私的 タイブレーク考

  • Mr.black
    2014年08月12日 10:56 visibility975

前回、「高校野球のタイブレーク導入に私は賛成派」と少し書きましたが、今回はそれについて突っ込んでみます。

なお、あくまでも私の私見であり、「これが正論だ」と主張するつもりはありません。ひとつの意見としてお読みください。そして内容は一部キツイ言葉も出てくると思いますので悪しからずご了承ください。不快になられた場合は途中でストップされて構いません。


まず賛成である理由ですが下記のようなものです。

1.今の酷暑の中で連戦や長時間の試合をさせるのはいくら鍛えている選手といえども行き過ぎであること。

2.選手だけでなく審判や応援団の健康も心配。かつては予選で亡くなった審判もいらっしゃいます。このまま漫然とやっていたらいつか同じような死者が出ると思っています。

3.異論はあるでしょうが私見として「高校野球は学生の部活のひとつにすぎない。世間やマスコミが特別化・神聖化しすぎである」ということ。

4.どんなスポーツにも「運営上の都合・事情は存在する」ということ

これらが私がタイブレーク導入容認の主旨です。(100%賛成ではなく、「容認」なのです。)


そしてタイブレーク導入反対派の意見をこれまで新聞・雑誌・ネット・TVなどで見聞するとそれらの意見はおおよそ以下のようなものでした。


A.熱戦が見られなくなる。「箕島ー星稜」や「横浜ーPL」のような熱戦が無くなるのは残念。

B.タイブレークにした途端、それまで拮抗していた試合が一気にワンサイドになったりして面白くなくなる。

C.決着のつけ方としては不完全。試合を早く終わらせて運営を楽にしようとする主催者側の一方的な都合である。

D.選手はとことん勝負して決着をつけたいはず。タイブレークでの決着は可哀想。

E.夏の炎天下で頑張る球児を見るのが感動の元。タイブレーク導入は高校野球文化の衰退になる。

ざっとこんな意見が多かったです。


あくまでも私見ですが、「タイブレーク導入は主催者側の一方的な都合」と言いながら反対派の意見の主流である「熱戦を見たい。感動したい」というのは見る側の一方的な都合じゃないのか?と思っています。上記のA、B、Eなどはその最たるものです。

また、「E」の「高校野球文化の衰退」は意味不明な主張に思えます。


そして「タイブレークは決着のつけ方としては不完全。選手が可哀想」という意見があります。

私もこの点については一応賛成です。しかし「ならば他のスポーツではどうだろうか?」と考えた場合、「他競技だって100%納得する決着方法ばかりではない」ということが判明するのでこの点だけをもってタイブレーク反対とはなりません。


たとえばサッカー。同点の場合はPK戦で決着です。あくまでも個人的な考えですが、「PKはタイブレークよりもひどい決着のつけ方」だと思っています。サッカーもとことん決着をつけるのならば「どちらかが1点取るまでエンドレスで試合続行」しなければいけません。

でも実際には選手の体力面も考慮して世界中で幅広くPK戦が行われ、それに対してどこからも文句は出ていません。内心不満を持っているサッカーファンはいるでしょうが、既にルールとして浸透しているので「それが当たり前」になっているのだと考えられます。ルールや運営なんてそんなものだと思っています。


高校のラグビーは更にひどい決着です。同点で同トライ数だった場合は「抽選」で決着をつけます。(高校以外では色々な決着方法があるようですが。)


ところで今回のタイブレーク反対派の意見として時々「タイブレークにするくらいならばいっそのこと抽選かジャンケンで決めればいい」なんて極論もありました。それが一般人だけでなく某野球雑誌の編集長までがそんな意見を出していました。その御方は「タイブレークなんて話にならない」とも主張していました。

「タイブレークは変則ながら一応野球の形での決着。それに比べてジャンケンや抽選で決着なんてその方が遥かに選手がかわいそうだ」と私は思うのですがね。事実高校ラグビーで抽選決着が行われた時、負けた方の選手が全員フィールドに崩れ落ちて号泣している姿を見て「あんまりだ。他に方法は無いのか?」と思った経験があります。


タイブレーク反対派はタイブレークの試合を実際に何度も見ているのだろうか?

タイブレークはジャンケン・抽選での決着よりも劣る方法だろうか?

大学や社会人野球では普通に行われるタイブレークが何故高校野球でだけ否定されないといけないのか?

甲子園を何日も押さえる費用は莫大。運営上の都合があるのはやむを得ないこと。それが極悪のような言われ方をするのはどうか?もし引き分け再試合や雨天中止が続いて大会期間内に決勝が行われなくて「両校優勝」とか「4校優勝」なんてなったらどう思うのか?

今のまま漫然と行って将来的に選手・審判・応援団などに熱中症による死者・重篤者などが出たらどうするのか?

タイブレーク反対派はならば「延長15回打ち切り、後日16回から再開」には賛成?反対?

他にも考えればいろんな疑問が出てきます。


個人的には「決着のつけ方としてタイブレークは不完全であるのはたしか。でも選手の健康面や日程消化を考えれば導入せざるを得ないのではないか? 箕島ー星稜戦が行われた頃と今とでは気温が違い過ぎる。そもそもあの試合は夕方から始まり、途中からは完全なナイターだった。つまり気温が日中とはまるで違う状況で行われた。同列に考えるのはおかしいのではないか?」と思っています。そして延長戦が18回から15回に短縮されたのは「横浜ーPL戦」がきっかけであることも忘れてはならないと考えています。状況の変化に対応して運営方法を変えるのはむしろ主催者が負うべき責務です。

それが「選手の健康面に配慮しているふりをしているだけで実際には運営を楽にする為だけの方策」と一方的に切り捨てられるのは納得出来ません。


と、ここまで書いて最後に提言です。

もし下記の二つしか選択肢がなかった場合、どちらを選びますか?


1.開催は甲子園。ただし決勝以外はタイブレーク導入。

2.タイブレークは行わない。延長は15回制のまま。ただし開催は大阪ドーム。


この場ではなく、もしTVの座談会や討論会(視聴者参加型)などでこの二択を論じさせたら面白い意見が出ると思います。

その人が「選手の身体のことを考えているか?それとも見る側の都合で考えているか?既成概念・価値観で判断していないか?」などが非常にハッキリすると思います。

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