【巨人】 2つのトレード 改めて
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DIME
2006年11月09日 06:17 visibility422
改めて2つのトレードを振り返りたいと思う。
まず結果を見てみる。
入団
●小田嶋正邦
●谷佳知
退団
●仁志敏久
●長田昌浩
●鴨志田貴司
以上が人的資源の交換であるが、これ以外に金銭的な部分として
・谷佳知→年俸13000万円減
・横浜より移籍金獲得
もあったことを付け加えておく。
まずトレードを評価するには、トレードという行為でなく内容で判断しなければならないというのな前述のとおり。じゃあ内容とはどういうことかって言えば、「チームとしてその選手が必要かor不要か」っていうことになる。
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この点に関しては最終的な判断は主観であり、客観的に分析できるのは数年後に結果を見るまで待たなければならない。これから伸びると判断していた若手が伸びていたかどうか、伸びなかったかどうか、それは現時点では未知数である。同様にまだ使えると判断したベテランが使えるかどうかもまた未知数である。この場合チーム編成を見なければならないわけで、単純に移籍する選手だけでなく、より複雑である。
結局は同じ状況を見て選手が足りないと判断する人もいれば、十分だと判断する人も出てくる。そこに「正解」はない。正解は未来にしか存在しない。
私としては自分の意見を書くだけでなくできるだけ巨人というチームにおける状況を客観的に書きたいと思うのでそれを元にして、やっぱり足りてるだろor足りてないだろってそれぞれ考えてもらえれば書いた甲斐がある。
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閑話休題
先日のアリアスの日記でも書いたのだけど、、「チームとしてその選手が必要かor不要か」というのは「能力」の問題と「編成」の問題の2つ。
このうち「能力」を客観的に評価するのは非常に難しい。これは別にトレードに限った話じゃなくて、選手能力を客観的に評価できるというのは野球としての根本的な目標である。今のところこれに成功したという事例を聞いたことはない。一応それを評価するものとして各種STATSがあるわけでこれに関しては手元でわかる限りは提示する。わけわからんSTATSもだすが、暇が出来たら各種打撃STATSについては別途書く。(なお、以下に提示するXRに関しては現時点で敬遠四球の全ての数値を確認できていないので暫定の数値であることを断っておく。)
それに対して「編成」に関してはまだわかる。これは編成というものに守備位置と打順という絶対的なガイドラインがあるからだ。先日のアリアスのときもそれを手がかりにしたわけだけど、アリアスの事のようにまだ「未来」に到達していないので正確なことはいえない。
●小田嶋正邦は必要?
能力として小田嶋正邦をそのまま評価するのは難しい。1軍での実績がほとんど残っていないからだ。
それでも無理に今年の成績を上げてみると、51打席でOPSは.697、XRが5.702、打席当たりXRが0.112となっている(セ全体の平均は.120)。これは今年1打席以上の成績が残っているセ野手156名のうち49番目。今年の巨人野手陣の中でXR/打席が0.112↑なのは7名、矢野.115、阿部.128、高橋.130、二岡.135、小久保.136、古城.147、李.200(ちなみに矢野の下は斉藤の.099)。
もちろん51打席での結果であまりにサンプル数が少ない上に、その中で本塁打3本も打ってたりするのでちょっと疑問の残るデータではあるがある程度潜在的に能力がなければ出すことは出来ない数字だとは思う。
次にイースタンでの成績だが今年は1軍と2軍をいったりきたりしているので、規定打席に9打席足りず250打席だった。で終わってもどうしようもないので仮にこの9打席が凡退だったという最悪を想定して成績を出すと、打率.318、出塁率.378、長打率.513、OPS.891である。
んで以下が今年のイースタンリーグで規定打席に達した選手であるが
http://bis.npb.or.jp/2006/stats/bat_e.html
この中で比較すれば小田嶋正邦以上なのは竹原ぐらいであろう。
もちろん、イースタンリーグで成績を残せればそいつは必ず1軍でも結果を残せるのかと言えば、絶対にそんなことはないのだけど、じゃあ全く気にしなくても言いかといえばもちろんそんなことはなく、2軍での実績は十分条件でなくても必要条件であることが多い。
具体的に言えば、2軍で実績は残せてなくても1軍では残せたっていう選手はそうそう存在せず、1軍でも実績を残している選手の多くは2軍でもちゃんと実績を残していたことが多い。
