1軍と2軍の入れ替え

  • DIME
    2007年04月25日 15:13 visibility72

開幕してから約1ヶ月、そろそろ調子の出ないあの選手を2軍に落としてしまえなんて話題が良く出てきます。
そういう選手ってもちろんチームに貢献できていないからファンにそう言われるのですから感情的になるのは良くわかります。

ただ2軍をもっぱら見ている人間とすれば、論理の順番が違うんじゃないかなぁと思います。

「入れ替えをしない」という戦術を取るのは「動かざるを選択する」わけですから得てして消極的策としてとられがち。
でも実際は単純に入れ替えるだけの選手がいない、入れ替えるぐらいならまだ彼らのほうが実力が上だからって考え方も出来ると思います。

そういう考え方から見れば、「入れ替えをしない」という選択を取るのは「無策批判」を怖がらないという難しい行動をしていることでもあります。
これは非常に難しいことでよくお役所仕事のなかで「何もしてないと思われると困るから」という理由で税金どぶに捨ててるような施策をしている、あぁいうのと対極にあるわけです。

例えば1軍での選手としての合格点が60点だったとしましょう。その時に1軍登録28人全員が60点を越えるなんて事はまずありえません。
なぜなら選手評価は相対的なものだからです。どっかの野手が打てばどっかの投手が打たれてるわけで、暴論を言えば全ての1軍選手の評価点数は総計すれば0です、そして特異なプラス得点を叩き出す選手は、部分的とは言え戦力均衡を目指した制度下では集中しにくくなっているわけで、特定球団に28人もいるほうがおかしいってだけです。

まぁ小難しい話は置いといて、例えば60点に満たない、50点ぐらいの選手が居たとします。この選手を「1軍に値する能力ではないから2軍行き」と言うのは簡単です。
でももし2軍に50点も取れない選手ばっかりだったらどうでしょうか、その選手を下げることはプラスですかマイナスですか。育成だとか経験つませるだとか何にも後付の理由をつけないで単純に考えればマイナスでしかないですよね。

「1軍で活躍できていない」それは1軍降格させるべきかという議題において必要条件にはなっても十分条件にはなりません。そのあたりが論理の順番が違うってところです。まずは「2軍で1軍にあげたいと思えるだけの選手が居る」ことが1・2軍の入れ替えの条件です。それが満たされてはじめて次に「1軍で活躍できていない選手を2軍に下げる」という選択肢が生まれます。」

現在のプロ野球では2軍までしかない事もあって、「2軍で多少成功している誰か」よりも「1軍で失敗している誰か」のほうがまだまだ実力も上だったりします、それぐらい1軍と2軍の差は大きくなっています、もうちょっと階層が増えていればそういうこともなくなるのでしょうが。つまり上のような状況(2軍に50点↓ばかり)ってのはぜんぜん珍しくないってことです。

例えば日曜の試合で巨人が打ち崩した阪神の渡辺、2軍で防御率2点台、それでも打たれました。
2軍に関しては相手に左右される部分も相当あるので、特に投手に関しては一概に数字だけで判断することが非常に難しいです、記録されるデータも詳細なものでないのでなおさら。
わかるのは、2軍で悪い投手はもちろん1軍でも悪い、2軍で良い投手はそれだけで決して1軍でも良いという理由にはならないってことです。




ってなわけで巨人投手陣について考えて見ましょう。

先発について言えば上原浩治とパウエルと2名欠員しているわけでそもそもが決して安泰の状況じゃなく、綱渡りの選手起用を開幕の時点から強いられています。
70人枠という限りを考えれば、打たれたからといって次がどんどん出てくるほどの選手層を維持できてるほうがおかしいです
蛇足ですが、私は今のような状況にあるのがおかしいとは思いません。むしろここでまだ先発候補が出てくるようなら現時点でピークに達している選手が多すぎる、つまり長期的な育成を目的とした選手の枠が少ないことを疑うべきで、数年前の巨人野手がそうでした。

春キャンプの開始時点で報道されていたのが先発候補10名強、10人もいれば多いって報道で言われていました。実際70人枠の中でも投手枠はだいたい30名強ですからほんと多いと思います。
具体的に言えば、開幕時点の6名+会田有志、上原浩治、パウエル、野口茂樹 ですね。
このうち会田有志は“勝ち試合担当”の中継ぎとして下手な先発より重要な位置に居ますし、野口茂樹も負け試合のロングリリーフとしての準先発、現在は中継ぎ左腕の絶対数不足から中継ぎでの優先度の方がよっぽど高くなっています。

