☆創部120年を超える高校野球部 千葉県春季大会地区予選観戦記 ~関東最南端の甲子園出場校・安房高校~

第97回選抜高校野球大会は横浜の優勝で幕を閉じた。これで関東勢が3年連続で春を制した。関東勢といえば、春夏通算での甲子園勝利数149勝を誇り、多くのプロ野球選手を輩出している「野球王国」千葉のセンバツ優勝は過去一度もなく、夏の全国選手権大会優勝は1975年(昭和50年)の習志野が最後で、半世紀日本一がない。対照的に千葉の周辺都県は平成以降春夏ともに優勝旗を手にしている。
千葉の高校野球は公立校が牽引した歴史が長く、伝統的に投手中心の守備的なチームが多い。外野前に転がる打球を長打にする走塁など、隙を見せず相手の隙を突く緻密な野球が浸透している。それらに対抗するため、まず守備をベースにしないと千葉で勝ち上がれない背景がある。
そのような中、昨年から低反発性バットが導入されたことで、より一層、千葉県勢の緻密な野球に期待が高まる。

 

 

 

107回目の夏が来る前に、千葉の緻密な野球が形成される前の時代から活動している高校野球部の試合をできるだけ多く観ておこうと思い、千葉県春季大会第7地区予選が行われる、ゆうこりんの出身地茂原市にある長生の森公園野球場に向け、セカンドカーとして納車されたばかりのレクサスLBX“Elegant”を走らせた。
会場となっている長生の森公園野球場の最大の魅力は、外野の天然芝である。他球場ではあまり見かけない西洋芝での管理を行っており、年間通して緑の芝生でプレイできる。

 

 

 

観戦したかったのは安房高校、勿論、初めての生観戦だ。

 

千葉県立安房高校は房総半島南部の館山市に所在し、1901年(明治34年)に安房中學校として創立された歴史を有し、千葉県教育委員会の進学指導重点校、英語教育拠点校に指定されている。主な卒業生は、X JAPANのYOSHIKIとToshl、放送作家の鈴木おさむ、元乃木坂46の高山一実などである。
野球部は1901年(明治34年)に創部され、千葉県内では佐倉、県千葉、成田、銚子商に次いで、木更津、茂原樟陽と並ぶ歴史を有する。ユニフォームは純白で、胸には「安房」と書かれている。
夏の全国大会予選には、1946年(昭和21年)第28回大会予選(南関東大会千葉予選)に初参加したが、初戦の千葉商戦に棄権敗退した。
夏の全国大会予選初勝利は、1948年(昭和23年)第30回大会予選(南関東大会千葉予選)で、大多喜に 10 - 0 で勝利した。
夏の予選通算成績は136勝81敗1分である。
甲子園には2008年(平成20年)の第80回選抜高校野球大会に21世紀枠として春夏通じて初めて出場し、甲子園通算成績は1勝1敗である。


安房高校の甲子園までの道のりは長く険しかった。野球部が創部されてからの10年間で、他校との試合はたったの2試合だけであった。房州という地域性もあり近隣に対戦相手がいなかったことと、経済的な事情が考えられているが、これ以外に、野球は学生が熱中し過ぎて種々の弊害が生じているとの考えから、学校が野球を奨励しなかったことも原因の一つとして考えられている。
1915年(大正4年)、やっと対外試合3試合目が大成中(東京)と行われた。この年は第1回夏の大会が開催された年でもあり、これを契機として大飛躍をとげてもよさそうであったが、まだ房州には野球が育つ土壌がなかったためか、開花することなく20数年が過ぎ終戦の日を迎える事となる。
戦後には、1950年(昭和25年)夏の南関東大会と1976年(昭和51年)夏の千葉県大会で決勝進出を果たすも、あと一歩のところで甲子園を逃した。
そして2008年、21世紀枠として、野球部創部から実に107年目にして悲願の甲子園出場を果たし、甲子園初勝利も挙げたのである。

21世紀枠は賛否分かれるが、春の選抜大会は招待試合であり、私学優勢の昨今、長い間あと一歩で甲子園出場を逃しているこのようなチームを甲子園に招待してあげたい、とアタシは強く思っている。

 

 

 

試合の方は、近年、千葉県内有数の強豪校に数えられるようになり、今年も投打に下馬評が高い千葉学芸を相手に苦戦を強いられ、0 - 9 (7回コールド)で敗退となった。
とはいえ、第7地区の予選にも関わらず、スタンドには多くの安房高校ファンが駆けつけ、選手の一挙手一投足に大きな声援と拍手を送り続けていた。安房高校は令和になっても多くのファンに愛されるチームであった。

 

野球部創部124年、伝統ある安房高校の活躍に期待したい。

 

 

 

 

 

以上です。

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