放浪記長いおまけ〜初めて出会ったスポーツノンフィクション

  • 仲本
    2010年02月13日 22:29 visibility125

今日行ってきた立命館宇治高校、Mr.blackさんがコメントされていたとおり、昔は宇治高校という名前で甲子園に出場していました。昭和54年と57年の夏だそうです。出場当時の記憶は全くなかったのですが、後日思わぬところでこの学校の名前に出会ったことで、なんとなくひっかかっていました。

手元に一冊の本があります。
山際淳司『スローカーブを、もう一球』(角川文庫)、この中に「八月のカクテル光線」という短編が収められています。昭和54年の夏の甲子園、箕島高校−星稜高校の試合をめぐるお話です。その中にこんな一節がありました。星稜高校・山下監督の述懐です。
----(以下引用)----
山下監督は、金沢を出発する前、校長にベスト8まではいく、といってきた。(…中略…)
《キャプテンに、一回戦は不戦勝を引いてこい、引いてこんかったら身体中の毛を剃るぞといっておどかしたら、ホントに不戦勝を引いてきた。二回戦のときは宇治高校をひいてこいといった。京都や大阪の高校なら、遠征試合でよく対戦していたし、大体、力はわかっていた。だから近畿勢と当たりたかったんです。そう思いながら、宿で”宇治金時”のアイスキャンディーをしゃぶっていたら、突然ひらめいたんですね。二回戦は宇治や!そしたら、その通りになった》
----(引用終わり)----

そんなことってあるの、と思うような話ですが、監督が言うのならたぶん本当なのでしょう(少なくとも組み合わせはそうなっている)。で、2回戦で宇治高校に思惑通りに勝って、3回戦で箕島高校と対戦することになったのだとか。個人的な話になりますが、わたしにとって「宇治高校の甲子園」はこの一節の印象がすべてなのでした。またいつ甲子園に出てくるかと思っていたら、いつのまにやら校名が変わっていました。

本筋の箕島−星稜の試合、これは今なお「甲子園史上最高の名勝負」といわれることがあります。そもそも延長18回というのが現行ルールでは実現しない。が、残念ながらわたし、小さかったため、この試合の記憶がありません。見たかもしれないし、見なかったかもしれない。

持っている本の発行年月をみると、平成元年六月発行の第十五版。当時わたしは高校生で、学校帰りに大阪難波の大型書店に立ち寄るようになっていました。たまたま手にとってパラパラとめくってみると、自分の中でも「幻の名勝負」となっていたあの試合の話だっ、と気がついて、即お買い上げだったのだと思います。思えばこれがスポーツ・ノンフィクションとの出会いの一冊となりました。


角川書店のHPを見ると「絶賛発売中」だそうで、初版発行から25年経ちましたがまだまだ版を重ねているようです。

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