マドンナジャパン 光のつかみ方
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Mr.black
2018年04月11日 10:59 visibility731
今回は本の紹介です。
野球のシーズンオフ期間中に見つけて読んだ一冊の本。それがタイトルにそのまま使った「マドンナジャパン 光のつかみ方」。
出版は亜紀書房。著者は長谷川晶一氏。価格は税込で1,728円(購入時価格)です。
内容は2012年に行われた第5回女子野球ワールドカップの日本代表選手たちの奮闘記です。
このW杯、第1回と第2回はアメリカが連覇。
日本は第3回で初優勝。第4回も優勝し、この第5回は3連覇が懸かった大会でした。
個人的にこの大会は「女子野球界にとって重要な転換期の大会」だったと思っています。それは以下の2点。
(1)優勝回数で本場のアメリカを抜いたこと
(2)初めてプロアマの混成チームで戦ったこと
特に(2)は重要でした。
女子プロ野球のリーグ戦は2010年にスタート。この年に第4回W杯が行われていますが、プロ側はリーグ戦に専念する為、選手を派遣せずでした。
これは無理もないこと。まだ見切り発車的にスタートしたばかりであり、まずはプロリーグを定着させることが最優先でしたからね。
それと、この2010年から2012年前半の頃までは「プロよりもアマの方が強い」とも言われていました。
当時「女子のプロ野球リーグなんて長続きするはずがない」と見られており、アマの有力選手の中では「先行きどうなるかわからないプロに飛び込んでもし短期間で解散・消滅したら今の生活基盤を失う。リスクは負えない」という危惧を持たれていたようです。
なので小西投手や厚ケ瀬(あつがせ)内野手のように日本代表経験者でプロ入りした選手が数名居たものの、代表経験者の多くはアマに留まっていました。
↑ 女子プロ創設時に入団した小西投手。投手としては創設時からただ一人残ったレジェンド。
現:京都フローラ。
↑ 同じく日本代表からプロへいち早く飛び込んだ厚ケ瀬選手。走攻守三拍子揃ったトッププレーヤーです。
現:愛知ディオーネ。
そしてプロ発足時に入団した選手の中にはブランクのあった選手・ソフト出身者・軟式出身者なども居たので、「レベルは日本代表の方が遥かに高い」とも見られていました。
この前年(2011年)に初開催された「女子野球ジャパンカップ」でプロ2チームが途中敗退し、決勝に進んだのは高校の2チームだったこともその考えに影響していたと思われます。
アマ球界・マスコミなどのこの考えを根底から覆したのが2012年に行われた「日本代表VSプロ選抜」の強化試合。ダブルヘッダーだったのですが、2試合ともプロの完勝。スコア以上に「プロとの実力差」を代表側は痛感したようです。
この強化試合の様子は本に書かれています。代表チームの主将・志村選手はあまりのショックに試合後のインタビューの場に出て来られなかったということです。
「自分たちが思っていたほどプロは甘くない。3連覇する為にはプロ選手の補強が必要」と考えが変わったアマ側。そこで6人(怪我の為、厚ケ瀬選手が辞退。最終は5人)の緊急招集を決意。史上初のプロアマ混成チームが出来上がったのです。
その後、日本は3連覇を達成するわけですが、その間のエピソードを数名の選手にスポットを当てながらレポートされているのが紹介本の内容です。また、取り上げた選手の球歴も紹介されています。
私が女子野球界にとって重要な転機と捉えているのが「プロの実力を思い知ったアマ選手がその後プロ入りを目指し始めたこと」です。
この時の代表選手の中からは後に7人がプロ入りしています。
その後も高卒・大卒の選手がプロ入りし、「短期間で解散するかも」と多少軽く見られていたプロリーグは今年で9年目に突入しています。
そして日本代表は現時点でW杯5連覇中。2012年以降はプロ選手が毎回数名参加しています。女子野球ではプロアマ間に変な垣根は存在していません。
今年の大会では6連覇を目指します。(8月にアメリカ・フロリダ州で開催予定)
「マドンナジャパン」と言うと世間ではサッカーの「なでしこジャパン」と勘違いする人がいらっしゃるかもしれません。女子サッカーに比べると女子野球の認知度はまだまだ低いです。そこでこの本を紹介しました。
最後に第5回W杯に日本代表として出場し、その後プロへ進んだ選手のごく一部を下記で紹介します。
↑ 第5回大会のMVPに輝き、後年プロ入りした磯崎投手。
現在は埼玉アストライアのエースです。
↑ 同じくその後プロ入りした里投手。
愛知ディオーネのエースであり、現在は女子プロを代表する投手になっています。
そして日本の「5連覇」達成の大きな力になった投手でもあります。
今回も代表招集がかかるでしょうか?
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