なぜ、そこまでして補強に頼る・・巨人は自分のチームの生え抜き率の低さを自覚すべき!
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舎人
2016年12月08日 05:56 visibility5888
正になり振り構わぬとはこのこと。今オフの一連の補強によって、巨人ではますます一本立ちが遅れる中堅選手がいるだろうし、完全に蓋をされてしまった若手選手もいるだろう。しかも、保険のためなのか、何もなかったら余剰戦力になることが予想されるのに獲得したのまでいる。巨人というチームを応援してきた以上、色々な時代を見てきたつもりだが、このオフの補強は常軌を逸している。 本当ならドラフトのことを話そうと思って準備してきましたが、その前に今回は巨人というチームがあまりに他の球団と違うかを考えてみたいと思います。
巨人というチームはどの球団よりも補強に貪欲で、チーム内に移籍選手や外国人の割合がやたらと多い。それは何となく皆気付いていることと思う。果たしてそれはどの程度のものなのか、下の表はその割合と生え抜き率を一覧にしたものです。
これは育成選手を除いた支配下選手の数値ですが、巨人の生え抜き率はダントツで最下位です。ブービーの阪神と12%以上数値が悪い。逆にトップは日本一の日本ハム。しかも出戻りの田中賢介を移籍に入れての数字なのです。
それどころか、今オフの補強がこのまま進むと巨人の数値はますます悪化する恐れがあります。陽の他にさらに外国人選手が一人加わり、人的補償で2名生え抜きが流出したとしたら、最悪60%割れも予想されます。こんなチームは過去に例がありませんし、大型補強をした2008年オフでもなかったことなのです。
これがもたらす影響を考えると、巨人ではドラフトで取った選手の競争が、他球団に比べ数字の分だけ劣るということです。それならば生え抜き選手の数を単純に増やせば良いと思いますが、それができない。なぜなら選手枠は70名と決まっているために、移籍選手や外国人を増やせば増やすほど生え抜き選手の数を減らさなくては行けないのです。巨人の場合、育成選手でそれを補おうとしている節がありますが、育成選手で入団してくれる選手は、どうしても支配下選手に比べれば各が落ちてしまう。
巨人にドラフトで取った選手をきちんと育てる意思が本当にあるのなら、生え抜き選手の数値を上げるべきなのです。投手はまだしも、野手を見渡すと巨人の生え抜き若手の人材の乏しさは目を覆わんばかりです。そんなところで競争は生まれないし、ますます補強に頼るしかないという負のスパイラルに陥るのです。せめて生え抜き率を70%以上に上げるべき。このままでは何のためのドラフトをしているのか本当に分からなくなる。
さらに、こういった補強が本当にチームの中で機能しているのかを考えてみたいと思います。次の表は各球団の在籍率と投手の登板率、そして、その差を一覧にしたものです。登板率が高くて在籍率が低いということは、その補強が上手く行ったということです。逆に低い場合は上手く行かなかったということ。
次に打者です。各球団の在籍率と打者の塁打率、そして、その差を一覧にしたものです。投手と同じように書く在籍者グループの貢献度が分かります。
これを見てみると、得点力のあるチーム=生え抜き率が高いということが分かります。打線というものは時間がかかっても、自前で選手を育てモノにして行くことが一番の方法だということを物語っているのです。唯一の例外は中日ですが、これは落合GMが切るだけ切ってそれに見合った対策をしなかったせいでしょう。
巨人は投手以上に生え抜き野手の割合が少なく、移籍選手に対する依存度が高いことが分かります。これは野手の育成ができなかったこともありますが、そもそもドラフトで指名する野手の数が少ないことが問題なのです。ドラフトで指名しないから補強で野手を連れてくる発想になるのか、補強で野手を連れてくるものだから、その兼ね合いで野手の指名に消極的になるのか。その辺りのことは分かりませんが、いずれにしても巨人は少しずつ生え抜き率を上げて行く努力をしなくてはいけない。石川や柿澤という若手野手がこの度、巨人の選手になりましたが、本当ならこういったクラスの野手をドラフトで指名すべきなのです。
このように巨人の生え抜き率の低さは深刻なのですが、それがもたらすマイナス面をフロントはきっと分かっていると思う。しかし、それでも巨人のフロントは補強に邁進したのだと思う。なぜだろうか?私が思うに、巨人のフロントはそういったことでしかチーム強化を評価されないことにあるのだと思う。つまり仕事をしていないと見なされるのだ。そして、まず目の前の課題がクリアされなければ、その先のことは何も存在しないという超近視感的な思考に貶められる有形無形の力があるのだと思う。それはナベツネさんたち組織のトッップの意向かもしれないし、それを望むファンの意思かもしれない。しかし、そういった意向や意思は、果たして「野球」というものを分かってのものなのか。なんだか私には、それよりもずっと浅い、野球本来の楽しさから比べたらどうでもいい‘ただの執着’のような気がしてならない。少なくともその発想からは「野球」に対する愛は感じない。
私の周りの巨人ファンはもっと単純に、ドラフトで取ってきた選手が育ち、いつしかチームに貢献する姿を見たいと思っているし、それこそが勝ち負けよりもクラブスポーツの醍醐味だと思っている。巨人にはそういったファンがいることを忘れないで欲しい。
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