打順の重要性。
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DIME
2008年03月23日 12:49 visibility1056
ちょっと遅くなってしまって、既に同じような発言は色んな場所で見受けられていると思いますが一応。
2番に二岡を置いて、谷佳知を下位に移したことについてです。
これに関してはニッカンスポーツが参考になる記事を書いていると思います。
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原監督08年型オーダー「2番二岡」
巨人が22日のアスレチックス戦で開幕へ「2番二岡」を起用することが21日、分かった。原辰徳監督(49)は「二岡を2番で起用します。思った以上に状態がいいし、彼が2番だといろんなことができる」と、調子の上がらない打線を1本の線につなげるための仕上げを行うつもりだ。
これまでオープン戦では谷が2番を打ってきた。チームで2本しか出ていない本塁打のうち1本を放つなど、まずまずの働きをしている。だが原監督が「一番成長した」と絶賛する亀井の成長が著しく、守備力で上回る亀井を谷が苦手としている投手の先発時などに起用したい考えを持つ。
そこで浮上したのが二岡の2番起用だった。20日のヤクルト戦での動きと、この日の練習から判断し、二岡は開幕スタメンでいけることを確信。その上で谷に代え亀井を2番で起用するとなると1番から4番まで左打者が並んでしまい、理想とするジグザグからは離れてしまう。そこで、固定できる二岡を2番にすることになった。「二岡が2番だと打線をあんまりいじらなくて済む」と原監督。メジャーとの2試合をたたき台に開幕オーダーを完成させる。
[2008年3月22日9時28分 ニッカンスポーツ]
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谷佳知を下げた第一の理由を「亀井の成長」としている部分以外は基本的に否やはありません。
外野手編でも書いたように、去年の時点で「谷佳知は危険」というのはわかっていたはず、というかそう判断できるだけの素材は全て揃っていたはずです。
後はそれをちゃんと調理できるか出来ないかの問題だけ、です。ただマスコミの多くがその目新しさから「新しい1・2番像」という偶像を巨人の優勝要因の大きな雛形としてモデリングし、それに基づいた報道をしていましたから、報道に触れすぎている人(つまりファン)は調理方法を間違う方が自然だったと思います。
結局それもあってマスコミとしては自分たちの雛形は大事ですから、「1・2番は去年のまま」という報道が良く見受けられていて、それに対して特に否定する発言もオープン戦での起用もされなかったので、首脳陣は大丈夫なんだろうかとちょっと懸念していました。
ところが、二岡が戻ってきてスタメンに入れられるようになったら即座に打順を変えてきました、それを見る限り「二番・二岡」は昨日今日思いついたものではなく、元々そういう想定はしていたのだろうと思います。とても安心しました。
亀井の成長というのは「嬉しい誤算」にすぎません、それがこの打順変更の思考のスタートではないと思います。
もし谷を上位に置いたままでスタートし、開幕からうまく滑り出せたりしますと、仮に谷が悪くてもなかなか打順を弄りづらく、対応が後手に回る危険性があります。実際「打線を弄繰り回す」というのは監督の発言にもあるとおり私も避けられるなら避けた方が良いと思います。その理由に関しては後述します。
それも考えると、開幕時点で一度去年の1・2番を壊して置くのは賛成です。壊しておいて、戻すのは簡単ですから谷の結果が良いようなら戻せば良し。それが首脳陣の頭の中だと思います。
去年のいわゆる「BIG6(まるしーBRYANさん)」において、一番弱点だったのは谷佳知です、他球団から見ればあの数字で弱みと表現すると石投げられるのかもしれませんが、事実内部ではそう言わざるを得ません。特に先に書いたとおり後半の落ち込みが激しく(長打率)、後半の数字だとどう考えても上位にはおきたくないです。
それを踏まえた上で、谷の上位互換としてラミレスを獲得したのだ、と考えればこの件は非常に簡単です。
1番から6番までで左が4人に右が2人、ジグザグスキーな監督ですから(個人的には異論がありますが長くなるのでここでは省きます)、6人を2つにわけたとして、アウトは3つずつですから「左右左+左右左」って考えれば2番と5番が右です。
んで「BIG6 Ver.07」から谷とラミレスが入れ替わって「BIG6 Ver.08」と見ると、右打者はラミレスと二岡って事になります。
どっちが5番でどっちが2番だって言われると、IsoDが低く(≒四球が少なく)、変動幅の大きい打率に出塁率が引っ張られる傾向にあるラミレスを2番にはおきたくありません、二岡にしても決して四球が選べるタイプではないのですけど、相対的にはそっちの方がいい。逆に二岡という選手は「遊撃手」というフィルターを外してしまえば長打率はけっして高い選手ではありません、対してラミレスは悪いシーズンでも二岡の生涯成績での長打率ぐらい、これらを勘案すれば二岡が2番で、ラミレスが5番と誰でも配置するのではないでしょうか。
