チャップマンの169キロに思うこと アメリカの方が球速が速く表示される理由(上)

  • 舎人
    2010年10月20日 02:58 visibility17305


今年のメジャーリーグのニュースとして驚いたことは、
WBCでも日本チームと対戦したチャップマンというキューバ出身のサウスポーが、
史上最高球速の169kmを記録したということでした。
日本でもヤクルトの由規が161kmを記録して盛り上がりましたが、それよりも8kmも速い。
まさに空前絶後のできごとであり、にわかには信じられないと言った感じです。

この169kmというのは実際はマイルでの表示であり、
3Aの試合で105マイルの表示があったということのようです。
1マイル=1.61kmとして計算すると169.05kmが記録されたということです。

米球界ではこのチャップマン以前にもストラスバーグなど、
100マイルを軽く超える速球を投げる投手はいましたし、
日本にいる私たちより特別驚くことではないのかもしれません。
クルーンの記録が161kmから162kmになったくらいの受け止められ方でしょうか・・

しかし、100マイル以上を投げた投手の中には、ランディ・ジョンソンやロジャー・クレメンスのような、
誰もが知っている超一流の投手もいれば、
マイナーでくすぶっているとんでもないノーコン投手もいる訳です。
とは言え、どんなに抜け球だろうと一度でも100マイルを記録すれば勲章のように、
その投手のスカウティングレポートに載ることになります。
メジャーにもマイナーにも米球界には100マイル投手がゴロゴロ転がっている印象ですが、
そのような肩書きを与えた方が代理人にとって選手を売り込みやすいのでしょう。
取る側としたら、そういった肩書きはよくよく見極めなければいけません。

しかし、おろかにも代理人の言葉鵜呑みにするのか、
そういったまがい物のような100マイル投手が毎年のように日本にはやってきます。
巨人にも5年ほど前にミアディッチなんて外国人投手がやって来て、
100マイル(161km)を投げるという触れ込みでしたが、
実際の球速は140km後半〜150kmといった感じのごく普通の速球投手でした。
最速も152kmだったと記憶しています。
外国人投手の多くが海を渡ると球速が5km落ちるというのは、もはや定説になっています。
































しかし、抜け球やとんでもないボール球だったとしても、
過去に160kmを投げたことは事実だとすれば、これはすごいことです。
日本人では由規しか投げた投手がいない訳ですから、
そういった100マイル投手がアメリカにはなんでそんなにたくさんいるのか?
ただ単に外国人は日本人より身体的理由で体格やバネが優れているからか?
それとも投球フォームなどの技術的な理由か?どちらも違う気がします。
なぜなら、そういった理由なら、アメリカだろうと日本だろうと、
どこで投げても球速は変わらないでしょうし、
向こうの投手が海を渡ると球速が落ちるのかが説明できないからです。

逆のことがあります。
日本の投手が海を渡るとなぜか球速が上がるという現象です。
ロッテから半ば強引な形でメジャー入りした伊良部は、
確かに過去158kmを投げ、当時の日本記録保持者でしたが、
渡米前の最終年の最速は153kmで、ほとんどの投球は150km前後でした。
それがヤンキースで投げた伊良部は初戦でいきなり99マイル(159km)を記録しています。
その他にも日本で140km前後しか投げていなかった長谷川が、
エルゼルス入りして94マイル(151km)を投げたとか、
松坂や黒田は渡米してから100マイルを記録したことがあるとか・・
同じようにメジャー入りしたほとんどの投手が、渡米前よりも速い球速表示を記録しています。
これはいったいどうしてなのでしょうか?






















私なりになぜアメリカの方が球速が速く表示される理由を考えてみたのですが・・
1つはスピードガンに対する疑問があります。
日本のものに比べて向こうのものは甘く表示されるような気がします。
現横浜の寺原が日南学園時代、甲子園で158kmを出して一躍注目されましたが、
これはアトランタ・ブレーブスのスカウトのスピードガンが記録したもので、
その時の投球がテレビの放送では154kmと表示されていたようです。

球場によって甘かったり辛かったりする話はありますが、
神宮球場や甲子園、横浜スタジアムなどはかなり甘めな感じがします。
神宮球場と東京ドームでは感覚として約3〜4kmの差があるように感じますが、
その日本で一番甘いと思われる神宮球場並みに、メジャーのスピードガンは甘いのかもしれません。

もちろんアメリカにも辛い球速表示の球場もあれば、甘い球速表示の球場もあるのでしょう。
それを裏付ける理由としてメジャーに渡った日本人投手の最高球速は、
渡米前と後では、渡米後の方がはるかに上だったとしても、
平均球速の点ではアップするとは言っても3km程度でそう大して変わらないそうです。
と言うことは、アメリカの球場の中に、どこか突出した球速表示をする球場があり、
そこでの球速表示が平均球速を押し上げているのではないか?
そこは日本の神宮球場以上にとんでもなく甘い球速表示が出て、
そこでの球速表示がクローズアップされ話題になっているのかもしれません。

もう1つ思い付く理由として、マウンドの固さの違いです。
日本のマウンドに比べてアメリカのものは非常に固いそうです。
WBCで向こうの球場で投げたダルビッシュは、その方が球速が上がったと話しています。
ダルビッシュは韓国との決勝戦で161kmを記録しましたが、
これはそういったマウンドの固さによるものだったのかもしれません。

しかし、これらの理由が正しかったとしてもチャップマンの出した169kmという球速は、
それだけではまだまだ説明できないほど速いことに変わりません。

まだ他に理由があるのでしょうか・・
その説明になるかもしれないことが、創刊当時の雑誌「野球小僧」に載っていました。

(次回に続く)






































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