トレードとは何ですか?

  • DIME
    2006年11月08日 22:02 visibility137

トレードって何ですか?それをする球団は良いものですか?悪いものですか? 

答えは、どちらでもない、である。 トレードはプロ野球の協約で認められている球団に認められた選手獲得方法の1つにしか過ぎない。 

トレードで行われることは選手・チーム編成などにおいて千差万別であり、全部違うものであって同じなのはトレードという「制度」だけにすぎず、そもそもそれを基準にして評価をはかろうとすることが間違っているということである。

 

これは例えば退職者の多い会社はいい会社ですか、悪い会社ですかと聞いているようなものである。

退職者にはヘッドハンティングされて退職する人もいれば、解雇として退職する人もいるし、定年まで勤め上げて退職する人もいるだろう。

できるだけ退職者を出さない、終身雇用制を堅持する会社もあれば、どんどん転職を進めて同時にどんどんヘッドハンティングを行う会社もある。どちらかが正しいかなんてのは制度そのものじゃなくてそこから生まれるメリットとデメリットの比較にならなければおかしい。

つまりこの場合は退職者の数そのものでなく、退職者がどういう人が多いのかということが重要である。

 

トレードに関しても同じで、トレードそのものについていいとか悪いとかを言うのはおかしな話である。トレードという単位で見ようとする視点そのものがまずおかしいということに気づかなければならない。

 

なんでこんな事を言い出すかというと、連日巨人の大型トレードが巷をにぎわしているわけで。

この行動に対して、「トレードを行った」という事実だけを見て「巨人は何も変わっていない」と言い出し、

「トレードをする巨人は間違い、トレードをしない巨人は正しい」という浅はかな二元論に陥ってるマスコミやファンがあまりに多い事が非常に情けない、特に巨人ファン。

日本のマスコミは「わかりやすさ」を求めるあまりに物事をあまりに単純化しすぎるし、国民性かそのほうが評価されるきらいがある。

単純化するということは非常に大事なことだが、思考まで単純化するのはただの馬鹿である。単純化するのであれば単純化したものを積み重ねる多角的な視点を持たなければならない。

 

例えば、若返りを図るといいながら若手を出してベテランを入れているじゃないか、なんて指摘。

もちろん、谷・長田・鴨志田の3人の年齢を単純比較すればこれはもっともであり間違いなく正しい。

しかし今巨人の中で若手の一番手は長田と同じセカンドの脇谷亮太だし、若手右腕が余りまくっているのは前述のとおり。

逆に谷の入る右外野手には矢野謙次と三浦貴とスイッチヒッターだけ。若手の出場機会を奪うというよりそもそも数が少ないというほうが正しい(前述のように支配下登録枠70名、外野手枠12〜14名と考えれば6・7名はいなきゃ内部競争にならない)、争う相手もいないようでは若手育成にも支障をきたす。

逆に仁志敏久はその若手一番手脇谷亮太のセカンド。小田嶋正邦が争うことになるだろう1・3塁でいえば李承ヨプ、吉川元浩、古城茂幸といずれも彼より年長である。

トレードという枠内だけに単純化しすぎて、選手個々人のポジションという視点をなくしていては意味がない。

 

今日の日記に関してはトレードという制度についての事を書くつもりなので、巨人についてはこの辺にしておいて。 

 

 

 

プロ野球球団において選手獲得方法は、ドラフト・トレード・FA・外国人の4つしかない。

だから例えば、FA獲得は絶対にしないとかいっている球団は、数少ない強化機会を自ら捨てている、つまり機会損失をしている事になる。

「トレード・FA・外国人なんて使わない、自前の選手を育成するだけで強くなるべきだ」なんていうのは聞こえがいいが現実は単に強化方法を狭めているだけにしか過ぎない。 

もう一歩考えよ、なぜそれらを使わないのか、金がかかるからである。じゃあ金のかからないそれらであれば、別にやっちゃいけないはずがない。FAはともかくとして金のかからないトレードや外国人という手段がないわけではない。

なぜそれらを使わないのか、自前の生え抜き選手たちが働く場所がなくなるからである。じゃあ自前の選手が全ての働き場所を埋めているか?自前の選手がいない部分に関してはこの自前の選手を押し出しているという理由はそもそも成立し得ない。

 

例えばMLBで言えばマネーボールで一躍有名となったA'sであるが、彼らがしないのは「高額」選手の獲得である。「費用のかかる選択をしない=お金をかけずに強化する」という選択であっても、それが「移籍を選択肢にいれない」という事とは違う。

彼らは毎年移籍市場では主役とまでは言わないまでもしっかり活動するし、シーズン中、特に期限ぎりぎりのトレードでは毎年のように主役となる。

トレードにはいいも悪いもない、だけど、トレードを使う球団と使わない球団にはいいも悪いもある。どちらかが良いかは言うまでもない。 

 

トレード・FA・外国人などの一連の編成外からの獲得手段については、評価すべきはその内容である。行為そのものではない。

巨人やNYYの最近の失敗でまるでそれをすること自体が間違いであるかのような考え方があるが、それはうまく扱えなかったおもちゃに対して、じゃあこのおもちゃは悪いおもちゃだと八つ当たりをする乳幼児のような思考パターンだと気づいた方がいい。

おもちゃに八つ当たりするぐらいならば、うまくそのおもちゃを使っているほかの子供を観察すべきだし、真似をしておもちゃを使えるように努力しなければならない。

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