だから、この決定はそんな驚くことではないと思いますよ、二岡が復帰すればって言う事でとっくの昔から既定路線だったと思います、むしろ二岡が復帰したにもかかわらずそうならなかった方が私は驚くべき(というか懸念するべき)だったろうと思います。
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で、ここで終わってしまうと、タイトルは何ぞやって話しになっちゃうんで続きます。
打順っていうのがいったいどれほど大事なのかっていう事に関して、私はちょっと懐疑的です。
先に断っておきますが今回の話は非常に概念的というか主観的な事を書きます、心理とかを勘案しての考えなのでどうしてもそういう話にならざるを得ません、その旨予めご承知置きください。
これはもう一昨年の話になるんですね、道作さんのところで打順について話をした覚えがあります。
まずはひとまず、道作さんのコラムを読んでいただきたいのですけど、野球のデータ好きならちらっと耳にしたことがありそうなニュースについて触れられています、打順をシミュレートしてみると最適な打順はどんなものとなるのか、というヤツです。
で、ここで道作さんの言葉を引用させていただくと、「さて、この研究の結果を仔細に見ると「あるチームでは年間10試合も勝ち負けの数が変わることが分かった。」という点から、打順の違いでは意外に得点効率の差が生じないことが分かる。」とあります。
詳しくは読んでいただきたいのですがこれは私も同感でした、投手を一番に置くとかまでも含めてシミュレートしてもこれだけしか変わらないのか、とある意味絶望的な気分になった覚えがあります、これほどまでに「選手の能力差」があったとしても勝敗が変わらない(=負けやすい)のかと。
このシミュレートを別の視点から見れば、「投手平均並に打てない打者が一番打者にいる(全体でも打てない選手により多くの打席が割り当てられる)チーム」と「普通のことをやっているチーム」と比べてもそんだけしか勝敗差が出ないのかと言える訳で、野球ってのは何て化け物だと思ったんですけど、まぁここではそっちが本題ではないので置いておきます。
で、こういう数字から見る限りでは、どうも「打順」というファクターの変数は極大と極小にあまり大きな差が無いんだろうとなというのが私の考えです。
そう考えると、私はここに大きく踏み込むべきではないと思うのです。
得点効率性の追求という観点からすれば、現在打線に対してもたれている各種の「常識」、これらの呪縛は払われるべきだと思います。
ただ現実的にそれを払うためにしなければならない犠牲=選手の意識改革etcと、今までどおりの打線と最適打線との機会損失を比較したときに犠牲のほうが非常に大きいように見えます。
つまり、労多くして功少なき道なんですよね、そちらを追求していくのは。
私だったら、その道を進めば「宝物」があるとわかっていても、自らその道には行きません、だって誰かが見つけてくれればその「宝物」は簡単に手に入ります、それから真似をすればいいだけ、パイオニアの労をいとわないのは貧乏くじを引いてるに等しいです。
胡椒交易ルートの独占ぐらいの宝物ならまた違う話なんでしょうけど。野球で言えばセイバーメトリクスの導入とかならそれぐらいの宝物だったと思います。
日本ではそういう「常識」へのとらわれは非常に大きいと思います、具体的に言えば「ニバン」だとか「ヨバン」だとかにもたれているイメージのことです。
だから他と比べてそこから得られる益は大きなものであるはずなのですが、それを差し引いてもまだ労のほうが多すぎるでしょう。
近年でそういう「常識」を脱出する打線といえるのは、2006年のヤクルト打線です、2番リグス。ただそれを形成したヤクルトに関してもその脱出方法は外国人起用だったわけで、意識改革などをうまく回避したという解釈も出来ます。
去年の巨人にしてもそういう打線にして置けばよかったのに、ムダに谷に小技を求めていたりしていてやっぱり「文化」を脱出し切れなかった。まぁデメリットを避けるためにあえて脱出しなかったと好意的解釈もできますが。
逆にそれを日本人でやろうとした広島・ブラウン監督は失敗したわけです。2006年シーズン当初、彼は打線を大きく入れ替えましたが結局は元に戻しました。その肝が2番・前田だったのですが。
ちょっと処分しちゃったので手元に無いのですが、一昨年の5月ごろの週ベで、ブラウン監督が「日本には文化として打順の居心地やこだわりがあるのかもしれない」というような発言をしていた気がします。その発言に迫るような記事ではなかったので読み飛ばしやすいですが(確か打線特集か何かだったはずです)昔のを残している方は読んでみてください、暇があれば私の方でも確認しておきます。
