ダブルスタンダードはおかしい。

  • DIME
    2007年12月26日 12:57 visibility208

川上が現状維持の提示を保留したそうで。

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日本一エース川上がダウン提示なんて
“クリスマス交渉”で球団からプレゼントされたのは、まさかの「ダウン提示」だった。53年ぶりの日本一に貢献した中日のエース・川上憲伸投手(32)が初の契約更改交渉に臨んだが、評価は到底満足できるものではなかった。
「やっぱりな、とは思った」。1時間の交渉を終えた川上の表情には寂しさすら漂っていた。最初に提示された額は1000万ダウンの3億3000万円だ。今季は12勝8敗、防御率3・54。査定担当の井手編成担当は「ベースが高いし、数字を見れば下がっている」と説明したように、最多勝を獲得した昨年に比べれば見劣りする。
だが、言い分もある。登板26試合のうち、優勝を争った巨人と阪神にそれぞれ7試合ずつ先発した。「なかなか勝ちを挙げづらいチームに投げている。そういうことを評価してくれないと、来年向かっていく勇気がわかない」。また、3年連続の開幕投手、2年連続の日本シリーズ開幕投手とエースの重責も果たしてきた。「査定を通信簿と考えたら学校によって違うけど、通信簿だけの評価しかしてくれていない」と不満を漏らした。
川上はあと3日不足しているFA権を来季早々に取得する。メジャー流出も危ぐされるが、球団からはFA権についての話は一切なかった。最終的には現状維持まで戻したが、それでも納得はできない。何度も「寂しい」と嘆き、最後は「考え方、評価で近い部分はなかった。ボランティアで投げているわけじゃない」と怒りをにじませた。
次回は1月末か、一昨年に続く自費キャンプイン後の2月。着地点の見えない現状では大荒れの予感が漂う。
2007年12月26日付 スポーツニッポン
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当然だと思います。

本来、年俸というのは、その年に行った活動を評価してその活動結果の対価として支払われるべきものです。
ただNPBの場合、その理由は後述しますが、制度として「その年の活躍がそのまま年俸に反映される」のではなく、「前年の年俸をベースに評価の度合いによって増減が決定される」という制度になっています。
前者を仮に「絶対型」、後者を「加算型」と名づけます。
今のNPBの制度は、どうしても入団して数年はどれだけ優れた成績を残したとしても成績に見合った額よりも低くなってしまう。そういう「加算型」の制度になっている以上、これは事実です。
でもその分だけ、入団してから何年も実績を残し続ければ最終的には非常に大きな金額となり、最初の数年に実際の成績より少ない金額しかもらえていなかった分が相殺されるわけです。
そこで最終的に相殺されるからこそ選手側としても「このままずっと頑張り続ければもらえなかった分が最終的には返ってくる」と思って頑張れるんです。
それが加算式としての特徴であり、バランスが取れる理由です。

なのに、最初の数年、低く抑えられるところでは「加算式」の年俸制度なのだからといっておいて、最後の数年になって今度は「絶対型」に、今年の成績はこの年俸額に見合った程度のものなので現状維持が当然と言い出す、明らかにダブルスタンダードです。

「今年の川上の働きからすれば、3億4千万円という金額で十分評価しているだろう」という声には全く同感です。むしろダウン提示だとしても、私は全くおかしいとは思わない。
ただし、それは「絶対型」での考え方です。NPBでの年俸決定システムは、或いは少なくとも川上が入団後数年の間に受けていた評価方式は「加算型」です。
その加算型で言えば、「今年の川上の働きからすれば、増額は無し」と評価をしているということです。レギュラーシーズン26試合に先発登板し12勝8敗の成績を上げた投手に、プラス評価なしどころか下交渉ではマイナスですよ、どう考えてもおかしいでしょ。

球団側は自分たちにとって都合のいいように加算型と絶対型を使い分けているのです、これは典型的なまでのダブルスタンダード、球団側がおかしい。
私はそう思います。どっちの評価手法がいいとか悪いとか言う事はまず置いておいて、都合のいいように手法を使い分けるのではなく、一貫して同じ手法で交渉相手と接するべきです。それが信頼関係を築く基本でしょ、だから選手に球団が信頼できないとか言われるんですよ。
当たり前じゃないですか、自分たちの都合に合わせて都合のいいように言い分を使い分ける、そんな相手を信用できますか? 私は絶対に出来ません。
まぁべつに自分の都合に合わせて言い分を使い分けることそのものは否定はしませんが。商売上手ってだけですけどね。


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で、年俸制度としてどちらの手法が望ましいかと言えば、私は絶対型が望ましいと思います。

やっぱりその年に、傍から見ていても結果を残しているなと思う順番と、年俸の高い選手の順番とが一致する、それが自然な形だと思います。
具体的に言えば、今年はダルビッシュや成瀬が2、3億はもらって、投手の中ではもっとも年俸をもらっている選手となる、それが自然な形だし、それが望ましいと思います。
でもそれは今の制度上はできません、2つの足かせがあるからです。「保留権」と「減額制限」です。

保留権がある以上、基本的に9年間は同じ球団と同じ選手がお付き合いをしていかなきゃいけません。
減額制限がある以上あげる事と下げることを同じとみなすことは出来ません、下げる方に制限がある以上は、上げる方にも制限は設けないと球団側はバランスを取れません。

保留権という前提があるからこそ、球団側は「長期的な視野」を基にして「数年間かけてしっかり活躍する選手」をたかく「ほんの短い期間だけ活躍する選手」を低く抑えることが出来るのです。
減額制限という前提があるからこそ、選手側からすれば途中で実績を残せないシーズンが挟まったとしても、一定以上の減額にはならず「長期的な視野」を基にして安定した年俸を得ることが出来るわけです。
その結果、年俸はその1年だけの評価じゃなく、1年以上の長期的な視野での算定も含めた額として決定するわけです、個人的にはこれは傍から見てわかりにくいのでやめるべきだと思いますが、現状そういう制度になってるもんはしょうがない。

少なくともこの2つの条件を改善せずにただ単に「絶対型」の評価方式になるべきだといっても絶対になりません。
お題目だけ掲げても環境を整備しなければそれは達成されません。絶対が他の評価方式になるべきだとすれば、そのための下地としてこの2つの点は改善しなければいけない。
ずっと言い続けていますけれど、私は長い保留権にも減額制限にも両方とも反対です。その理由の1つとしてこの辺りのわかりにくさというものあります。
もっとシンプルに、もっと自由にあるべきです。

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