高校選手権熊本大会4回戦(2)


引き続き東稜高校会場第3試合です。


熊本学園大付属高校(白)対文徳高校(青)の対戦です。


第2試合もそうでしたが、この大会は本当に11人の勝者がいれば、その瞬間11人の敗者が出現してしまう。こんなに日頃から頑張っている選手の明暗を分けないといけないのか、と思わせる試合となりました。


 


熊本学園大付属高校は、過去は商科大附属高校時代の平成5年に全国大会出場経験のある強豪です。今年の高校総体では準々決勝で横綱の大津高校と延長戦まで入る熱戦を繰り広げるチーム。全国大会に出場しても不思議ではありません。


文徳高校は旧熊本工大高。高校野球ファンならば以前真っ青なユニフォームで甲子園に出場したのが強烈なイメージとして残っている学校。今日のサッカー部も全身青のユニフォームで登場です。サッカー部の実力としては2〜3回戦で敗退することが多いようですが、今大会は初戦でシードの熊本商業を撃破し、4回戦進出。波にのっているチームです。


 


この両チームの対戦です。



試合は前半は勢いのある文徳が主導権を握ります。


トップ・2列目の選手を中心に攻め込みますが、最後の一歩が続きません。学園大付属がGKを中心に好守で得点を許しません。


学園大付属はなかなかボールをつなげず、5番・8番の選手がサイドからドリブルで中央に持ち込むのが目立つ程度です。


前半は文徳優勢もスコアレスで終了。


 


後半に入り、やっと学園大付属のサイドの選手の攻撃参加が見られるようになり、攻勢に転じます。また、後半途中から登場した7番の選手が再三左サイドを攻め上がり、文徳ゴールを脅かします。


しかし、文徳のGKが好守を連発。何度もあったコーナーキックのピンチもことごとく跳ね返します。


試合は0−0で4回戦より10分ハーフの延長戦に入ります。



延長戦に入っても、両チーム緊迫した攻防を繰り返します。


そして、ついに延長前半6分、均衡が破れます。先制したのは文徳。右サイドを破り、サイドから11番の選手がゴールを決めついに先制します。


しかし、学園大付属にも意地があります。攻撃の手をさらに強め、文徳ゴールに襲い掛かります。セットプレーも何度と繰り返し、意地と気迫で文徳ゴールに迫ります。文徳ディフェンス陣も必死にこらえていましたが、ついに、延長後半7分、やはり右サイドを8番の選手がドリブルで駆け上がり、クロスをあげたボールのこぼれ球の混戦の中から6番の選手がゴールを決め1−1の同点に追いつきます。


その後も学園大付属は攻めましたが、結局1−1でPK戦になります。



PK戦も両チームの祈りと勝ちたいという気持ちのぶつかり合い。しかし、神はどちらかに勝利の軍配を上げなければなりません。そして、勝利の女神がほほ笑みかけたのは文徳。


最後5番手の選手が相手GKの裏をかき4−2で勝利。激戦のあとだけに喜びを爆発させます。応援団もピッチの中に乱入するなどお祭り騒ぎです。


歓喜の顔あれば悲劇の顔あり。一方の学園大付属はピッチに座り込み、憔悴しようは画像を掲載させることを阻むほどでした。挨拶もままならず、座り込む者、号泣する者、現実を受け入れられない者など…。応援団への挨拶に来る際も、PKを外した選手は控え部員に抱きかかえられ、自ら歩くことができませんでした。保護者・応援団の多くも愛する選手たちの落ち込みように涙を流し、自分たちの頑張りの報われないことに神を恨んだことでしょう。



本当にスポーツというものは怖いものです。


冒頭に書きましたが、日本の高校スポーツシステムはトーナメント方式である限り、試合ごとに勝者と敗者が生まれ、敗者がどんどん淘汰されていき、最後に1チームのみが「無敗」という栄誉を得ることになるのです。


両チームともここで消えるのは本当に惜しいチームでした。しかし、消えねばなりません。どちらかが消えねば大会が佳境に向かわないのです。


学園大付属の選手たちは本当に全国の舞台を目指していたのでしょう。その思いは、延長の残り数分気迫で同点ゴールを奪った際などに見て取ることができました。


しかし、学園大付属の選手達の負けた時の号泣や倒れぶりを見ていると、「自分たちが4回戦なんかで負けるはずがない」。「なんで負けたのだろう」という感じが見てとれました。まさに、「後悔さきに立たず」とはこのことなのでしょう。会場も文徳応援団以外は文徳がPKで勝ったことに驚いていました。ライオンじゃないですが、勝負事はやはり一戦必勝で臨まねばなるまいと強く痛感しました。


でも、痛みを伴う1敗がきっかけとなり、伝統を受け継いだ後輩たちがチームを大きく成長させることも高校生の部活動でよくある姿。先輩方の悔しさを胸に刻んで、新チームの皆様は頑張って下さい。


文徳高校は、本日準々決勝も突破してベスト4進出。こうなったら全国大会に行くしかない!。今後の健闘を期待しています。頑張って下さい!


 


※ 学校紹介


熊本学園大付属高校


1958年、熊本商科大学付属高校として開校。普通科のみ。2年時より文系・理系などコースに分かれる。ボート部が強豪。


 


文徳高校


1949年開校。崇城大学の系列校で、同大学への進学者が多い。


特進コースを持つ普通科と総合科学科がある。相撲部が強く、濱ノ島・肥後ノ海・普天王など幕内力士は同校OB。


 











































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