咆吼するエースの背中

  • HiRO
    2006年05月20日 11:25 visibility76

Hawks 6 - 3 Swallows

Tigers戦でも和巳は吼えていた。そして、この日は、交流戦絶好調のSwallows打線を前に、より一段と吼えてまくっていた。

初回に、先発館山から松中信彦がレフト方向へライナー性の8号3ラン。福岡ドームなら入ったかどうか。

その3点リードをもらってマウンドへ上がった和巳だが、この日はピリッとしない。
3回に岩村にタイムリー、4回には宮本にHRを打たれ、じわじわと詰め寄られる嫌な展開。だが、悪いなりに凌いで何とかゲームを作ることができるのが和巳の強さ。5回の満塁のピンチをも何とか凌ぐ。
決して調子良くはない、自らを鼓舞するかのように吼えまくる。

すると6回、松田のタイムリー2ベースで1点を追加、さらに的場の敬遠で2死満塁。
この日の和巳の出来を考えると代打策もあろうという場面。だが、ベンチは動かない。
和巳は食らいつくかのように2-3まで粘ると、8球目のインコースのストレートを詰まりながらもセンター前に弾き返し2点タイムリー。プロ入り初安打初打点。

何が何でもここで打つという執念をみせたこの打席。これには伏線があった。
この前の打席、和巳は見逃し三振を喫している。見逃した瞬間、悔しそうに、いや、自分に対して歯痒そうに吼える和巳。そして、さらにその直後、和巳は投手の館山にヒットを許し満塁のピンチを招いている。

悔しい見逃しの直後の、悔しい相手投手のヒット。やられたらやり返す。そんな強い気持ちがエース斉藤和巳を支えている。

自らのバットで点をとった直後の6回裏、150km/h台のストレートを連発し、3者凡退に。気迫を全身にみなぎらせ、吼えまくる、吼えまくる。
それまで140km/h台前半だったストレート。解説では、自らのタイムリーで気を良くしたと表現されていたが、それだけではない。
これこそが和巳のエースたる所以。勝ち方を知る。
点を獲った直後、試合は終盤へ向かおうかというここで相手を完膚無きまでに封じ込めておくことで、相手の反撃意欲を削ぎ、白星を手繰りよせる。流れをガッチリと鷲掴んで離さない、そのために押さえておくべきゲームのポイント。それがこのイニングだった。

このあと、7回途中に降板し、篠原、藤岡とリレー。この日は藤岡のキレが素晴らしい。7回、8回と5連続三振!
8回降雨コールドでセーブがつくオマケ付き。

和巳は7安打自責点1で5勝目。

投手斉藤和巳の、何が何でも打つという気迫、ボールに食らいつく執念。若手野手はこれを見て何を思う。

これこそが、王貞治、秋山幸二、工藤公康、小久保裕紀、城島健司、松中信彦、斉藤和巳、そして川崎宗則と、Hawksに脈々と継承される「背中」。

今日の和巳の背中に、何も感じない若手野手がいたなら、荷物をまとめて帰った方がいい。

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