【NPB】 プロ野球中継と巨人戦中継
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DIME
2006年12月13日 15:47 visibility159
昨今、地上波で行われてる試合中継の視聴率低下が問題になるときにその試合は「プロ野球」ではなく「巨人戦」といわれる。
つまり中継する側にとって商品として売り出しているのは「プロ野球」ではなく「巨人戦」であるという認識があるということに他ならない。まさか都合のいいときだけこれはプロ野球だって言っておいて、視聴率低下とかの問題のときだけこれは巨人戦と言い出すこともあるまい。あれは「巨人戦」を中継している。
それを踏まえてもう1つ。
WBCのような国別対抗戦で日韓戦が行われるとき、同じ試合でありながら日本でその中継を行うならばもちろん主語が日本である実況・解説になるであろう。むしろ下手に中立な立場の報道を心がける方が心象的には相手寄りに思われてしまうことになる。当然韓国で中継されるならば韓国寄りになるのは止むを得ない。
なぜ2つのようなことが起きるかというと試合という「同じ商品」であっても、それを見る側の特性によってその商品は「違う商品」になるということである。
つまりマスコミはただ闇雲に放送すればいいのではなく、この商品は視聴者側にとってどういう商品であるということを考えた上でその商品を販売する必要がある。
では、現在地上波で行われている野球中継はどういう商品であろうか。最初に言ったとおり「巨人戦」という商品である。
まずその試合を売る球団側は「自分たちの球団の試合」ではなく「自分たちが巨人とする試合」しか販売していないことから、「巨人戦」という認識の下で売っている。もちろん売ろうとしても売れないという考えもあるかもしれないが、もし本当に自分たちの試合を放送して欲しいと思うのであれば巨人戦と抱きかかえにして(その分利益は下がるであろうが)でも販売するぐらいの意識がなければいけない。
またマスコミはプロ野球の試合であればなんでも放送するわけではなく巨人の試合だけを放送している、つまり「巨人戦」という認識の下で放送している。
つまりマスコミどころか他球団さえもその試合という商品を「巨人戦」として売ったほうが利益が大きいと考えているということになる。 その商品の売買契約では「プロ野球」として中立的に放送するのではなく「巨人戦」として放送するつもりでそもそも成り立っている。
であるならば放送内容はどうなるのか、巨人寄りになってしまう。そうしたほうが売れるつもりで買っているのだから当然である。そこに中立的な報道を心がけろなんていうのは虫のいい身勝手な言い分であろう、彼らもボランティアでやってるのでなく商売でやっていることなのだから。
先の例からすれば韓国在住日本人が日韓戦を当地でテレビ観戦するときに、放送内容が韓国に偏ることはどうしようもない、そういう意図でテレビ局側はその番組を作っているのだから。それに対してテレビ局側に怒りを感じるぐらいはまぁしょうがないにしてもそれが韓国チームへの怒りに及ぶのはおかしくないだろうか。それをおかしいと思うならばなぜ巨人に怒りが及ぶ?
もうおわかりだろう、野球中継の中立性の問題を巨人に問題があるかのような批判は、とにかく自分たちのストレス発散のために強者を批判したがっているだけの可哀想な人たちがお得意のこじつけ批判をしているに過ぎない事が。正直みてて恥ずかしいですよ(失笑)
つまり現在地上波で行われている報道がどうしても巨人よりになってしまうのは巨人側が意図したものではなんらなく、「試合」という商品に対してどのような色付けをすれば最も売れるのかというのを考えたマスコミや販売した球団側の意図によってそんな状況になってしまっているのである。
もちろん巨人ファンである私としても中立性に欠ける報道というのは問題に思う、改善が必要であろう。
では中立性を失ってしまった報道がはびこってしまう状況を招いたモノは誰か。自分たちの主催試合あでありながら「○○戦」と売ることなく「巨人戦」として売ることで中立性やファンよりも得られる金を優先している他球団こそがそれを招いた元凶である。
本来ならば他球団は、巨人主催試合であるならばともかく他球団主催試合であればその球団の試合として放送してもらえることを条件に売るべきである。
ところがそのような条件下よりも他球団主催でも巨人戦として売ったほうが高く売れる、それに甘んじてしまっている。
ここで本当に自分の球団のことを考えるのであればたとえやすくても条件を呑ませるべきなのだが、実際のところは高く売り払うことを選んでいる。これは巨人人気に対する他球団が行っているフリーライダーの1つに他ならない。
