夏の甲子園〜決勝その2(決着)
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仲本
2010年08月22日 18:53 visibility249
「袖すりあうも多生の縁」などという。この日のように大入りの試合だと隣にどういう人が座るかというのが意外に気になるものなのだが、右隣は60を過ぎたあたりの恰幅のいいおっちゃんだった。なにしろ試合開始までの待ち時間が長く、今日はどこからやってきたのかとか観戦は何度目だとか話しかけられた。おっちゃんは嫁と孫と3人で来ているのだがごらんのとおり席がないので2人は3段上にいるという。ほれ、あそこだよ。「大阪桐蔭の決勝のときはアルプス席で見たんやけどなあ」、おっちゃんの家は大阪桐蔭の近くなのだそうだ。「へえぇ〜」。こういうのも、決勝戦ならではかもしれない。左隣は70は超えていようかという麦わら帽にタオルの痩身のおじいさん。始終下を向いてイヤホンラジオを聴いている様子だ。(失礼ながら)この年齢でこの暑さの中での外野席観戦、これは将来真似できないかもしれないなあ…。
ゲームは4回の裏に移る。
スクイズを外しておきながら三塁悪送球で2点目献上のシーンが試合の流れを決めたような気もするが、この回の打撃をみるとこのプレーがなくても興南打線はそのうち一二三投手から点をとれていただろう。右打者がセカンドの左を抜いてセンター前という打球が3本。左打者が引っ張ってライト方向へ長打2本。同じところを打球が抜くのは対策がしっかりできている証拠だ。打者一巡、4番眞榮平の打球がライト線を破ったとき、「ふわあああ」という声が左隣で上がった。…、よかった、じいさん生きてたのか(こら)。
しょうもない横やりが入った「ハイサイおじさん」も先制タイムリーのあとは4回の攻撃中アルプススタンドからひっきりなしに演奏された。どうせ今ごろ規制したところで、沖縄水産の2年連続準優勝とか、沖縄尚学の春初優勝の映像が出れば流れてくるに決まっているのである(甲子園歴史館でもこの映像はたぶん見られたはずだ)。自粛なんぞくそくらえだ。
投書氏はどうやら世論を読み誤ったようだな (キリッ
3点くらいなら東海大相模もワンチャンスでひっくり返す力はあったと思うが、相手打線に8安打7点のつるべ打ちを見せつけられてはたまらない。右隣のおっちゃんがつぶやく。「兄ちゃん、今年はやっぱりこういう試合になるんかのう」「そうですね〜」。島袋投手も万全だとは言えなかっただろうが、結局連打をほとんど許さなかった。自身は6回にタイムリーを放った。つけていたスコアを見ると、これで先発全員安打になっていた。
東海大相模は7回、一二三投手をマウンドから下げ、二番手・江川投手を送った。この投手も右のサイド。本格派右腕のエースがサイドに転向したおかげで同じ投げ方の投手が二人そろってしまったことになる。これでは代えづらかったかもしれない。
逆に島袋投手に少し気の毒だったのは、優勝がかかった試合で、大差のゲームであってもマウンドを下ろすのが難しくなってしまったこと。普通の試合なら完投させずとも、という展開だったが、結局この日も120球投げた。夏の甲子園大会、通算では783球だそうだ。
試合終了後、いったん球場から出た。とにかく水分と昼飯である。表彰式は食堂でラーメンをすすりながらテレビで見た。再び球場前に戻ると、セレモニーはほぼ終了したようだ。高校生たちの「蛍の光」の合唱が聞こえてくる。入道雲の形が崩れて、空がなんとなく曇ってきた。暑さは続くが、季節は移ろう。
(球場外にある野球塔の「歴代優勝校」プレート。春夏ともに「興南」の名が並ぶことになる)
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