僕の甲子園物語 第12話
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こじっく
2010年05月21日 21:46 visibility136
こうして、K高校と滋賀学園の試合は延長戦に入った。
K高校は1年生投手K合君が僕の「教え子」S君をリリーフ。
対する滋賀学園のF投手は1人でマウンドを守り続ける。
両チームともランナーは出るがなかなかホームに届かない。
こうして延長15回に達した。
先攻の滋賀学園、この回も得点ならず。
15回の裏。ここでK高校も無得点なら引き分け再試合である。
F投手、球威は落ちながらも粘り強くK高校打線を抑え続ける。
K高校は決してピッチャー陣に頼ったチームではない。
1番打者のM里選手は俊足巧打でパワーもある。
7番打者のI川選手は1年生ながら強打者の雰囲気が体から滲み出ている。
そして3番打者のT山選手。
彼は本来のエース。背番号1を背負って一塁を守っている。
県大会緒戦に投げた後、打撃に専念している。
後で知ったのだが、この時はフォームを崩していたようだ。
しかし、T山選手、他の選手より頭ひとつ大きい。
当ったら・・・・飛ぶだろうな・・・・。
そして試合は15回2アウトランナーなし。
ああ、再試合か・・・・明日仕事だ。見られない。まあ、いいか。S君の投げてる姿見られたし・・・延長15回なんて滅多に見られるもんじゃない。さ、この打席見たら帰ろう・・・。
バッターは・・・T山選手である。
F投手、渾身の一球。
T山選手バット一閃。
あっ・・・。
打球が視野を大きく外れていく。
思わず見上げる僕ら。
打球は左翼席へまっしぐら。
サヨナラホームラン。
延長15回、2X−1で試合終了
T山選手のホームインの後、球場から自然に大きな拍手が巻き起こった。
この球場にいたすべての人たちが心から両軍の健闘を讃えていた。
勝ったK高校に驕りなく、負けた滋賀学園も胸を張っていた。
こんな素晴しい試合ってあるんだな・・・。
大学3年生の時、母校の投手がノーヒットノーラン達成した試合を球場で見た時「もう二度とこんな素晴しい試合を見ることはないだろう」と思った。
でも、今目の前で見た試合の感動はそれに勝るとも劣らないものだった。
こうしてK高校は県大会を勝ち進み、決勝で近江に敗れたものの2位で近畿大会に駒を進めたのだった。
2年連続のセンバツが見えてきた。
さて、近畿大会でK高校を待っていたものは・・・。
(写真と記事は関係ありません)
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