照明塔 

  • Mr.black
    2013年07月04日 09:54 visibility5024

今回は照明塔の話です。

あちこちの野球場を徘徊していると照明塔にも色々な形があるのを知ることが出来ます。

今までに見分したのを大まかに区分すると下記のようなものになります。


1.<鉄骨式>

昔からある一番オーソドックスなタイプですね。しかし近年は段々少なくなってきています。この鉄骨式にはおおよそ2パターンあります。

一つは鉄骨が垂直に組み上げられているタイプ。

もう一つは足が4本で2本が場内・残り2本が場外といういわば「乗り越えタイプ」。(ごく稀には4本とも場内というケースもありますが、通常は「乗り越え」の方が目につきます。)


垂直タイプ: 西京極(わかさスタジアム)、伊勢倉田山、駒澤、浜松など。

なお、普通は銀色やグレー塗装ですが、伊勢や駒澤はグリーン塗装、浜松はアイボリー塗装です。

 


オーソドックスな垂直鉄骨式の西京極球場(わかさスタジアム)。京都。

 


グリーン塗装の駒澤球場。東京。

 


アイボリー(クリーム色?)塗装の浜松球場。静岡。

 

乗り越えタイプ: 一番記憶にあるのはリニューアル前の甲子園と旧・広島市民球場。

このタイプは場内の支柱が死角を生み出して観戦状況は悪くなるのですが、まるで巨大な生物がスタンドを乗り越えて野球見物しているような感じがして面白かったです。(←子供の頃に抱いた印象です。笑)

 


リニューアル前の甲子園。照明塔はこのタイプの方が好きです。死角が出来るのですがね。

スタンドが低層だった頃の広島市民球場も同じような形状。(後年は2本ポール式)


2.<1本ポール式>

これが現在最も多いパターンだと思います。巨大な1本の支柱がそびえ立つ照明。おそらくは鉄の使用量が鉄骨式に比べて少なく済むのでしょう。あちこちで一番よく見かけます。

 


1本ポールの周南球場(現:津田恒美メモリアル)。山口。

ここは照明部分が縦長ですが、この形は比較的珍しいです。

よくあるパターンは横長や逆台形。

 


これが1本ポール式でよくあるパターン。横長の照明。的場池球場。福岡。

 


逆台形の舞洲スタジアム。大阪。

この形状も比較的多いです。

 


これはちょっと珍しい円形の照明。大田スタジアム。東京。

円は横に長い楕円形もあればほぼ完全な円形もあります。全般的には楕円形の方が多い印象。


3.<2本ポール式>

こちらも結構多いです。そしてこの2本ポール式は「遊び心」を取り入れているケースがよくあります。


例を挙げると

明治神宮: 逆L字形

石川県立: X字形 (実は兼六園の石灯籠をモチーフにしてある)

福山市営: H字形

岡崎市民: K字形


2本だと色々な組み合わせが考えられるので設計者が創意工夫したくなるのかもしれません。あるいは発注側からそういう案が出るのかも。

いずれにせよこれからも変わったデザインが出る可能性はあります。

 


逆L字形の明治神宮球場。

 

どうやって照明のメンテナンスをするのだろう?と思って現地で支柱をじっくり見ました。

すると縦部分の最上部付近に出入り口があり、そこからまずハシゴで上に登り、次に横に歩いて照明まで進むようになっていました。もちろん落下防止の囲いはありますが、横に歩く時は下が丸見えで怖いですね。

まあ、この作業をする人はそんなのは平気なのでしょうけれど。(高所恐怖症では絶対に無理な仕事ですね。汗)

 


X字形の石川県立球場。これはポールというよりは平べったい鉄の柱が2本組み合わさった物でした。ちなみに岡崎球場も形は実質X字形ですが、無理やり「K」と解釈しているようです。

 


これは2本ポールと1本ポール混在の珍しい構造。尾道しまなみ球場。広島。

時々このようにバッテリー間の照明とそれ以外とで大きさやデザインが変わる球場があります。

 


アルファベットの「H」形に見える福山市営球場の照明塔。広島。

照明部分がホームベース型なのも面白いですね。

 


これも面白い形。マツダスタジアム。


4.<3本ポール式>

これにもパターンはいくつかあります。支柱横並びタイプや三角柱式など。


横並び:志度(アークバリア志度)。香川。 ↓

 


三角柱式:朝霞市営。埼玉。 ↓ (部分的にしか写っていませんが。)

 


なお、三角柱式は一定間隔で補強の横柱が付けられていますので「1」の鉄骨式の変形と言えるかもしれません。

ちなみに津市営球場の支柱は4本で、この朝霞のように横に補強用の柱が一定間隔でつけてあります。これも鉄骨式の変形と言えるかもしれません。

 


部分的にしか写っていませんが、4本支柱の津市営球場。三重。 ↑

青っぽいグリーンが支柱です。形はまるで火の見やぐらのようです。


5.<建物密着式>

最近のドーム球場はこのパターンですね。球場の壁面あるいは屋根部分に付けてあります。


面白いのは千葉マリン(QVCマリン)。球場最上部に照明がグルリと取り付けてあり、屋外球場でありながら照明塔が無いという極めて珍しい構造です。海が近くて風が強いからかもしれません。

 


照明が屋根に付けてある札幌ドーム。

 


こちらも同じく屋根に設置されている西武ドーム。 



建物の壁最上部と屋根のスーパーリング最下部に照明のある大阪ドーム(京セラドーム)。


天井のスーパーリングを上下させる為に屋根上部ではなくこの位置に照明を作ったのでしょう。しかし肝心のスーパーリングはもう上下させられないようです。(汗)

 


照明が建物最上部に取り付けてあり、支柱が無い千葉マリン(QVCマリン)。非常に珍しい造りです。昔の写真なので画質が悪くてすみません。


6.<特殊もの>

 


↑ これは非常に珍しい形状の照明塔。長野オリンピックスタジアム。


 まだまだここに書いていないパターンは全国にあるかもしれません。面白い物を見つけたらまた取り上げてみます。

しかしながら「自分は野球場で試合よりも球場設備の方を重点的に見ているのか?」と我ながら疑問に感じることもあります。

試合中に球場をうろつく変なのが居たらもしかしたら私かもしれませんよ。置き引き・痴漢・盗撮魔などに間違えられないようにしないと。(汗)

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