前田はブラウン監督が2番に置こうとした時、日本野球界全体にある「ニバン」の偶像から逃れ得なかった。ブラウン監督は彼に「ニバン」たる役割を求めたわけではないはずです、彼に「前田」足ることを求め、その「前田」に“二番目”におく価値を見出していたはずです、そこのコンセンサスをチームとして取れなかったのは広島が反省すべきところだろうと思います。
だから結局そういう「文化」を下手に弄らないようにする、或いは他球団が「常識(或いは文化)」を破壊してくれるのを待つというのが結局は一番効率がいいんじゃないでしょうか。
それが打ち破られれば、野球はまた進歩すると思います、でもそれに払われる労苦は絶対に割に合わないと思います。
だから、選手補強など他の強化手段を試しつくして、もう選べる選択肢が他に無いとかいうチーム状態であれば私はその道を進む事は否定しません。逆に他に選択肢があるのであればそっちを選べと思うのです。
いわば、マネー・ボールの先駆となったアスレチックスと同じです、手段が無いからそれをせざるを得ないのです。
そしてそれが有効だということが確認されればどうすればいいのか、それを真似すればいいのです、真似した結果、当然のごとく市場原理の中に入り込み、お金“も”ある球団が勝つようになった、って言うのが近年のMLBです。
だから、ぶっちゃけて言えば、巨人がやる必要はないです、後から猿真似して札束競争に持ち込めばいい、それが最善の選択肢です。あぁそういう活動を「巨人らしい」とか批判したいのであればとりあえずレッドソックスをこき下ろしてくださいね、先に。
レッドソックスがそれをすれば「先進的」だと褒めるのに、巨人がそれをすれば「横暴だ」と非難する。
結局はマスコミが色んな事で「手のひらを返す」事がここでも起きているだけで時系列に沿って自分たちで好き勝手に持ち上げておいて好き勝手にこき下ろしている、レッドソックスが持ち上げるフェーズにあって、巨人がこき下ろすフェーズにあるだけ、それに気づかずに踊らされている人はほんと見ていて哀れです。
巨人に関して言えばどういう結論になるかといえば、デメリットが発生しないように打線を組む=“文化としての打順の居心地やこだわり”を下手に刺激しないように組む。具体的に言えば「選手が変な気を負わなくて済む」とかを優先して考えれば良いだろうと思うんです。
「巨人の四番」が聖域だなんていうのは、個人的にはどうでもいいことだと思ってます、聖域と思いたいならご自由にどうぞ。
ただし、ことそこに入る可能性のある選手だけはその心境を考えておいた方がいい。具体的には「聖域」だと思って気負ったり何かが変わってしまう事は避けたい。
前にも書きましたが、「どんな状況であっても同じことのできる選手」が一番優れてると思います、そういう意味において「巨人の四番」だってこと程度で野球が変わってしまう選手は四番に置くべきではない。
その点で今の李承ヨプは理想的です、そういうのを右から左に流してしまって気がついたら4番にいる。2006年シーズン、巨人が無様なほど負けていた中で一人で奮闘していた姿からそうなったんだろうと思いますが、彼が4番に入った時に他の選手ほど「外国人が務めるなんて」とかアホらしい声は出てこない。外国人だとか生え抜きだとか外様だとか、名札で球が打てるなら大事にすれば良いですよ、バット以外で球を打つ方法なんて寡聞にして知りませんが。
ロッテにいたとはいえけっして活躍していたわけではなく、巨人に来てやっぱりロッテがそう判断していた通り、さっぱり左腕が打てなかった時期(06年の交流戦の頃)も我慢して使い続けた結果として、日本の野球に順応したという彼の通った道筋からしても「他から引っ張った選手」という枠組みに入れるのはふさわしいとは決していえませんしね。
私個人は「他から引っ張ること」を悪いことのように考えることがそもそも馬鹿げているというか理解できないのですけど、まぁマスコミさんとかはそういう雛形大好きですからね、そういう犬の遠吠えがないってだけでも他より楽でしょうし。
この幸運を活かさない手はないです、だから4番は彼でいいと思います、もちろん野球が変わりさえしなければ他の誰でも良いんですけどね。
他の打順にしても同じです、普通にやってくれたらそれでいいので、普通にやってくれそうな打順においといてもらえればそれでいいです、後は打てない打者に上位を打たせるとかそういう根本的な間違いさえなければいいです。
つまり「BIG6」が上位6つまでを占めていればそれでよく、その「BIG6」の中でどう配置するかというのは、あまり気にする必要はないというか、ぶっちゃけ「本人に聞いて打たせたいところに置けば?」とぐらいしか思いません(笑)。
だから「打線を弄る」と言う事に関しても、打順が変わることによって選手たちに対していらぬ精神的負担をかける可能性がありますから、マイナス要因は避けられるだけ避けるべきなので、弄くらないで済むならそっちの方が良いじゃんって思うんです。
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