「ガッツ10番」の野球場は実在するか?

  • Mr.black
    2014年05月02日 11:12 visibility2948

水島新司氏の代表作のひとつ「野球狂の詩」。

架空のプロ野球チーム東京メッツを中心に色々な選手のエピソードが描かれていましたが、特に人気が高かったのは富樫平八郎を主人公とした「10番シリーズ3部作」です。
 
そのうちの第一と第二シリーズの舞台として描かれていた野球場が「新潟第一球場」。
第一シリーズ「ウォッス10番」は高校球児だった富樫とチーム内のライバル日下部が甲子園を目指して新潟大会を戦うストーリー。その試合会場が新潟第一球場でした。
 
第二シリーズ「ガッツ10番」では東京メッツに入団した富樫が4年間の二軍暮らしを乗り越えて故郷新潟で開催された公式戦にプロ初登板。見事完投勝利を挙げて故郷に錦を飾るのですが、これも新潟第一球場。
 
水島マンガでは実在する野球場がそのまま描かれることが多いのでこの新潟の球場もそうだと思っていました。
ところが色々調べても「新潟第一球場」という名称の硬式野球場は見当たりませんでした。
 
マンガから推測出来るのは
 
「新潟市内の比較的アクセスの良さそうな場所にある」←恋人の夕子が富樫の父親の死を彼の自宅で看取った直後に球場に姿を見せている。
「高校野球のメイン会場であり、NPB公式戦も行われる球場」←高校野球の決勝戦を戦っているシーンがある。
「スタンドに屋根がある大きな球場」
 
ということ。
 
また、野球狂の詩が連載された時期から考えると場面設定は1970年代前半頃、と思われます。メッツの対戦相手・阪神の監督が金田正泰氏なので1973~4年頃?
これらから推測すると試合会場は鳥屋野球場だったと思われます。(建設されたのが1963年であり、バックネット裏に屋根がある。)
 


ただし球場の表示は「厚生年金 新潟市営鳥屋野野球場」。
この球場が過去に「新潟第一球場」という名称だったかどうか調べてみましたが、そういうことは無かったようです。(←あくまでも私の調査の範囲内でのことです。)
となると「10番シリーズ」で描かれた球場は鳥屋野をモデルにしつつも作者の創作であった可能性が高くなります。
 
「ガッツ10番」は1960~70年代あたりはNPB一軍が新潟市内で公式戦を時々開催していたことがうかがいしれるエピソードです。その後、NPBの試合会場は長岡市の悠久山球場に移行したようです。それで野茂VSイチローの対決が悠久山だったわけですね。(下記写真は悠久山)
 

 
しかしやがて設備の貧弱さ・老朽化などから新潟はNPBから敬遠されるようになり、名誉挽回の一手として建設されたのが現在のエコスタというのは既述の通り。
 
野球マンガからも各地の球場のエピソードが推察できるというのが今回のお話でした。

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