読んでみた~『大戦前夜のベーブ・ルース』
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仲本
2014年01月26日 22:08 visibility299
春の選抜出場校も決まり、ラボの中でも珍しいとされる高校ネタ担当のわたしも、のんびりしてはいられないはずなのですが…、伊勢高校残念でしたね(´・ω・`)。
で、この前の伊勢放浪のとき、電車の都合で出発まで1時間ほど待ち時間があったので、近鉄難波駅そばの書店をのぞいてみました。だいたい書店で目をつけておいて結局は図書館で借りることが多いのですが、伊勢に行ってみたら昔の日米野球ネタを拾ったので、大阪に戻ると同じ書店に戻って思い切ってお買い上げとなったものです。というわけでこの前の沢村栄治ネタはこの本も参考にしています。
ベーブ・ルースをはじめ、のちに殿堂入りする9名を含む名だたる米国選手団がやってきたのは1934(昭和9)年のこと。近現代史はわたしなどでは手に余るのですが、とにかくこのころには日本は国際聯盟も脱退し、「栄光ある孤立」の道をたどっていたのです。軍縮交渉もこじれ、米国との関係も決して良好とは言えませんでした。
しかし、一方では人々はまだある意味無邪気でした。到着した横浜港で、東京駅で、銀座の目抜き通りで、鳴り物入りでやってきた米国選手団を「万歳、万歳」の歓呼で迎えます。スタンドを埋めた観衆が見たかったもの、それはなによりも”野球王”ベーブ・ルース率いる米国選手たちのホームランだったのです。全日本チームは15戦を戦って連戦連敗、二けた失点も8試合ありました。日本サイドにしてみればボロ負けと言ってもいいシリーズでした。そう、1試合を除いては―。この「奇跡の一戦」が、やがて「米国何するものぞ」の機運に変わっていくシンボルの一つになったと著者は言います。
そして、両国民が愛する野球をもってしても、やがて来る戦争を止めることはできませんでした。
タイトルからも予想がつく通り、単なる「日米野球顛末記」では終わりません。ところどころに当時の情勢が挟み込まれます。向こうの人が書いたものですから、日本人ならこうは書かないし書けないだろうな、という部分もあります。日米の野球観の違いなども垣間見られます。いろいろほかに調べてみたくなるという意味で言えば、勉強になるかも。
(参考:『大戦前夜のベーブ・ルース』ロバート・K・フィッツ(著)、山田美明(訳)/原書房/2013)
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