熱き想いが描く放物線
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HiRO
2007年06月05日 02:03 visibility94
この日は、Dragons中田が先発。今季の活躍は、前日の憲伸以上。その中田を如何に打つか。
Hawks先発杉内は、今季、自身の調子に左右されず安定して「勝つ」投球ができている。が、野球は点をとらねば勝てない。
この日の杉内は真っ直ぐのキレが抜群にいい。これはなかなか打たれまい。
4回表。
先頭立浪がスライダーを上手くレフト前へ。杉内が許した初ヒット。
この前の回、本多のライト横右中間を抜ける先制タイムリーという打球を好捕した福留がカットボールをライト前へ運び、立浪は3塁へ。無死1、3塁のピンチ。
この場面は、ウッズを高めのカットボールで三振、続く高めに強い森野には、低めを打たせ3ゴロゲッツーで理想的に無得点で切り抜ける。
5回は互いに三者凡退で切り、迎えた6回。ゲームが動く。
先に点を許したのは杉内だった。
6回表。先頭谷繁への3球目のスライダーが高めに入ってレフト前へ。井端がバスターエンドランで2ゴロ。1死2塁となって、立浪がカットボールを右中間へ運ぶ先制タイムリー。後続の福留を4-6-3のダブルプレーで仕留め、この回なんとか最少失点。
この場面、解説の若菜さんは縦のカーブを使わない、この日の山崎のリードに苦言を呈していた。この日はカットボールやスライダーの使い方にも山崎の課題があった。
この日の杉内は真っ直ぐが抜群にいい。真っ直ぐはほとんど打たれず、安打を許したのは変化球ばかり。こういうときは、変化球は見せ球でいい。4回に福留に カットボールを打たれピンチを拡げたが、調子の悪い福留にとっては、キレのあるストレートよりも変化球のほうがまだ打ちやすかったはずだ。
1点を先制された直後、6回裏の攻撃。
先頭、大村がショートへの深いゴロで内野安打となり出塁。本多は送りバント。が、中田の好フィールディングに阻まれ2塁フォースアウト。嫌なムードが漂う。
だが、続く多村がセンター前に運び、さらには信彦が四球を選んで、1死満塁。
ここで打席には小久保。
小久保は前の打席でカーブをあわやHRかというフェンス直撃2ベース。バッテリーにはその残像もあったか。初球、外への真っ直ぐのあとは小久保のウィーク ポイントであるインコース攻めを徹底。3球続けてインコース。構えた谷繁のミットより、さらにインコースへ食い込む厳しいコース。小久保もバットに当て ファールにするのが精一杯。
5球目。
やはり、インコース真っ直ぐ。が、この打席、唯一、構えたミットより甘く入ってきた。
やや肘をたたんで小久保がバットを振りぬく。
確信を得たスイングで見せる、バットを放り投げたまま高く上がった左手。ベンチに向かって拳を握って咆吼する小久保の姿。そのベンチには王監督の輝かんばかりの笑顔。
胸が熱くなる。
ああ、この熱さを持って帰ってきてくれた小久保に改めて感謝やねぇ。
値千金の逆転満塁弾!
小久保のHRに「鳥肌が立ったし、泣きそうでしたよ。感動しました。」という杉内は、9回こそ馬原に任せるも、今季ワーストの4連敗を阻止し、これ で7連勝、単独トップの9勝目。防御率1.65という数字も素晴らしい。4試合連続での連敗ストッパー。今季はチーム状態が万全でなくとも杉内のおかげで 大型連敗を免れている、といっても過言ではない。
前日の敗戦に、小久保は
「流れが悪い。こういう時は奇跡的な勝ち方をしないとムードが変わらんよ。」「あしたはボカンと打ち勝とうや。」
と語っていた。
東京での連敗中には選手だけでのミーティング。必至で流れに抗うチームの大黒柱。皆の想いをのせ有言実行の熱き放物線。
その小久保の一撃に指揮官はいう。
「のどから手が出るほどほしいものが出た。」
そして、勝ち試合では異例の試合後のミーティングを招集し、こう語る。
「こういうのを味わうためにやってるんだから、もっと熱くなって戦おう。」
若鷹たちよ、熱くなれ!
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- 事務局に通報しました。
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