【サッカー 清水】君泣きたもうこと無かれ (鹿島2-清水1)

 雲ひとつなく風もなく穏やかな年明けの朝とはうってかわって、ゲーム終了後は、上空をあつい雲が覆い隠す。サポーターの中に寂寥感という風が吹き抜ける。この6年間の集大成、結局はノンタイトルで終わってしまった。再びいや、みたび、シルバーコレクターなるありがたくない称号をいただくこととなった第90回天皇杯。


 


 ゲーム序盤から、ゲームメイクが全くできなかった。つい2日前にあれほど流麗たるサッカーを見せてくれたのに。真希の出来が悪い訳ではなかった。ただ、兵働1人が欠けたたでこれほどまでに機能しないものであろうか。以前清水のサッカーは箱根寄木細工と評したことがある。緻密さはどこか狂うと全くもって機能しなくなる。更にはあのような大舞台、やはり経験がものをいうのであろうか、培った経験値の差といってしまえばそれまでだが選手すべて硬くなっていたことは否めない。


 


 前半の失点はセットプレーから。それでも、鹿島に追加点を与えることなく、折り返すことができたことは、まだうちに勝機があることを物語る。


 


 後半、サイドからの攻撃が巧い具合に機能しだしだす。本田の絶妙なクロスがヨンセンの流れるようなシュートで同点に。正に流れから生れた得点。ゲーム自体も清水に傾きかける。パス廻しも、ボールに対する寄せも前半とは全く違う動き。このまま行けば逆転もあり得るような展開。


 一瞬そのような考えをした自分達の甘さ、いや高慢さを現実に引き戻したのは、ボスナーのファウル。いささか遠いところであったのでいったい何が起こったのか一瞬分からなかったゴール裏。そしてFK。野沢のFKは海人の手をかすめゴールに。


 


 結局、その後の決定機を十二分に活かせず、鹿島に時間を巧いように使われゲーム終了。今シーズン、いや6年間のケンタエスパルスの幕を閉じることとなった。


 


 表彰式は敗者にはいささかどころか非常に辛いもの。まるで針のむしろに座らされているようなもの。鹿島の歓喜が私たちに忍耐を強いる。


 


 ゴール裏にあいさつに来た選手達。その中で泣き顔で顔をはらしていた太田宏介。あの涙でもらい泣き。宏介の涙はみんなの共通の想い。君だけ泣かすようなことは絶対させない。


 


 監督にタイトルをVS無冠では終われない


 結局この戦いは試合巧者である鹿島に軍配。意識だけでは結局は勝てない事実。いや現実。今の清水に足りないもの。それは狡猾さ。


 来季は、開幕からきっと変革のため、チーム自身がその方向性を模索し続けるはず。


 流した涙がこのチームが生まれ変わるための種にならんことを願う。そして、来シーズン末にはきっと嬉し涙に変わることを願う。もう二度と選手達の悔し涙は見たくないから。


 そのためには何でもしよう。サッカーが好きだから。この街が好きだから。このチームが好きだから。


 

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