「おおきく振りかぶって」の舞台訪問 その2 川越初雁球場

  • Mr.black
    2013年04月19日 10:08 visibility3015

前回の続きです。

初戦(2回戦)で桐青高校に勝った西浦高校が3回戦を戦った場所として描かれたのが「川越初雁球場」です。

 

朝霞駅から東武東上線に乗車して「川越駅」で下車。東口の7番乗り場からバスに乗って「市役所前」停留所で下車。(乗車10~15分程度。180円。2013年4月現在)

停留所から徒歩10分程度で着きます。市役所前から球場の照明塔が見えますので方向を誤ることはないと思います。

路線バスとは別にシャトルバスが出されていて、そちらは球場のすぐ近くまで行くのですが、便数が少ないので試合時間とタイミングが合わないこともあります。今回は路線バスを利用。

 

 

球場のすぐ西隣には川越城の本丸御殿があります。この川越という町は江戸時代の街並みが所々残された風情のある土地のようです。今回は時間が無かったので周囲を散策出来なかったのが残念です。

ところで今回取り上げる初雁球場ですが、私が過去に訪れた球場の中でも何本かの指に入るくらい非常に珍しい構造の球場でした。

 

 

 

その鍵は前述の「川越城本丸御殿」にあります。御殿のすぐ横にあるということはこの初雁球場は川越城の敷地の一角に作られたということです。

おそらく元々の地形をなるべく生かすように、「球場を敷地の形状に無理やりはめ込んだ」のではないかと思います。

 

↑ これは球場正面口。本丸御殿と同じ路面で、この周辺は駐車場になっています。

写真ではスタンドが見えませんね。つまりスタンドとグランドは下に掘り下げてあるのです。おそらくグランドの辺りは昔は斜面だったのではないかと思います。そこを掘り下げて平らにしてグランドを作ったのではないかと個人的に推測しています。

 

 

唯一路面から上にあるスタンド。バックネット裏の3塁寄りのところです。右の四角いのはSBOカウントランプの裏側です。

 

 

中に入るとこんなスタンド。内野は全て長イス。右の一段高くなっているスタンドが先ほどの突き出た部分です。その左側には小さな屋根が。これで見るとこの球場はスタンドが左右非対称であることがわかります。

 

 

西浦高校は3回戦では1塁側でした。この辺りが西浦の父母会が陣取った場所。(写真は狭山経済高校)

ところで父母会の居る後方に見慣れない物が写っていますね。

 

 

なんとこれ、石灯籠です。1塁側応援席の最上段にあります。

川越城に元々あった物をそのまま残したのでしょう。しかしこういう物が場内にある野球場は初めてです。

ちなみに原作でもこの灯篭は描かれています。最初観た時、「あれ?何だ?」と驚いた記憶があります。

 

この1塁側スタンド後方にはたくさんの木々があるので夏の観戦時は木陰が出来て非常に助かると思います。(ただし鳥の糞に注意。汗)

 

 

バックネット裏~1塁側~ライト側は全て繋がっており、自由に行き来出来ます。外野は芝生席。ここにも木がたくさん植えてあるので夏は快適でしょうか?(蚊がいるかもしれませんが。)

この写真を見ると掘り下げ式であることがよくわかりますね。

 

 

しかしながら城の限られた敷地に無理やりはめ込んだ球場。やはりグランドが狭いです。

両翼91m、センター110m、と現在の基準からはかなり狭いですね。

 

 

でもグランド拡張は事実上不可能です。レフト後方はすぐ川。さらにその向こうは道路です。(赤丸部分)

なのでレフトスタンドはなく、写真のように緑の壁が建てられているだけです。

 

 

内野の客席から見るとこんな感じ。左端に車が通るのが見えていますね。

 

 

 

 

ところでこの球場の3塁側。こちらも変わった構造です。まずバックネット裏のスタンドから3塁側へは直接移動出来ません。一度場外へ出る必要があります。

そして上の3枚連続写真のように正面入口からは一旦階段を降りてスタンド外側を回り込まないといけません。

 

 

さらに座席に座る為には入場後再び階段を登るという結構面倒くさい動線です。

 

ちなみに上の写真アングルは西浦の対戦相手、崎玉高校の監督と主将が3塁側スタンドへ歩いて行くシーンとはぼ同じです。

 

 

入場がスムーズで日陰の多い1塁側と異なり、3塁側は動線が悪いわ日向がずっと続くわで選手・観客とも条件的には不利ですね。

 

 

また、3塁スタンドは途中で分断されていました。(紫の横断幕の位置)

その為、写真のような渡り通路が作ってあります。分断されているのはこの下がおそらく搬入口なのでしょう。

 

球場の収容数は1万人ちょいとのこと。立ち見スペースが結構あり、フリーな気分で観戦出来る面白い構造です。

照明は6基ありますが、やや照度は弱そうです。

 

 

センター正面はバックスクリーンの壁のみ。

スコアボードは珍しく左中間寄り。そして旗を掲げるポールが右中間寄りに独立して5本建っているという、このあたりの配置も珍しいです。

これも敷地との兼ね合いだったのでしょう。スコアボードを右中間側に持ってくるとそのぶん収容数が落ちますからね。レフトスタンドが無いので左中間側は実質デッドスペースです。だからこちら側にスコアボードがあるのだと思います。

 

「おお振り」で西浦ー崎玉戦を観ていると球場が様々なアングルで描かれていますが、どれも非常に面白い構図が出来ていて試合以外に楽しめるカットがたくさんありました。ここでは書き切れないほど現地では面白い体験が出来ます。もし行かれたら1箇所にじっとしているのではなく、場内くまなく歩くことをお勧めしたいです。

 

 

スコアボードは得点部分のみ電球式。このスタイルも最近では珍しいですね。

ただ、ボードの色があせているので表示が見づらかったです。ところで実際のスコアボードはこのように色あせたグレーですが、アニメではグリーンになっていました。これが初雁で見つけた実物と作品との相違点です。

 

メンバー表示は手動式。この日は表示なし。表示が名前上、ポジション番号下というのもあまり見ない方式です。

ジャッジランプがそれぞれ色が違うのも面白かったです。( H:青、E:赤、Fc:黄 → 通常は全て赤ですね。)

 

最後に四つおまけ。

 

 

グラ整で花井・三橋・田島のとんちんかんなやり取りがあった用具置きスペース。

3回戦は試合よりもここでのシーンが一番面白かったです。

 

 

試合後、クールダウンしている三橋と阿部の後方に描かれたお店。「小峰商店」という店名がそのまま描かれていました。マネージャーの千代ちゃんが試合後皆の分アイスを買ったのはこのお店だったのかもしれません。

 

 

球場正面口。

西浦の偵察にやってきた「美丞大(びじょうだい)狭山高校」の仲沢呂佳(ろか)コーチが試合のビデオを観ながらほくそ笑むシーンがあります。(赤丸部分に腰かけていた)

登場人物に善人が多い「おお振り」の中で最もダーティーな人間として描かれているのが呂佳コーチです。

 

 

西浦に0-8で7回コールド負けを喫してしまった崎玉高校。

試合後この場所(3塁側出入り口のすぐそば)で泣きじゃくる後輩達にチーム唯一の3年生・小山キャプテンが感謝の言葉を笑顔で述べるシーンがあります。学生スポーツは勝つことだけが全てではない、というメッセージ性のある言葉で、これも「おお振り」の魅力の一つだと考えています。

 

前回と今回はいつもと球場レポートの書き方を変えてみました。

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