙のブロックをして走者にタッチをして初めて成立する。つまり、いくつもの要素、全てにミスなくプレーが継続した場合のみにアウトを取ることが可能となる。
常にアグレッシブな走塁を見せられた場合、相手の外野手は、常にそれを意識させられることになり、捕球してから急いで投げねばならないという焦りを生む。
その焦りが捕球ミスや送球ミスを生む。
こういうケースでHawksはチャレンジして来るという認識が、相手に焦りを与え、ミスを生じさせ、生還率を上げて行く。

これが、王−森脇ラインの終始一貫した攻撃的姿勢。
王貞治のいないベンチにあって、「我々には王貞治の血が流れていると言ってもいい」と言い切る熱き男、森脇浩司のこの超攻撃野球こそ、まさに王野球のDNA。

「レベルアップして監督にバトンタッチしたい」というこの男の熱さと選手達の一体感が実に頼もしい。

この日、先発したのは、奇しくも王采配最期となったゲームに復帰登板した新垣渚。復帰戦で王監督にウィニングボールを渡せなかった悔しさを、この復帰2戦目にかける。
「バテるのを覚悟で最初から飛ばした。」
「監督が完治を優先してくれた。もし1週間早く復帰していたら、今の自分はない。」
8回を投げ、僅か5安打。唯一の失点は、中に入ったスライダーを打たれたノリのHRのみ。
6回に唯一の連打を許し、2死1、2塁とするも、後藤を151km/hのストレートで圧しレフトフライに打ちとる。
8回には伝家の宝刀スライダーで2連続三振。
普段は飄々と投げる渚から気迫を感じた。

打線は、初回の2点に加え、4回にも山崎の技ありのタイムリーで、2塁走者森本が一気にホームインし3点目を追加。
その裏にノリのHRで2点差に追いつかれるも、8回のズレータの18号で勝負あり。

最終回、久々に馬原が登板。
このところ、登板過多からか、ストレート、フォーク共にキレを欠いていたが、しばしの休養で快復したか、この日はストレートにキレがある。
155km/hの高めのストレートにノリのバットが空を切る。3人で斬ってとりゲームセット。

信彦の離脱すら感じさせない快勝。
チームの「離・スタート」から投打がガッチリ噛み合って3連勝。

だが、まだまだ、こんなモンでは満足しない。
目指すは勝利を積み重ねた末の頂き。それを手にするまでは、更に貪欲に、更にアグレッシブに。王イズムの真の体現はこれからだ。

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