トカゲの尻尾切り

  • HiRO
    2007年03月16日 02:17 visibility114

西武ライオンズが3/9に発表したアマチュア選手への現金供与。その波紋が拡がっている。

現金供与を受けた、東京ガスの木村雄太投手、そして当初は名前が伏せられていた早稲田大学3年生清水勝仁選手までが記者会見をする事態に発展した。
しかも、「本人は知らなかった」ことにしようとしていた隠匿の事実まで明らかになっている。

西武ライオンズの太田秀和オーナー代行に対して、ファンから辞任を求める罵声もあったようだが、太田オーナー代行は、自分の就任以前の前体制下の現金供与を明らかにしたに過ぎない。
何処かしらから漏れたためなのか何なのか、発表に至った経緯や裏事情は分からない。が、昨年8月に認識したというから、何故、この時期、このタイミングで発表するに至ったのか、疑問は残る。
8月というペナントレースの佳境に水を差されても嫌だが、ペナントレース開幕を間近に控えた今の時期、新たなシーズンに期待が膨らんだこの時期に水を差された感は否めない。

自分自身のことは棚に上げて根来コミッショナー代行は「徹底的にウミをを出す」として、西武に再調査を指示し、ドラフトの指名権剥奪という厳罰もほのめかしている。

が、それこそトカゲの尻尾切りだ。


この一件は、ファンならば誰もが感じているように、氷山の一角だろう。
古くからのプロ野球界と、それで利益供与を受けてきたアマチュア側、双方の根深い体質に根ざしている。アマチュア側から要求することもあるいうには、そうした行為が当たり前に行われていた実態があると思って間違いなかろう。

太田オーナー代行が辞任して解決する問題でもない。むしろ、そのきっかけが何であれ、それを明るみにしたわけだから、徹底して解明に臨んで欲しい。NPBもそうだ。ここで関係者を処分するだけなら、一場事件の時と何ら変わりない。今回の件で、会見にまで引っ張り出されて自らの非を認めた木村投手は既に謹慎処分、一方の清水選手は、学生憲章に違反したため退部処分となった。
だが、明るみに出たこの2選手の将来を奪い西武球団を処罰すれば、それで良いのか?

一場への現金供与が発覚した際には、3球団のオーナーが辞任した。とはいっても、個人ではなく企業がオーナーなのだから、そんなのは肩書きだけ、形だけのものでしかない。その形だけのオーナー処分と本人の謹慎と、そして罰則規定のない「倫理行動宣言」を採択したのみ。ナベツネが辞任したなんていっても、結局は数ヶ月で悪びれもせず会長職として復帰、事あるごとに堂々とコメントしている現実もある。(本件に関連しても、何かほざいているようだが敢えて無視する。)

今回も、西武球団や関与した2選手を厳罰に処すことで、かえってトカゲの尻尾切りで終わってしまう懸念を抱く。処罰を行うことで、この件だけで完結してしまい、残りは全て闇に葬られてしまう可能性が高いのではないか。

現役選手にも、他の球団にも、調べれば過去にこうしたケースはあるに違いない。倫理行動宣言後にもあったかもしれない。この際、12球団、現役選手、OB選手など、過去も含め、徹底的に洗い出すべきではないか。

会計上どのように処理し、幾らぐらいの金額をどのような形で渡していたのか。アマチュア選手側から要求したケースがどのくらいあるのか。もっと言うなら、毎年ドラフトで1球団あたり5〜10名を指名するなか、どのくらい数の選手にどのくらいの金額を費やしていたのか。そして、それが「球団経営に金がかかる」実態にどの程度の影響を与えているのか。
そうした全容を明らかにし、ここでウミを出し切るためにも、罰則規定もなかったわけだし、むしろ、今回までは処分を行わずに、過去も含めて洗いざらい調査の上、今後の罰則規程も含めた再発防止策を徹底する、そのほうが良いのではないか。

ドラフトのウェーバー制には賛成だが、プロとアマチュアの体質の改革と、厳罰を定めた罰則規定がない限りは、ウェーバー制を採用したところで、必ず水面下で同じようなことが起こり得る。現に、今までも希望枠以外でも「○○選手は△△以外なら進学らしい」という情報で、本命球団以外が指名を回避するケースが存在した。

今回、表沙汰になった西武ライオンズや選手達の将来を奪うだけなら、単なるスケープゴートに過ぎない。それでは、日本球界の未来は暗い。

chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。