山陰放浪記~島根・浜山球場
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仲本
2011年07月28日 21:48 visibility652
島根県の県庁所在地である松江市は県の中ではかなり東のほうにある。県内各地からの移動の便を図ってのことだろうか、夏の島根大会のメイン会場は松江にある市営球場ではなく、「宍道湖一個分西」の出雲市にある県立浜山球場だ。
今回は松江で宿泊したので、出雲の球場へ向かうために一畑電車というローカル私鉄に乗る。宍道湖の北岸に沿って松江と出雲市、そして出雲大社を結ぶ。時折、湖水と対岸にかすむ山並みというぼんやりした景色を眺めながら、2両の電車がゴトゴト走る。古い路線のわりにこれが意外にスピードを出すので結構揺れる。各駅停車で松江から約60分、終点・出雲大社駅に着いた。
…あれ?球場に行くんじゃないんですか。
球場のある浜山公園は陸上競技場や体育館なども併設された運動公園で、出雲大社駅の1駅手前の「浜山公園北口」が一応の最寄り駅だという。車窓から眺めると田んぼの向こうに照明塔が立っている。公園の周囲に木が植わっており、林のようにも見えた。ずいぶんと広そうだ。
乗ってきた電車が折り返して行ってしまった後、次の電車がくるのは約1時間後。出雲大社駅から本殿までは徒歩10分ほどだから、寄り道するのにはちょうどいい時間だ。出雲までやって来て大社にお参りしないで帰るわけにもいくまい。お願いしておきたいこともないわけではない。道中平安とか、家内安全とか、…、いやその、良縁とか。
駅から5分ほどは普通の道路だが、一つ大きな鳥居をくぐると車の入れない参道になる。さすが神様のいますところだけあって背後には緑濃い大きな山がある。ところが進んでみると本殿は60年ぶりの修理中とかですっかり仮屋に覆われていた。手前に仮の拝殿(それでも十分立派)があるのでお参りする。
(浜山公園北口駅から公園まで歩いてきたのはこんな道)
1駅とはいえ球場まで歩くのは遠くて大変そうなので予定通り次の電車で戻る。浜山公園北口は無人駅なので、車内で女性の車掌さんに切符を渡して電車を降りた。降りたのはわたし一人だけ。はるばるこんなところまで来てしまった。駅のホームに公園までの簡単な案内図が貼り付けてある。一本道だが、車がすれ違うのも難儀しそうに細い。地元の人しか歩かないようなところで、大丈夫かなあと思いながら10分ほど歩くと、2車線の道路と交差した。渡った先に公園入口が見えている。公園内に入ってからさらに5分ほど歩くと球場に着いた。入場料500円、パンフレット500円。
内野スタンドはさほど大きくない。試合開始30分前だったが両校応援団をはじめネット裏にもそこそこ人が入っていた。大社側の内野応援席とネット裏のちょうど境目あたりに席を見つけて座る。あまり見やすい場所ではないがやむを得ない。ちなみに、どこの席にも日よけはない。外野芝生席もこの日は開放されていた。ベンチやスタンドからの声を聞いていると、やはり智翠館は関西の子が結構いそうな感じだった。
(智翠館攻撃中。このときはまだまだ序盤)
試合の結果は昨日書いたとおり。3点を追う智翠館8回の攻撃は1番から。どの打席でもしっかりボールを叩いていたので大社としては要注意だったが、決め打ちの右狙いで一二塁間をきれいに抜く。2番・3番もライト前に弾き返して三連打でまず1点、犠打で送って2、3塁。2死後、6番は早いカウントから打って出て左中間を深々と破り2者が還って同点となった。ここで大社は先発したエースが降板。一塁手がリリーフに回り、次打者を外野フライに打ち取った。
9回表大社の攻撃は2死走者なしで打順は1番に戻る。この日はここまで全くタイミングが合わず三振3つに凡打1つ。この打席も2球で追い込まれ、正直期待薄だったが、カウント2-2から放った打球がなんと左中間スタンドに飛び込んだ。これで5-4、苦しみながらも流れは大社に傾いたかと思われた。
しかしその裏、智翠館の先頭の8番打者がサード右への高いバウンドのゴロ、これをはじいて一塁に生かしてしまう(記録は安打)。バントで送って打順は上位へ。1番の打球は二塁ベース寄りの低いゴロ、セカンド懸命に回りこんでグラブに当てたものの打球はセンターへ、二走が還って5-5の同点。すかさず二盗を決めた後、2番がピッチャー返し。これも飛びついたセカンドのグラブをかすめるようにしてセンター前へ転がり、バックホームも間に合わずサヨナラゲームとなった。
この日は上位打線が地力を見せた石見智翠館だったが、決勝戦の開星との対戦では逆に開星が12-2と圧倒したそうだ。
- 事務局に通報しました。
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