客あっての商売ではあるけれど。
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DIME
2007年03月22日 00:58 visibility130
どうも、おかしな論理がまかり通っている気がする。
ファンあってのプロ野球、それは正しい。でもそれはファンの声を盲目的に受け入れることとは違う。
客の声をそのまま全て受け入れてしまえば、商売はいずれ立ち行かなくなる。「お客様がお望みだから原価割れで販売します」なんてことになる。
もちろん、そんな馬鹿なことはするわけないじゃないかと皆さん思うだろう。
じゃあ今のプロ野球にとって“原価割れ”とはどこか。どこが商売として成り立つデッドラインなのかというのが議論されているだろうか。
ろくろく議論もせずに、「お客様がこれで売れというから」、「仕入れ側がこの値段にしろというから」と理由にもなっていない理由で、議論停止に陥っていないだろうか。
今の論議はその「馬鹿なこと」がまかり通ってしまいかねない状況になっている。
「お客様は神様です」という言葉のまま対応するのは間違っている。
往々にしてその客の中にはクレーマーや潜在的に需要の低い(=お金を落とさない)お客が混じっていたりする。それらに対応するのは経営資源の無駄遣いであり、客を選んで神様扱いしなければならない。
「お客様は神様です」というのは、顧客セグメントなどに関する思考を放棄しているにすぎず、その徹底が最善の選択肢ではないというのは既に知られているところだと思う。
客商売であれば、神様たるお客様最優先で動くのは間違っている。
お客様の希望を優先する余り、商売が立ち行かなくなるようでは本末転倒もはなはだしい。
客の望みは出来うる限り叶えるべきではあるが、それ以上にプロ野球という商売を維持させるということの方が大事だというのは忘れてはならない。
どうも一部マスコミではこのあたりが論理破綻しているようだが、「ファンあってのプロ野球」というのはファンの求めに応じてどんな無理難題でもこなせという事ではない。
プロ野球がなければファンもない。「ファンあってのプロ野球」というのは「ファン」と「プロ野球」とは不可分の関係にあるということであって、「ファン>プロ野球」でも「ファン<プロ野球」でもない。
プロ野球が立ち行かなくなってしまうような無謀な要求を叶えるのは本当の意味でファンのためのプロ野球ではない。
多くの人が逆に思っているようだが、完全ウェーバー導入時にFA短縮をしておかない場合、現在の収益分配制度が確立されていないプロ野球では、金銭的に余裕のある球団への戦力格差はむしろ助長される。
選手の当たり外れのリスクも含めて完全ウェーバーでドラフトによる獲得戦力が均衡すると仮定すれば、4つのチーム強化戦略(ドラフト・FA・トレード・外国人)の中で今まで球団格差のあったドラフトに有意差がなくなるということになる。
となればむしろドラフト部分が均衡することによって他の3つの選択権の結果による差異によるチーム戦力への影響は際立ってくるのだ。そしてその3つの中で球団による有意差がもっとも激しく出るのはFA補強であろう。
もしその有意差をなくそうとするのであれば、FAそのものを廃止するか、現在よりFAの枠を緩めて多くの球団が参加できるようにしなければならない。
それがわかっているからこそ、広島はあぁいう立場を取っているのだろう。
具体的に言えばこういうことだ。
国語(ドラフト)・算数(FA)・理科(トレード)・社会(外国人)の4つの教科の総合点でこれまでは順位を争っていた。(教科と補強との関連はもちろん適当ですよ)
そこで急に国語だけはみんな同じぐらいの点数が取れるような簡単な問題に変更したとする。
それによって有利になるのは誰か、不利になるのは誰か。
有利になるのは国語以外が得意な人、不利になるのは国語が得意だった人、当たり前でしょ。
しかもこれをプロ野球の実情からみれば、4教科の満点は国語300点、算数100点、理科50点、社会50点、ぐらいは差があるだろう。
だとすれば算数の点数の差で総合順位が決まるというのは容易に想像がつく、そういうことだ。
はっきり言ってしまえば、巨人有利に働くようにと望むのならばFA短縮はしないほうがいい。ただ巨人を散々批判している人たちの論理によれば、このFA非短縮がもたらす「特定球団への戦力集中の助長」は球界全体の魅力の低下を招いた“巨人の蛮行(と勝手に勘違いして決め付けている実際には存在しない行為)”と等しいはずだが(笑)
それでもなお他球団がFA短縮阻止にこだわるのは、戦力格差の是正よりも、FA短縮に伴って全体的な年俸の向上(保留権という抑制条件が緩くなれば基本的に賃金は上昇するのはプロ野球に限らず世界中のプロスポーツで実証されている)することを嫌っているからに過ぎない。
もちろんもう1つの方向性として、収益分配制度も導入するという方策もあるが、それは何度も言っているように現状のプロ野球では、努力をしていない球団が努力をした球団から、血と汗の結晶を強奪するようなものである。
その方向性に進もうとすれば、有力球団による脱退とプロ野球の再編成に進むであろう事は想像に難くない。
ほんとうに球界全体を考えているのはどこなのか、自球団の利益だけを追い求めているのはどこなのか。それだけでない、本当にそのマスコミは球界の為という視点から書いているのか。自分たちに有利な球界イメージをつけるためだけではないのか。改めて見直して欲しい。
一部マスコミはアマ野球(特に高野連)に大きな利権を持っている事を忘れてはいけない、それは巨人と読売の姿となんら変わらない。
そういう読売&巨人を批判しているつもりが、同様のことを行っている人間たちに煽られているだけだというのではあまりに傍から見て哀れだ。
人間感情はあるもので、それに任してわめき散らかすかのような言動をしてしまうことを否定する気はない(私だって良くする)が、少なくともそれが感情に任せた妥当性の無いものだとは知っておいた方が良いだろう。
感情で発言するのは否定しない、でも感情で決定されることだけは困る。少なくとも「商業」であるならば。
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