スライダー1本からの卒業

  • HiRO
    2006年08月23日 02:21 visibility180

Hawks 1 - 0 (ORIX)Buffaloes

新垣渚の生命線、スライダー。
『困ったときのスライダー』とも言われる(自分が勝手に言い続けているのだが)必殺のフィニッシングボール。
調子が悪くとも、このスライダーがキレていれば、このスライダーを頼りに切り抜け、調子が良ければ、ますます、その効果を増す渚のスライダー。逆に、このスライダーがキレない時の渚のピッチングたるや悲惨なものだった。

ここ数試合、その渚のスライダーが見る影もない。そのスライダーの鋭い曲がりが失われ、ドローンとだらしなく曲がっていく。さしずめ『しょんべんカーブ』ならぬ『しょんべんスライダー』といったところか。
しかも、すっぽ抜けも多く、とても計算できる球種ではなくなっている。
必然的に『脱スライダー』がテーマとなった。


前々々回登板では、それをストレートとフォークとの組み合わせで凌ぐも、前々回登板では、ストレート主体の組み立てで無惨に7失点KO。
そのゲーム後、スライダーが駄目なときの配球を山崎と話し合ったりもしたらしい。
前回登板ではその成果が伺えた。
幸い、というか、元々150Km/hを越えるストレートを持っている。それだけで大きな武器である。それに加えフォークもある。
スライダーが使い物にならない状態でも、ピッチングの組み立てが出来る目処がついたゲームだった。

そして、今日。
ゲーム前に斉藤投手コーチから課せられた「スライダー1本からの卒業」。
「もっとほかの変化球を使ったオーソドックスな投手になった方がいい。」

立ち上がりに不安のある渚だが、無難に立ち上がった。
やはり、往々にしてスライダーがすっぽ抜けるなか、それに頼るのではなく、エッセンスの一つとしてスライダーを織り交ぜながら、抜群のキレを魅せるストレート、そして、カットボールとフォークとの組み合わせで要所を締める渚の姿があった。

渚とデイビー、互いに譲らず、8回まで、ほぼ毎回のようにランナーを出せども得点を許さぬ投手戦。スコアボードに0がズラリと並ぶ。

そして迎えた9回。先頭の宗則がライト線へ。俊足を飛ばし3ベース。ここは犠牲フライでもいい場面。と思って観ていたら、続く田上がレフトへの大きなフライ。犠牲フライには充分。宗則がタッチアップから悠々ホームへ。
土壇場での貴重な1点。
犠牲フライでもいい、という場面で狙い通り外野フライを打てる。田上も本当にいい、計算できる戦力になった。

9回裏、馬原に繋いで、走者は出したもののゲームセット。
九共大リレーによる完封、同じく九共大出身の田上による決勝犠打による勝利。ま、今の疲れの出ている馬原に繋がずに渚に任せても良かったとは思うが。
1-0という最少得点差。この緊迫感のなかでの勝利は秋に必ず活きてくるはず。

 

そして、昨季まで、スライダーが駄目なら、どうしようもなく駄目だった渚が『脱スライダー』のテーマをクリア。
確実に一歩階段を登った渚の姿がそこにあった。

 

chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。