例えば阪神球団であるならば独立系テレビであるサンテレビに対してそのような意図の下で放送をしてもらい数十年かけて地元地域での阪神の認知度を高めた、そういう努力が欠けている。
同じ販売をするにしても、地元地域だけでは映像だけの販売にして別途音声をつけるような契約にしてもらい、それに必要な経費分は放映権料から差し引いてもかまわないようにする、などというようになんらかの努力をする方法は確実にある。
それをしていないことに対して球団を批判するのではなく、中継を批判していたりあまつさえ巨人を批判していたりしてもそこに原因も問題も何も無いのだから何の改善にもつながらない。そもそも球団側が「巨人戦」という看板で稼ごうとしていることが問題の本質である。
結局、現在のプロ野球中継に関係する事実と商品想定から導かれることは何か、巨人偏向報道は他球団が巨人人気にフリーライドして自助努力をしない怠慢がを招いている。という事実である。
他球団が主催試合に対して「自分たちの試合」であるという事に誇りを持ってその誇りを金銭より優先さえしていればそんなことになるはずがないのだ。
この状況は巨人ファンからしてもあまり好ましくないことであると思う。
個人的にはあまりに中立的な報道もまた興味をそぐだけだと思うので一番いい形は主催試合は主催チームをメインに押し出す、できれば副音声・地域音声などでロードチームにも配慮するという形がベターだと思う。
そうなるためには唯一自分の主催試合であるにもかかわらず「巨人戦」として売っている球団が変わるしか方法は無い。
そんな売り方をしておきながら、巨人に対してどうにかして欲しい或いはどうにかすべきであるとか考えるのはお門違いもはなはだしい。
もし仮に巨人が球界全体のことを考えて球界全体のために「巨人戦」という商品で売りつつ実態はそうしようとしたらどうなるか、巨人が大きな「貸し」を持つ事になる。それをちらつかせる事で要求を通しやすくなる。
そういうことの積み重ねが結果として巨人への権力集中を招いているのである、巨人への権力集中を助長するようなことは慎まなければならない、つまりこの問題の解決を巨人に求めてはならないし求めることは権力集中への後押しにつながることを自覚しておかなければならない。
ただ、現在人気が分散している中で巨人戦として中継するだけの方が視聴率は取れにくくなっている。
つまり、「巨人戦」として売ることと「プロ野球」として売ることとの差が小さくなってきている。ここで改めて地元地域には地元地域向けの実況・解説をかぶせるような契約としたりするなど何らかの策を講じるチャンスである。他球団にはそういう意図をもった行動を願いたい。
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ちなみに別観点から1つ。
バブル期以降一気に日本でも嗜好の多様化が進み、特にインターネットを始めとしたメディアの発展によってその多様する嗜好をカバーできる(大きな嗜好でなくても採算化できる)時代になっていると思う。
それによって現在のプロ野球中継は時代に即していない中継形態になってしまっていると思う。そこから巨人よりの中継に対する不満が出ているのだと理解できる、だから不満を持っている人が出ること事態はおかしいと思わない、矛先が違う方向向いてると改善にはならないことを懸念しているだけでありそういう不満が出ることはプロ野球界のためでもあると思う。
ただ同時にそういう多様化する嗜好に対応していくということは(特に日本の)テレビに合った中継形態ではなくなることにもなるだろう。
MLBにしろNFLにしろ通常の試合での視聴率は10%に達することも無い、あれだけの大契約を結んでいるとは言え、内情はテレビ局側は純粋に中継の部分だけでは赤字だ。
それでもあれだけの金額になるのは日本と違って1桁でも大きかったり、国土が広いからマスプロモーションの重要度が高かったり、そういう事情がある。
ところが日本では普通に視聴率は平均的にもっと高い。視聴率5%が高価値になる国と惨事になる国とでは同じような商業活動は出来ない。
プロ野球でなく巨人という商品にだけ資源を集中投入(実態は資源の集中ではなく他が投入を押し付け自分たちが投入しなかっただけだが)し、それによって視聴率を稼ぐというこれまでのプロ野球が取ってきたテレビ戦略は日本のそういう事情に即した戦略であったと私は思う。そういう意図をもって考えられたのかどうかはしらないがまんべんなく平均的にやっていたら資源の分散化となりうまく発展しなかったのは想像に難くない。巨人中心主義だったのは別に巨人の傲慢でもなんでもなく、プロ野球が発展していくためにもっとも上手にテレビを利用するにはこうしたほうが効率的だっただけだ。少なくとも野球とうものがまだまだ国民的娯楽でなかったところからここまで発展させてきた導入・拡大期にそういう選択をしたのは理にかなっている。
