サッカーの言霊 其の弐「日本から崔龍珠は生まれるのか」

  • 2008年01月20日 21:19 visibility1731


「なぜ日本にストライカーが少ないのか?いろいろな理由があると思うけど、 僕がJリーグでプレーしながら感じたのはまず、日本独特の価値観というか、育成環境も原因の一つだということだ。J時代はジュニアユースの練習や試合を見る機会もあったが、うまい選手は決まって中盤で、彼らを中心にチームが回っていた。FWはターゲットマンという一つのパーツに過ぎない印象を受けた。韓国では全く逆。FWがチームの中心で、うまい選手は即座に最前線行きさ。そして、そこから徹底的に、点取り屋として鍛えられていく。敗北が許されない苛酷な環境で下で、強さ、速さ、勝負根性を叩き込まれるわけだ。」
崔龍珠(チェ・ヨンス)元韓国代表FW・現FCソウルコーチ  Sportiva1月号より  



今日の産経新聞のスポーツ面を読んでいたら、


岡田ジャパンの合宿の記事が出ていたので興味深く読んだ。システムは4−3−3。センターフォワードの最有力は高原で決まりらしいが、生き残りをかけて、巻が気を吐き、練習試合でも2得点を上げたとか。

「高原とはできることが違うし、僕は僕の出来ることをしたい」


なんか違うなあと、このコメントを読んで違和感を感じたのは、
最近読んだ、このチェ・ヨンスのコメントが頭に残っていたからだ。


 

日本代表に「決定力不足」が声高に叫ばれるようになってから久しい。
ていうか、おそらく叫ばれなかった代表の時代はなかったんじゃないかな、とすら思う。
釜本さんがいた時代は違うのかもしれないけど。


 
何でもかんでも敗戦の原因を「決定力不足」で片付けるテレビメディアの手法は好きじゃない。でも決定機をたくさん作っておきながらFWがきっちり決められないのははっきり言ってFWの責任だと思うし、実際声に出して責任を追及すべきだ。ゴールを決めれば英雄、外せば極悪人。FWてのはそういうポジションだし、その覚悟がなければ、やってはいけないポジションだと思う。 

チームの中でもメディアの中でもサポーターの中でも、その辺を曖昧にして
責任追及を避けて、人間関係に波風を立てないようにする。
そういうご経験、みなさんも会社や学校であるのではないですか。



これはもはや日本人の体質なんだろうな、と思う。


「和をもって貴しと為す」みたいなね。
聖徳太子の時代から延々と続く日本人の特質なんだろうな。
 



チェヨンスは雑誌の中でも現役時代さながらのギラギラした
目を光らせながらさらにこう言う。「日本のFWは練習中はおろか本番の試合でも決定機にシュートを外しても平然としているところがあった。内心では悔しがっているようにみえるがその表情はチャンスをふいにした責任を痛感しているようには見えなかった同僚たちも「次決めればいい」と淡白に受け流していたけど、そんなぬるま湯じみた雰囲気で、本物の点取り屋が育つはずがない。」 

かつてワールドカップフランス大会のアジア予選で、日本にとって最も危険で恐ろしかった、この元韓国代表FWが、日本で唯一認めているFWがジュビロ磐田で一緒にプレーしたゴン中山だと言う。
「ゴンさんは365日24時間、点取り屋として生きている」と。 

実は、巻誠一郎もジェフ時代に一緒にプレーしてかなり期待していたらしい。
でも今は、代表に入ってメディアにチヤホヤされ、チームでレギュラーが保証されて今は成長が止まってしまった、とチェはとても失望している、という。


 

高原も現在28歳。次の2010年の南アフリカ大会の時点で30歳。
ストライカーとして一番いい時期は過ぎているかもしれない。今こそ高原の座を奪うFWが出てきて欲しい。巻は今のところその最有力候補であることは間違いない。 

チェは最後にこう付け加えている。
「日本が今より強くなるためにはFWが強力になる必要があるが、日本ではメディアにチヤホヤされるし、外国人FWが幅を利かせているから出番も限られてしまう。だから日本人FWにはもっと海外に出て過酷な状況で揉まれろ、とアドバイスしたいね。もちろん韓国だっていい。巻に一度ソウルに練習に来いと伝えてくれ。俺はいつでも大歓迎だとね(笑い)」 

巻さん。移籍するならFCソウルはどうですか。
チェヨンスの下で修行して、高原と真っ向から勝負できる「点取り屋」になって帰ってきてくれないだろうか。
「高原から絶対ポジションを奪ってやる」くらいの勝気なコメントの出来るFWに。■


チェも私も厳しいこと言うのは期待の現われです。どうか小さくまとまらずに、粗くてもギラギラした目をしたチェヨンスみたいな「点取り屋」になって下さい。


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