育成選手制度と戦力外通告時期

  • DIME
    2007年09月28日 17:24 visibility165

表題の2つのニュース、触れようと思って忘れてたんですよねえ。ニュース記事がなくなる前に引用しておかないと。

育成選手制度について

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育成枠変更禁止で合意
日本プロ野球選手会と日本プロ野球組織(NPB)による協議交渉委員会が10日、宮本慎也選手会長(ヤクルト)、高橋由伸(巨人)ら選手7人と12球団代表者らが出席して東京都内で開かれ、シーズン中に支配下選手を育成選手に変更できないよう、育成選手制度の中に明文化することで合意した。

制度の趣旨に反する行為を禁じるため、主に2点の改正で合意した。中日が今春に金本を支配下枠から育成枠に移行しようとした問題を踏まえ、シーズン中の支配下選手から育成選手への契約切り替えを禁止する。また26歳以上の育成外国人選手については、3月末までに支配下選手登録されない場合、そのシーズン中は育成選手にとどまることも決まった。
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1つめの改正についてはかの金本問題が出た時に、それを禁止する方が望ましいと言う考えが示されていたので、ルールによる追認、これは別に想定の範囲内。
はじめて聞いた話なのが2つ目。「26歳以上の育成外国人選手については、3月末までに支配下選手登録されない場合、そのシーズン中は育成選手にとどまる」だそうな。
今年の例で言えば、育成から支配下にあがった外国人選手は3名、巨人のオビスポ、中日のクルス、広島のカリダ、このうち条件に該当するのは中日のクルスだけ。
まぁこの条項の目的はなんとなくわかる。以下のような手段を球団がとらないようにするためだろう。
何度か日記でも書いてきたように、予想以上の選手離脱の対策として支配下枠を開けておいて外国人選手の補強によって対処するという方法がある。しかし、その方法は場当たり的な対策にならざるを得ないためどうしても確度が低い。ならば投手、内野手、外野手などで数名の候補を育成選手として先に抑えておき、実戦で見極めながら、一番良い選択肢を選ぼうという手段。まぁ良く考えられている方法だと思う。
こうやってみると、結局は中日に対して狙い撃ちをするかのような改正となるわけだが、でも逆にそれだけ中日が真面目に制度を読み込み、その内容を理解し、それに反しない範囲での最善手を追求し続けている結果だとも言える。私はこれは中日がえらいんだと思う。
んでまぁ実際のところ26歳以下だったら構わないのだから、巨人としてもオビスポのように中南米などから若い選手をいろんなポジションで獲得し、外国人選手についてもただ補強するだけでなく自前で育てていくと言うのもありじゃないかなぁと思う次第。

育成選手ついでに解せないことが1つ。
プロ野球選手会が公開している育成選手に関する規約(参考:pdf)では育成選手はファーム選手権試合には出れないことになっているのに、NPBの公式HPでの出場資格者公示では、育成選手も含まれている。
いつのまにか規約が変わったのか。そして本当に出場しちゃうのか。出場しちゃってやっぱりダメだったから没収試合とかバカなことにだけはならないよう願う。

解せないことをついでにもう1つ
イースタンリーグが終わったので、データを揃えているのだけれど、巨人の投手成績の数字が合わない。チーム成績では自責309点なのに、選手の自責を足していくと312点。なんでだ。
こちらは現在問い合わせ中・・・・


閑話休題。

もう1つのニュース、戦力外の通告時期について。

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戦力外通告時期を試験的に統一…選手会とNPBほぼ合意
プロ野球12球団が、今季限りで戦力外とする選手への通告を「10月2日から日本シリーズ終了2日後まで」の期間に限定して行うことが21日、明らかになった。

プロ野球は、すでに二軍戦全日程を終了した球団が出るなど、来季へ向けた球団編成の時期を迎えているが、現時点で戦力外通告は事実上凍結されている。日本プロ野球選手会(宮本慎也会長=ヤクルト)が、昨年のオリックス・中村(現中日)の契約問題などを契機に「再チャレンジの機会を公平にしてほしい」と、時期を統一することを要望。日本プロ野球組織(NPB)と協議を続けてきた。

NPB側はこれまで「若手、主力、トレード対象などすべて一斉にするのは難しい」としてきたが、今季は試験的に年俸の減額制限を超える選手も含めた戦力外通告を日本シリーズ終了2日後を期限に実施することでほぼ合意。10月1日の実行委員会で承認し、翌2日から戦力外通告を解禁することになった。
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この肝は、1にも2にも「年俸の減額制限を超える選手も含めた」という部分である。

これまでは年俸の減額制限については、本人の同意があれば制限を超えても良いと言う建前の元、中村紀に代表されるように、実質的に「減額を飲むか、プロを辞めるか」という選択肢が示されてきた。
それに対して今回のニュースの内容によれば、減額制限を超える提示は即ち戦力外通告とみなす、つまり制限以上の減額を提示された場合は自由に他球団と交渉できるということになる。
ちゃんとこれが実施されるのだとすればすごい大きな変化になる。具体的に去年の例で言えば工藤、中村紀、谷、立浪、仁志、鈴木尚典、佐伯、古田あたりは40%をおおきく超えていたはず。彼らも戦力外として通告される、つまり自由競争になるということ、そう考えると大きな変化だとお分かり居いただけるだろう。
まぁ問題はこれがちゃんと実施されるかどうか、なんだけれど。

この減額制限については、これまでも書いてきたとおり私は廃止すべきだと考えている。その理由は簡単に言えば、競争原理に反しているからだ。詳しくはリンク先を参照のこと。
そういう観点から考えても、私はこの減額制限を超える選手も含めるのは良いことだと思う。なぜなら、本当に価値がある選手なら減額制限を超えない範囲で提示するだろうし、本当はそれだけの価値がない選手であれば、たとえ戦力外として通告されたとしても他球団だって元所属球団以上の金額を提示しないだろうから。
つまり、この戦力外として通告することは、球界全体にとって見ても、本来ならもっと価値がないにもかかわらず減額制限によって必要以上にもらっていた選手を減らすことにも繋がる=競争原理が正しく適用されるようにもなるわけだ。
けっしてこの減額制限を超える選手も戦力外として通告することは、選手側にとってのみメリットのあることではないと思う。
まぁ問題としては、球団によって1億円と言う金額の価値が、中堅選手程度になるか、主力選手程度になるかという相対的な価値のズレがある事だけれど。

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