っていうことで1軍レギュラークラスとしての能力は未知数だが、1軍出場の少ない選手の中ではイースタン7球団の中でもトップクラスの能力というのが私の評価である。
んで次に編成上必要かどうかに関して。まず守備位置は1・3塁手ということにする。
現在巨人の編成の中で1塁手に数えられるのは李承ヨプ、吉川元浩がいてこの他に斉藤宜之、梅田浩あたりが可能である。またこの4名に関しては3塁手としての活動は出来ない。
1塁手としてはまず李承ヨプがいるが、彼は怪我をしないという触れ込みでありながら結局今年は出場は続けたものの怪我に苦しんだということを考えると、怪我がないとは言い切れない。もし怪我人が出た場合には吉川元浩・斉藤宜之となってくる。編成上選手は確保できているとは言えるだろうが、余っているというほどでもない。
次に3塁手としては現時点では小久保も小笠原も編成外の選手なので除外しなければならない(憶測で物事を考えると足元をすくわれる ex,黒田残留で困った阪神)。となると本職が二遊間の選手ぐらいしかいないことになる。二岡・小坂・脇谷・古城・川中・十川ぐらいだろうか。
この日記で示したように、今年の戦力だけでは、レギュラー三塁手が欠けたときに、得点力低下を防ぐことができていなかったのは事実であり、最初っからレギュラー三塁手がいなければその悪夢がシーズンを通してなんてことになる。
現有戦力内で二岡智宏ならば戦力として満たすことが可能ではあろうが、彼は既に遊撃のレギュラーであり、遊撃+三塁が二岡+その他であってもその他+二岡であっても結果的に打線全体のメンバーは変わっていないので今年の戦力だけでは得点力低下になるということは変わらない。
今後仮に小久保・小笠原のうち1名を確保することが出来たとしても、辿り着くのは「レギュラーがかけたら終わり」という現状維持まで。
そういう意味では編成上かけている部分であるといえる。ただ・・・・小田嶋正邦ってサードできたっけ?
あとはもう1点、これは守備位置ではないが1軍枠の中に第三捕手というポジションがある。巨人としてはこれを廃して捕手二人制にすることだけは出来ないが、でもこのポジションを有効活用するために、捕手2.5人制とでも言うべき構想を持っている。
この構想をするならば、0.5人分は守備固めの野手にさせるべきだと思うのだが、どうも現場としては強打の代打にさせたいらしい。小田嶋はこの構想にぴたりと当てはまる特性を持っているのでもしこの構想を実行するならば最適といえるだろう。正直構想自体に大きな問題がある気がするんだが。
●谷佳知は必要?
能力という点に関しては改めて言及するまでもないでしょ、わざわざここで書かなくてもデータは集められると思う。
どっちかというと、編成上の問題で疑問を持つ人が多いのだろう。 あれだけ優れた外野手が多数いながら何故にまた外野手を追加するのか?っていう声だ。
果たして本当にそうだろうか。
本当は1軍クラスに値しない選手に対して過剰な評価をし、必要以上に打席を与えるのはチームとしての単純な戦力低下を招く。今年で言えばアリアスとディロンに対してあまりに多くの試合を渡しすぎたように。
ポジションというのは3つあるから実力に関係なく出場機会のある選手はいて、レギュラーはいる。だからレギュラーを張ってるっていうのは評価基準になりえない。
例えば、金本が入った年の阪神の外野はどうだったか。打数順で言えば、桧山・濱中・赤星がいてこれに続いて平下・上坂などもいた。上記3人はプロ野球の外野手としては標準を超える選手だろうし、例えば上坂は通算成績から見れば亀井や鈴木とあまり差はない。じゃあ金本を取る必要はなかったのか、大いにあったでしょ。今の結果を見れば明らか。
1軍でレギュラーとして出てもおかしくないぐらいの選手が3人もいれば十分だろうで満足するのは間違っている。それは最低ラインであって、その最低ラインをクリアしている選手の中から優れた選手をどれだけ編成に加えるかがチームの戦力の差になる。
翻って、巨人というチームを鑑みれば他球団に比べて露出度が高いために誰でも多くの選手を知っている。それがためにどうしても他球団の選手に比べていい選手であるかのように誤解されがちだ。実際に彼らは客観的に或いは他球団の外野手と比較して能力が高いか。
結論だけ先に言えば、彼らは他球団の外野手と比較したときに明らかに今年の成績は劣っている。
今年の成績をは以下で確認して欲しい。
http://www.giants.jp/G/report/batter.html
今年のセリーグで、100打数以上の成績を残した外野手は全部で31選手いる。主力と呼べる外野手はこの中にほとんど含まれるだろう。
巨人の外野手の中でこの条件に含まれるのは高橋由伸・清水隆行・鈴木尚広・矢野謙次・亀井義行・小関竜也・木村拓也の7名。