ところがプロ野球という商品が普及期に入り、ファン側の嗜好が変化することでそのようなやり方では客が付かなくなってしまった。でもだからといって客に合わせたやり方では日本のテレビ事情には即しない。
巨人戦のテレビ視聴率が低下するというのはプロ野球がやってきた中継戦略の終焉を意味する。それは巨人がこうむるダメージではなくプロ野球がこうじるダメージとなる。
巨人への一極集中が弱まるのは巨人ファンからしてみても喜ばしいことだ、そのほうがプロ野球全体の発展には間違いなくプラスになる。ただプロ野球がそういう形での発展を目指すことになれば同時にテレビ局側が求めるような商品からはかけ離れていく。
テレビ局側からすれば、巨人に一極集中していたほうが視聴率も稼げるしいい商品であるのだ。テレビにとって見ればプロ野球界の発展とかは関係ない、どちらのほうがより「おいしい商品」かということだけであり、巨人一極集中が解消されることは彼らにとってなんらプラスではない。
プロ野球界全体の人気が増えていようがなんだろうが、それが分散して存在していて視聴率に結びつかないような状態であれば彼らからすれば商品価値は損なわれているのだ。
たとえプロ野球界全体の人気が上がっていようが活気は落ちて居なかろうが、その人気が巨人に集中していて視聴率を稼ぎやすくなっているという状況が失われてしまえばテレビからすれば魅力はなくなっているわけでテレビ中継は縮小にしか向かわないだろう。
結局たとえ巨人戦が中継されなくなったとしてもそれは他の試合が中継されることにはつながらない、そんな希望的観測は導き出されない。導かれるのはプロ野球という商品における人気の分散化と、分散化した人気にともなってテレビ中継に適さない商品へと変貌するという事実だ。
そこに気づかずに「巨人戦中継の視聴率低下をただ単に巨人の人気が落ちただけ、野球界全体の人気は下がっていないのだから野球界にとっては問題ない」と勘違いしているのは問題だと思う。野球界全体の人気が代わってなかろうが、人気構造が変わってしまえばテレビ業界から入って来たであろう金の量が一気に落ちることにはまったくもって無関係だ。
現在の野球界の収益構造を考えれば巨人戦の視聴率が低下することは大問題であり、むしろ巨人よりも他球団にとって大問題であることが大きい。自球団への人気分散が自球団の首を絞めるなど言う笑えない状況になっているように思える。
テレビ中継を除いた部分でも他球団を圧倒して稼いでる巨人はともかく地上波中継が除かれてしまえば一気に苦境に陥る球団はそうなったときにどうなるのか、そういう状況に即した収益システム=ビジネスモデルをもった球団へと代われるのか、私は巨人戦の視聴率低下についてはそここそが本当に心配すべき問題点だと思う。
結局、プロ野球界全体の人気が一極集中でなくフランチャイズ意識の波及などで分散化が進み全体としての人気が高まる、それはいい。でもその結果としてプロ野球はテレビ中継には適しない商品となりそこからプロ野球界に流れてきていたお金は減る。そうなったときに他の球団はちゃんとファンからそれより多くのお金を回収できるようなビジネスモデルを確立できているだろうか。
より理想的なリーグモデルになるのは別にいい、だが理想に近づいた結果として失ってしまったお金(放映権料)が獲得できるお金(ファンから回収するお金)を上回ってしまうようでは意味が無い、理想じゃ飯は食えない。結局そんなプロ野球になるぐらいならもとの巨人一極集中になっていたほうが金銭的にはマシだ。
別に理想を追いかけて理想に準じて死ぬのは美しいが、美しければいいというものではない、プロ野球をプロ野球として残しておく責任がプロ野球にもファンにもある。そちらの理想の方がよっぽど大事だろう。
実際のところこれから巨人一極集中の時代に戻るのは非現実的だろう、だったら新しい時代に即したビジネスモデルを作り出さなければいけない、果たしてそれをどれだけの球団とファンがわかっているんだろうか。巨人が12球団の中でよっぽど危機意識を持って新しいビジネスモデル構築活動を始めている球団に属するように見えるのは私には皮肉にしか思えない。
これまでのビジネスモデルによってチームに対してお金をかける意識が非常に薄いプロ野球ファンをうまくお金を出させるように代えられるのか。
そしてファンがそういう時代の変化をわかって、ちゃんとお金を払うようになるのか。試合って言うのはただで見るもんだとか言ってる人がまだまだ大多数のご時世で本当に変わるだろうか。
。。。。。心配です。
- 事務局に通報しました。
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