掛布二軍監督の去就に思う。

  • 虎男
    2017年09月11日 21:15 visibility434

昨日阪神球団から、掛布二軍監督の契約が満了し、来季の指揮を取らずに契約更新は無いとの公式説明があった。掛布二軍監督が2年間の「時限措置」だったことが、非常に以外だった。ただ、多くのメディアが噂している「金本監督との考え方の違い」もあったのでは?と言う推測の枠に過ぎない話も、少しひっかかる部分がある。なぜなら、阪神と言う球団の「一番のアキレス腱」と言われるのがマスコミ対策であり、懇意にしている「虎番記者にリークする内部の人間」も大勢いるとの話もまんざら噂だとは言い切れない。もし、それが本当であれば野村克也政権時代の岡田二軍監督との「馬の合わないコンビ」の再来のようなものだろう。だが、あの時は野村監督が三顧の礼をつくされてタイガースの監督就任を引き受けたから、野村政権は盤石で、二軍監督であった岡田氏は、かなり厳しい風にさらされていたのではないのかと推測がつく。

 

金本監督と掛布監督とのはっきりした違いはなんだと言えば「ウエイトトレーニング」に対しての話ではないだろうか。金本監督の言うウエイトトレーニングは「ボディビルダー」の「上辺の筋肉をつけるウエイトトレ」ではなく、ウエイトトレーニングでつける「怪我に負けないための筋肉作り」特に大腿筋をを鍛える筋トレで「スピードと瞬発力を上げ、筋肉と言う第二エンジンで体を動かし、疲労感を作らないことが目的だと昨年の就任時に明言している。今年の夏のロードですら、勝ち越してきたことが彼の指導が間違っていなかったことを証明していると言える。

 

掛布氏の考え方が、筋トレと言う部分だと思えるのは、掛布氏の現役時にはそのようなトレーニングを「必要」であるとした指導者がいなかったと推測される。当時の打撃コーチは「かっぱえびせん」の山内コーチで「シュート打ちの名人」とまで言われた内角球打ちの権威のような人だ。その人だけでなく、1976年、掛布氏の現役3年目についたのが中川トレーニングコーチで、この人は東京教育大学の出身だった。この中川トレーニングコーチが筋トレを導入していたなどと言う事は考えられない話だ。何しろ、この頃に科学的根拠に基づいたトレーニング方法など絶対に無かった。理由は「球数制限」などと言う言葉は無く、先発投手の重要性が高かったが、ようやくリリーフの存在が重視されるような時代に入りつつある過渡期であった。その証拠にこの76年に阪神のエース江夏は外野手の望月とともに南海ホークスの江本ら4人との複数トレードになるのだが、江夏は血行障害によるボールの握力低下が著しく、そのため長いイニングの投球ができないことを受け入れ先の野村は見抜いていた。だからこそ「リリーフで野球の革命を起こそうやないか。」と言う文句で新選組を好いていた江夏に「革命を起こす」と言う一言で口説き落としたと言われている。その阪神にも、当時安仁屋、山本和と言う二枚のストッパーと、江本と一緒にやってきたシュートボールを得意とした池内のセットアッパーと言う分業制が進んでいたのも見逃せない。

 

阪神球団の四藤社長が「世代の違いによる交代」と掛布二軍監督の契約更新が無いことを告げたことは、この「世代交代」と言う言葉の中から「ウエイトトレによる瞬発力とスピードをあげるための大腿筋の増強であることの効果が今年の夏のロードでしっかりと数字を出した」結果であるとし、金本路線をさらに固めることへの「宣言」のように聞こえたのだが。掛布氏に対して球団の「配慮」としてオーナー付きのポジションをつけて、背広組に据えて、労をねぎらおうということを既にアナウンスしている。ゲスなマスコミのかんぐりは、「すわっ!千葉ロッテからの監督オファーがあるのでは?」といきなり掛布氏に聞いたと言うが、伊藤監督の退団が決定しているロッテだからこそ、そういう話がありえる話なのだろうが、あれだけ長い間「虎の縦じま」以外のユニフォームに袖を簡単に通さなかった掛布しが、縦じまは同じと言えどロッテのユニフォームに簡単に袖を通すとは思えない。掛布氏の去就に幸あれと言いたい。

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