んでこの31名をで打席/XRで順位付けすると下位10名の中に清水隆行・鈴木尚広・亀井義行・小関竜也・木村拓也が含まれている、半分は巨人野手ということだ。ちなみに高橋由伸が10番で矢野謙次が18番。
同様にOPSでやっても下位10名中5名が彼ら。
これはどういうことか。巨人の外野ではセの他5球団では2番手控え・3番手控えの外野手よりも成績を残せなくてもレギュラーとなる事が出来るということである。
これのどこが豊富な外野陣か。
もちろん今年の成績だけで全ての評価をするわけじゃない。でも過去の実績からして今年以上の成績の方が低いのだ、それ以上の実力はあると証明されているといえるのは清水ぐらい。
全員が全員偶然今年が最も成績が悪かっただけ、なんて希望的観測で済まされるレベルじゃない。
今年の個人成績が来季も続いたとしても優勝争いが出来るようにするのが編成の仕事である、今年の成績に対して編成は「これなら優勝できる」と考えるか、「これなら優勝できない」と考えるか。
少なくとも編成が、前年の成績に対して「偶然みんな調子が悪かっただけで本当の実力を発揮すればこんなもんじゃないさ」なんて考えたとすればそれは間違いなく編成失格である。
「今年の成績が偶然みんな調子が悪かっただけであるならばそれはそれでいい、逆に来季以降もこの調子が続くようであれば明らかに戦力不足である、その可能性を考えれば補強しておかなければならない」と考えるのが編成として正しい。
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特に今回の谷獲得に関しては、若手への入れ替えと言っているにもかかわらずなぜベテランを獲得するのかという指摘があるが、そもそも外野にはそれほど若手が多いわけじゃない。
今シーズンの結果から鑑みれば高橋由伸に次いで矢野謙次は外野手の中で2番手に位置している。谷の成績は矢野とほとんどかわらないのであるからここで谷が加わっても矢野を脅かすということにはならないだろう。
むしろ実績が伴っていないのに関わらず、亀井義行や鈴木尚広を必要以上に優先して試合出場させていたり、マスコミがむやみにもてはやしたりしている方が問題であろう。
繰り返すが、本当は1軍クラスに値しない選手に対して過剰な評価をし、必要以上に打席を与えるのはチームとしての単純な戦力低下を招く。
あえて言わせてもらえれば、巨人の露出度が高いため多くの人に名前が知られているが、実際の成績を見ればそんな対したことのない若手だっていうことである。
これからどうなるかわからないが、編成としては亀井や鈴木は騒がれるほど戦力になってないと冷静な目で見ているからこそ動いているといえる。
期待をするのは大事だが、過剰な期待をしてはいけない。若手育成というのは若手と心中することじゃない、若手を抜擢するためには若手の実力を見極めなければならない。そして若手の成長を促すには今のようにレギュラー確保のハードルが低くてはいけない。もっと高いハードルをチーム内競争で用意しておかなければならない。
矢野にしても今シーズンの成績はチーム内2番手とは言え、それでもリーグ全体で見れば半分より下でしかない。にも関わらず今の戦力のままじゃリーグ全体の1軍外野手の中で半分以下の成績でも巨人じゃレギュラー取れるって思わせてしまうことになる、この状況で若手に向上心が出るはずもない。これは早急に改善しなければならない。
リーグ外野手の中で上位に入らなければチームのレギュラーとして起用されることはないぞ、っていう「チーム内競争」を促進させなければならない。
そのチーム内競争を促進させるのはベテランの仕事である。つまり若手にたちはだかるベテランさえかけているのが今の巨人である。
今回の谷佳知獲得は、若手育成という観点から見ても若手に「適当な成績じゃレギュラーは取れないぞ」と思わせるために必要な措置であったといえる。
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しっかし改めて計算するまで自分でもこんなに外野手ぼろぼろだとは思っていなかった。戦力評価とかではちょっと過大に評価していたらしい。
こんな事を書いていてなんだが、私も十分の巨人というチームの露出度に判断を狂わされていた。
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とりあえず上記で、小田嶋正邦・谷佳知両選手の獲得が「チームとしてその選手として必要」であり、「無駄な」補強ではないと私は考えていることと、その理由については述べたつもりです。
引き続いて、その代わりに放出した選手について「チームとしてその選手として不要か」について述べていきたいと思います。
-----以下次の日記へー----
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