多少成績が悪くても、門倉健や姜建銘をうまく使っていかないと今の巨人はいっぱいいっぱいです。今の門倉健や姜建銘でさえ三木均や野間口貴彦よりは確実にまし、昨日のような四死球連発を2軍レベルでやっていますから。
深田拓也に関しては検討に値するかもしれませんが結局は今年の春から先発をちょっとしているだけで、前述の渡辺のように1軍経験のない投手であることも考慮する必要があります。
上原浩治とパウエルの目処がつくまでは深田拓也は最後の1枚となりかねませんし、チーム状況からすれば(今の投球スタイルの深田が中継ぎをするのは多少無茶ですけど)左腕は中継ぎのほうが優先度が高いのでそちらに回さなければいけないかもしれません。
山口鉄也の支配下登録もそのあたりの事情もあってのことだと思いますが、1枚増えたところでブラックからレッドに変わったぐらいの危険な状況だと思います。

中継ぎに関して言えば先発よりもっと厳しい状況です。
前田幸長と交代で西村健太朗が1軍にあがったのは4/15の日曜、その日時点で2軍の他の投手は西村以下だって首脳陣は見立てたということです。個人的に私も2軍を見ていてこの見立てには反対ではなかったです。それぐらい2軍に選手がいません。

にもかかわらず、1軍においても最低でも3名は欲しい“勝ち試合担当”中継ぎは安定度から言えば林昌範と会田有志まで、他の中継ぎでは真田裕貴が今のところ結果を残していますので、最悪彼を“勝ち試合担当”にまわせば3人までは確保できますが、そこまでです。
つまりそれは本来中継ぎ全体の1軍枠である6名を満たしきれていないということでもあります。
豊田清に関して、下げるべきという声もありますけど、これからまた多少打たれても、それでも落ちるのは“勝ち試合担当”だけ、1軍からまで落とせるほど中継ぎには余裕がないというのが現状です。


----------------


●上原浩治の抑えという話題について

これ前にも書きましたかねえ。私は条件付賛成です。ありていに言えば去年なら反対、今年なら賛成です。
理由はFAです。上原浩治の1軍登録日数は現在7年と137日、145日で1年換算となりますから、順調に行けば来年には取得できるでしょう。そして本人は強いメジャー志向を隠そうともしていませんから、FAになったら間違いなく巨人の戦力ではなくなります。
ということはどういうことか、批判を恐れずに率直な言葉で言えば、「来年で壊れてもらって構わない」ということです。巨人の選手であってはじめて上原浩治に価値があるのであって、巨人の選手でなくなれば何の価値もない人ですから。
逆に言えば、残り2年間で徹底的に使い減らしたほうがチームとしての投資回収はうまくいったということになります。一部の抑えとして君臨する選手を除いてだいたい2年も抑えをすれば無理が来るのが一般的ですから、残り2年ぐらいがちょうどいいと思います。

ただ逆に言えば、たとえ上原浩治が成功したとしても、2年間しか抑えは確保できません。3年目以降は彼以外の抑えを作る必要があります。
ただこれに関してももともと巨人の長期戦略として、福田聡志を筆頭に若手の抑え候補を育成すると同時にそれまでの繋ぎとして豊田清を用意していたわけですから豊田清の部分が上原浩治に代わるだけなので、上原浩治が抑えをすることによって何か問題が発生するかといえばそうでもないと思います。

一点問題があるとすれば、抑え或いは“勝ち試合担当”の中継ぎという職種は出来るだけ固定した方がよいということです。
報道にあるように期間限定でやっていて、いつかは先発に戻すぞというのはあまりよろしくありません。
もちろん本人に先発志向が強いようですから、先発はもうさせないと通達させるのはモチベーションの低下などを招きかねないので良くないでしょう。
中継ぎからの先発再転向に関しては、将来的には確約するけどその時期は首脳陣の意志だけで決めるので本人の希望は出さないこと、中継ぎで失敗した場合は先発に戻るのではなく再調整に入ってもらうこと、ぐらいの約束は最低でも必要だと思います。それで先発に戻さないでおけばいいでしょう。

chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。