侍ジャパン代表と各チームの編成からみる高卒野手の重要性
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舎人
2016年11月16日 07:00 visibility1705
巨人のドラフトについて総括をする前に、日本シリーズや侍ジャパンの試合を見て気になったこと。今年のプロ野球で象徴的だったことについて考えてみます。今年のペナントレースを制したのはパ・リーグが日本ハムで、セ・リーグが広島でした。この両リームで一人ずつ名前を挙げるとすると、日本ハムは大谷、広島は鈴木ではないかと思います。彼らは揃って高卒4年目、巨人で言えば辻と同い年になるのですが、“高卒選手は当たれば大きい”という球界の格言をその通り証明したような存在だったと思うのです。
先日まで続いていたWBCの強化試合でも高卒選手が目立ちました。29名中15名が大卒・社会人で14名が高卒選手です。しかし、こと打者においては14名中8名が打者、大谷を打者としてカウントすると15名中9名が高卒選手だったことになります。しかも、4試合全てにおいて3番から6番までのポイントゲッターに高卒選手が配置されていたのです。
侍ジャパン強化試合 代表選手29名リスト
投 手 菅野 智之 巨人 大学
投 手 宮西 尚生 日本ハム 大学
投 手 山﨑 康晃 DeNA 大学
投 手 石田 健大 DeNA 大学
投 手 大瀬良 大地 広島 大学
投 手 野村 祐輔 広島 大学
投 手 秋吉 亮 ヤクルト 社会人
投 手 増井 浩俊 日本ハム 社会人
投 手 石川 歩 ロッテ 社会人
投 手 千賀 滉大 ソフトバンク 高校
投 手 岡田 俊哉 中日 高校
投 手 大谷 翔平 日本ハム 高校
投 手 田口 麗斗 巨人 高校
投 手 藤浪 晋太郎 阪神 高校
投 手 武田 翔太 ソフトバンク 高校
捕 手 小林 誠司 巨人 大学
捕 手 大野 奨太 日本ハム 大学
捕 手 嶋 基宏 楽天 大学
内野手 菊池 涼介 広島 大学
内野手 松田 宣浩 ソフトバンク 大学
内野手 坂本 勇人 巨人 高校
内野手 山田 哲人 ヤクルト 高校
内野手 中田 翔 日本ハム 高校
内野手 中島 卓也 日本ハム 高校
外野手 秋山 翔吾 西武 大学
外野手 中村 晃 ソフトバンク 高校
外野手 筒香 嘉智 DeNA 高校
外野手 内川 聖一 ソフトバンク 高校
外野手 鈴木 誠也 広島 高校
投手 15名
大学・社会人 9名 60.0% 高校 6名 40.0%
野手 14名
大学・社会人 6名 42.9% 高校 8名 57.1%
侍ジャパン強化試合 スタメン
11月10日メキシコ戦
1 遊 坂本(高卒)
2 中 秋山(大卒)
3 二 山田(高卒)
4 一 中田(高卒)
5 左 筒香(高卒)
6 指 内川(高卒)
7 三 松田(大卒)
8 右 鈴木(高卒)
9 捕 大野(大卒)
11月11日メキシコ戦
1 三 山田(高卒)
2 二 菊池(大卒)
3 指 大谷(高卒)
4 一 中田(高卒)
5 左 筒香(高卒)
6 遊 坂本(高卒)
7 右 鈴木(高卒)
8 捕 小林(大卒)
9 中 秋山(大卒)
11月12日オランダ戦
1 中 秋山(大卒)
2 二 菊池(大卒)
3 遊 坂本(高卒)
4 一 中田(高卒)
5 左 筒香(高卒)
6 指 大谷(高卒)
7 三 松田(大卒)
8 捕 嶋 (大卒)
9 右 中村(高卒)
11月13日オランダ戦
1 中 秋山(大卒)
2 二 菊池(大卒)
3 指 山田(高卒)
4 一 中田(高卒)
5 左 筒香(高卒)
6 右 鈴木(高卒)
7 三 松田(大卒)
8 捕 大野(大卒)
9 遊 中島(高卒)
大卒選手はキャプテンシーや、チャンスメーカー、チームを下から支える縁の下の力持ち的な役割を与えられ、ポイントゲッターには高卒選手が配置してある。常勝西武がそうだったように、理想的な配置がなされていると思います。
この高卒選手たちの話はそれだけに止まりません。今年も日本一はパ・リーグに持って行かれてしまいましたが、その理由を考えるに、打線の迫力の違いが一番大きかったのではないかと思います。なぜパ・リーグの打線がセ・リーグを圧倒するようになったかを考えると、やはりドラフトでの姿勢にあったのではないかと私は考えています。それはずばりパ・リーグの各球団の方が高校生野手をどれだけ注目していたかどうかではないかということです。逆指名ドラフトが終わった2007年以降の両リーグの指名傾向を表にしてみました。
この高卒野手の重用に最も積極的だったのが日本一になった日本ハムでした。凄いチームで、基本的にサードのレアードと捕手の大野以外は高卒選手。シーズン中盤から大卒の岡の出番が増えますが、それでもスタメンに高卒選手が6名、つまりシーズンを通じて、スタメンに高卒選手を常時6名から7名を配置して戦っていたということです。ここまで極端なチームはあまりないのかもしれませんが、その日本ハムとペナントレースを戦ったソフトバンクも高卒選手を積極的に重用したチームでした。
次の表は、それぞれの各球団の得点数と総塁打数の順位、塁打の内訳、さらに各球団の塁打上位8名を列記したものです。
このような高卒選手の躍進は今のところ野手に限ったことのようです。調べてみた限り高校生投手というのはどうやら成功確率がかなり低いのです。したがって、投手に関してはそれほど高校生の方が良いと決めつける必要はないのかもしれません。しかし、こと野手に関して高卒選手は決してモノになる確率は低くないのです。特にスケールが必要とされるレギュラークラスは高卒選手の確率が高い。パ・リーグに負けないためにもセ・リーグの各球団はもっと高校生野手を指名すべきということです。
特に巨人は今年も昨年も本指名において高校生野手の指名なしというのは本当に勿体ないことをしている。確かにコマになる選手は大卒の方がいいのかもしれない。しかし、そういった考え方ではいたずらに1軍半の選手が増えるだけではないか。松井が抜けて以降、いつまで経ってもモノになった高卒選手は坂本ただ一人では困りものです。どうも国際試合が行われるたびに複雑な思いになる巨人ファンは私だけではないでしょう。
取りあえず今日はここまで。次こそ巨人のドラフトのことをまとめて行きたいと思います。では、次回も乞うご期待!
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