小田の放出は本当に間違いだったか?
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DIME
2007年05月16日 05:39 visibility4073
現在は中日で2番手捕手をつとめる小田幸平。巨人のプロテクト名簿に小田が入っていなかった事を落合監督が不思議がり喜んでいたことは事あるごとに報道で取り上げられるからよくご存知かと思います。
ただ私この話については最初から一貫して「落合監督一流の情報戦術の一環」にすぎないと言ってきました・・・つもりだったんですがここには書いていなかったですね。
別の場所でそういう話題になりましたのでついでにこちらでまとめておきたいと思います。
結論だけ先に言えば小田放出は正しかったんですけどね。
この小田捕手、中日に入団が決まった頃に巷に溢れていた一般的な評価としては「リードには長けていて阿部慎之助に勝るほどだが、打撃能力に課題があり総合力としてみると若干劣る」というものだったと思います。
私はずっと2軍見ている人間なのでこの評価自体が、巨人批判をしたいがために(小田を持ち上げるほどそれを放出した巨人を批判できるので)一人歩きした過大評価だと思っていました。
どっちが正しかったか、2006年の成績を見てみます。比較対象として、小田の抜けた2006年の巨人で第二捕手だった加藤健を出します。
とはいってもリード能力というのを測る指標はありません、失点を抑えるにしても投手の出来次第、野手の守備次第という部分もありますし、それと捕手の能力とを分離するのは現時点ではほぼ不可能です。
で終わってしまってもしょうがないので、チームとしてもっとも大事なもの、勝敗について見てみたいと思います。
小田の場合2006年シーズン先発したのは全部で13試合ありました。
そしてこの13試合の結果は3勝10敗(.231)と評を裏切り、しかし打撃のほうは評どおりの42打席でOPSが.416でした。
それに対して加藤健は、先発マスク9試合で2勝7敗(.222)、40打席でOPSが.636でした。
この加藤の結果に対しては阿部が欠けた場合の二番手以降の捕手に課題があると散々言われたわけですが、それでも先発試合の勝率からすれば小田と加藤はほとんど代わらない。
チーム全体の勝率(中日.617、巨人.451)の差を考えればむしろ小田のほうがリード能力にさえ欠けるとさえ言う人がいても私はおかしくないと思います。 打撃能力の方は評価通り大きく差があった訳ですけど。
ただ、打撃成績に関しては打席数が小田の42打席に加藤の40打席ですから、ちょっとサンプル数が少ないところもありますので、その分は少し勘案してください。 OPSぐらいが出せればいいんですけどね。
ちなみに小田の名誉のために付け加えれば今年は(5/15時点までで)9試合に先発して4勝5敗となっています。チームの勝率よりは悪いですがこれぐらいならまだ許容範囲とはいえるかもしれません。
この結果に加えて年齢・伸びしろという観点からみればどういう選択をするほうが優れた編成の判断だといえるのかは言うまでもないのではないでしょうか。
巨人の編成から見れば、阿部をメイン捕手としてみるのであれば、彼がFAを獲得するしばらく先まではずっと固定しようと考えるのが当然です。そうなった場合に2番手以降の捕手は阿部の長期固定を考えるとそれにも対応できるように阿部より若手の方が望ましい。
小田の年齢を考えると、阿部慎之助より年上でせいぜいこの程度だったのなら、阿部より若い捕手を育成した方が賢明であろうものです。
つまり、たとえ去年小田と加藤が巨人にいたとしても去年の2番手捕手は加藤でしたし、今年だって加藤です。 そして、その次の三番手に関しては同じような理由から星孝典となる可能性も十二分にあるでしょう。
これは小田を外したプロテクト名簿作成時点で充分想定できた内容です。
結局どういうことかというと、巨人の第三(たぶんそれ以下)捕手でさえ中日では第二捕手になるということです。
それをまるで巨人側が失敗したかのようにうまくすり替えてしまうのだからやはり落合監督というのは一流の策士だと思います
以上を考えた上で改めてプロテクト名簿の作成を振り返ってみます。
何度か日記に書いているようにプロテクト名簿というのは「必要最低限の選手さえ守りきれない枠数」なので、プロテクト人数の中で捕手に割り振れる枠も限度がありますから、他を割いてまで捕手を多くプロテクトする余裕もなかった。
その数少ない『捕手枠』の中で巨人がプロテクトすべきだったのは阿部よりも若い加藤や星でなければならなかったのですし、実際にそうしました。小田のプロテクト外しは巨人から見れば何の問題もありません、むしろ正しかった。
この小田の問題で示されている本当の問題はむしろ巨人では放出しても構わないような小田でさえ第二捕手になるのが今の中日の捕手層の厳しさです。
現在の中日の捕手3人はいずれも他球団からのトレード組。今年肝いりで入団した自由枠の田中捕手の成長が待たれるところです。
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5/18追記
非公式のデータしかないのですが、一応捕手別の失点率(×防御率)が見つかったので追記しておきます。
このデータならば、やはり小田のほうが若干リード能力はあるといえるでしょう。
とは言えお互いイニング数が少ないわけであり、100イニングでの失点率0.39の差は約4点ですからむしろ誤差の範囲内に近く、それほど大きな差ともいえません。
やはり打力や将来性(年齢)、編成の事情などを考えると加藤を選択すると思います。
小田:116回2/3
失点率4.09 チーム失点率3.39 差:0.70
加藤:93回
失点率5.23 チーム失点率4.14 差:1.09
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- 事務局に通報しました。
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