遅ればせながら大田の打撃改造について・軸回転の打法とは?
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舎人
2010年06月19日 04:38 visibility8002
◆大田に原監督苦言「間違った方向に行っている」(報知新聞 平成22年6月14日)
軸回転を意識していた春季キャンプと違い、
体重を大きく移動させて打つフォームになっていたことが、
原監督には気になったよう。
「大田は世界で通用する打者に育てたいと思っているが、
間違った方向に行っている」と話した。
すでにご存知の通り、原監督の指示で、大田が打撃フォームの改造を始めました。
せっかく自信を持って打席に入れるようになったのに、
細かいことを突き詰めて“角を矯めて牛を殺す”
そんなことにならなければよいのですが・・心配は募ります。
ところで、原監督は大田に何を求めているのか?
軸足で打つとはどういうことなのか?
今日はそんな技術的なことを考えてみたいと思います。
私も専門家ではないので間違ったことを話すかもしれません。
その時はなんなりとご指摘いただけたらと思います。
昨日の報知新聞に打撃理論について解説がありました。
◆巨人と軸回転(報知新聞 平成22年6月17日)
ベルト付近を中心として体を回し、バットを内側から出す打ち方を理想とする。
右打者の場合、右足に体重を残すことで体が前に突っ込むのを防ぐ。
坂本がオープン戦で、開幕後は亀井と長野が今月3日の練習で、原監督の指導を受けた。
大田も軸回転の打法に挑戦中。ラミレスも軸回転を理想としており、
ティー打撃では体の正面(中心)の延長線上、約15センチの距離でボールを置き、
その距離を維持したまま体を回転させ、軸を意識する練習を繰り返す。
私なりの解釈で“軸回転で打つ”ということを少し注釈を加えさせていただくと・・
軸足である右バッターなら右足、左バッターなら左足を軸に、
コマのようにくるりと体を回転させて打つことです。
有名な例でいうとSFジャイアンツにいたバリー・ボンズのバッティング
Kei Igawa vs. Barry Bonds (2002)
http://www.youtube.com/watch?v=030nL4I3ju4
球をギリギリまで引き付け、軸足に体重を残し、体を回転させて打っています。
また、坂本が内角球を天才的なさばきでヒットにしていますが、
この時のバッティングもいわゆる軸足で打ったものです。
坂本勇人 サヨナラホームラン
http://www.youtube.com/watch?v=yqaJGp6OzZs
このボンズや内角をさばく時の坂本のようなバッティングが、
原監督が大田に求める世界に通用するバッティングなのだと私は思います。
しかし、軸回転で打つということは厳密に言えば、
軸足で回転して打つということではありません。
そんなことは実際にはできないからです。あくまでもその意識を持てと言うこと。
原監督が言っている通り“軸回転を意識した”バッティングなのです。
つまりバッティングとは、どんなバッターでも、
踏み出した足と軸足とのバランスの取れた部分で体を回転させるのです。
したがって、軸回転を意識して打てということはその踏み出した足と、
軸足とのバランスの取れた地点を極力手元に近い地点にするということで、
ここで右バッターなら左側に壁をつくり、体の開きを我慢しつつ回転させるということです。
なぜ手元の近くで回転をする方が良いかというと、
打者の手元で鋭く変化する変化球や伸びのある速球に対して対応力が高まるからです。
しかし、その軸回転打法は全ての打者が目指している訳ではありません。
その代表的な打者がイチローです。
メジャー移籍以降あまり顕著ではなくなりましたが、
イチローのやっていた振り子打法とは、まさに軸回転とは対局の打法で、
踏み出した足の側に壁を作り、そこで体を回転させて打っているのです。
97/07/20 イチロー2打席連続HR
http://www.youtube.com/watch?v=izlLDRgSaKA
その異端とも言うべきイチローの打法が世界で通用していることを、
原監督はどう考えているか知りたいところです。
そもそも大田のバッティングのどういった点を原監督は問題視したか。
大田は6月5日のジャイアンツ公式HPの2軍試合結果で、こんなことを言っています。
◇2打席目で11号ソロを放った大田選手
「1打席目で真っ直ぐを打っていい感じのセンターオーバー(二塁打)が打てたので、
2打席目も初球から真っ直ぐをねらっていました。
思い切りのいいスイングが出来た結果だと思います。
(現在、楽天の山崎武司選手の打法を参考に取り組んでいるが)
いい感じでバットスイングが出来ています」
私は山崎のバッティングについてほとんど知らないので調べてみました。
山崎のバッティングについて、ウィキペディアに少し解説があったので引用します。
(前略)
先発は苦手な和田毅だったが「どうせ打てないならダラダラ打ってやろう」
と体の力を抜いて(手の遊びを大きくして)打ったところ
和田相手に2打席連続本塁打という結果に繋がった
(加えて和田の配球の傾向を野村監督から指摘されたことも本塁打に繋がった)。
この力を抜いて打つ打法を山崎自身はこんにゃく打法と呼んでいた
(梨田昌孝のこんにゃく打法との繋がりは不明)。
(以下略)
youtubeで動画も・・
H-E 山�武 反撃の20号2ランホームラン 7月21日
http://www.youtube.com/watch?v=snMJd-8RhBg&feature=related
山崎武司、反撃の4号ソロ! 4月27日 ソフトバンク-楽天
http://www.youtube.com/watch?v=OeRtgK8qZhE&feature=fvsr
そのとおり、投球に合わせて柔軟にステップをしていますが、
大きな体重移動を伴い、軸回転を意識したバッティングをしていません。
次に山崎の打法を参考に取組んでいるとコメントした6月5日の試合の大田の全打席
2010年6月5日
大田泰示 右中間二塁打&11号本塁打(第一・第二打席)
http://www.youtube.com/watch?v=uxLLLYxxUhA
大田泰示 6月5日 第三・第四・第五打席
http://www.youtube.com/watch?v=rErcejq9hWA
ヒットを打った時など、しっかりと呼び込んで打っていますが、
確かに軸回転で打っている訳ではありません。
この山崎をまねた打法のどこに問題があるのか。
おそらく対応力において軸回転で打つ打法とは大きな差ができるのでしょう。
上で書きましたが、軸回転で打つことにより、
打者の手元で鋭く変化する変化球や伸びのある速球に対して、
大きな体重移動を伴うバッティングよりも上手く対処できるのです。
山崎は自分のバッティングの欠点を、長年の経験や配球読みにより補ってきました。
しかし、それができない大田は、2軍や並の投手では対応できても、
一線級の投手には対応できないだろうと原監督は危惧したんだと思います。
しかし、私が思うに大田の打撃は、原監督の理想とする形になるとは思えません。
坂本にできたものを大田に求めたのでしょうが、
坂本と大田では器用さがまるで違います。
おそらく大田は一時的に混乱し、試行錯誤の末、
結局は結果を出していた時と近い打法に戻るような気がします。
しかし、同じ結論でも、理想を求めずただ単に行き着いたものと
色々試して行き着いたものでは、間違いなく後者の方がいいと思います。
大田には取りあえず色々なことを試し、挑戦して、
その行き着いた果てに自分に合った打法を見つけ修得して欲しい。
そうやって苦労を知って手に入れたものは何よりも迷うことなく、
自分を信じて先に進むことができると思うからです。
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