DH制を外させる投手、プラス消えた野球部の話(阪神リーグ2部:東地区)

  • Mr.black
    2016年04月14日 12:42 visibility1193

前回の続きです。

阪神リーグ(2部東地区)の第二試合は「大阪経済法科大ー桃山学院大戦」でした。

 

 

 

1塁側: 大阪経済法科大(以下、経法大)。

阪神リーグが3部制だった時代には3部に所属しており、統合されて以降の2部東地区では毎年苦戦が続いています。昨秋も最下位に終わりました。

 

濃いめのアイボリーユニに青基調。胸には筆記体で「Keihodai」。

 

 

3塁側: 桃山学院大(以下、桃山)。

黒・白のツートンユニ。胸には筆記体で「Momoyama」。

 

昨秋はあと一歩で優勝を逃して2位。今期こそと思っていることでしょう。

 

 

ところで今回は珍しい光景を見ました。これは桃山のスタメン。

7番に「D」とあるように阪神リーグはDH制を採用しています。

 

 

一方こちらは経法大。

何とDH制を外して投手が4番に座っています。DH制採用のリーグで投手が打席に立つシーンはあまり見かけません。

 

 

写真が4番・ピッチャーの唐立(からたち)投手。

 

 

これが打席のシーン。

「DHを外し、しかも4番を任せるとは余程打撃がいいのだろうな」と思っていましたが、実際なかなかのものでした。

一打席目はフェンスギリギリまで飛んだ大きなレフトフライ。舞洲の両翼が100mもあるので外野フライでしたが、95~97m程度のスタジアムだったらスタンドインの打球でした。しかもこの打球が非常にいい角度で上がりました。非凡な打撃センスがある選手に見えました。

 

その後注目していると、彼が打席に立つと同時にレフトとセンターがフェンス手前まで下がるのが確認出来ました。

もしかしたら投げない時は4番DH(あるいはどこかのポジション)で出ており、普段から相手に警戒されるほどの打者なのかもしれません。

実際全打席見ていると引っ張るだけでなく、巧く右にもヒットを放ち、「打者に専念すればまだ伸びるのでは?そうなれば上でも出来そうないい打者だ」と思いました。将来どこかで活躍するのを見てみたいものですが、はたしてどうなるか?

 

 

香川の県立多度津(たどつ)高校出身らしいです。

 

 

試合に話を戻すと、桃山が3回表に連打で1点先制。

ただ、その後の1死1・3塁のチャンスでセンターフライが上がった時、1塁ランナーが飛び出して併殺になってしまいました。

この1塁ランナーは2塁ベースを回ったところまで走っていたので、アウトカウントを勘違いしたのか、あるいは打球が抜けると見誤ったのかもしれません。3塁ランナーがきっちりタッチアップの準備をしていたのでこのミスがなければもう1点追加出来ていました。

そしてこのミスが後々の試合展開に大きく影響しました。

 

 

 

4回裏、経法大が反撃。満塁のチャンスになります。

 

 

ここで桃山の松田投手が痛恨のボーク。1-1の同点になりました。更に5回裏に4番のタイムリーで2-1と経法大が逆転。桃山が予想外の苦戦を強いられます。やはり点を取れる時にしっかり取っておかないと後々こういう展開になってしまいますね。

そのまま9回表まで試合は進んでいきます。

 

土壇場まで追い詰められた桃山でしたが、9回ツーアウトから9番・松原選手の起死回生の同点タイムリーが出ます。

 

 

試合は2-2のまま延長戦に。10回が終わっても決着はつかず。

 

 

ケリがついたのは11回。表に再び松原選手のタイムリーが出て、3-2と桃山が勝ち越し。

その裏をしのいで経法大を振り切りました。これで桃山が2連勝。苦しみましたが粘り勝ち。

まだリーグ戦は始まったばかりですが、予想としては関西外大と桃山学院とで優勝を争うと思われます。

一方の経法大は惜しかったです。連敗スタートですが、2試合とも接戦だったので今後の奮起を期待しています。

 

<参考資料>

阪神リーグは延長は12回で打ち切り。タイブレークはなく、12回で決着がつかなければ引き分けになります。

この場合、2部は同一カードは第2戦で終了。1部のみ勝ち点制なので第3戦が行われます。

 

 

ところで今期、阪神リーグの2部には変化がありました。

昨年までは東地区6校、西地区6校の編成でしたが、今期は東地区が5校に減っているのです。「どこが無くなったのか?」と確認したところ、意外にも東地区ではなく西地区の「神戸大学海事科学部」の名前が消えていました。

 

同校は元々は「神戸商船大」でした。

それが後年、神戸大と統合。その後は「神戸大学海事科学部」として阪神リーグに引き続き加盟していましたが、昨年度末に完全に統合されたようで、海事野球部も神戸大野球部に一本化されたとのことです。神戸大は近畿リーグに加盟しているので阪神リーグ側が1校減ることになったわけです。

ところで海事は西地区所属だったので本来ならば西地区の学校が1校減るはずなのですが、大学の所在地で東西に分けている関係上、東地区の方が1校減ることになりました。

 

おそらく今後1部2部の入れ替えが起こった場合、昇格した学校と降格した学校の所在地によっては東西の編成に変化があると思われます。

 

現在の状況

2部東地区(5校): 桃山・関西外大・摂南(せつなん)・電通・経法

2部西地区(6校): 甲南(※)・流通科学・姫路獨協(どっきょう)・兵庫・神戸国際・関西福祉

1部(6校):  大阪体大・関西国際・天理・大阪産大・帝塚山(てづかやま)・追手門(おうてもん)

 

(※): 甲南大は昨秋まで1部でしたが、その後の入れ替え戦で追手門に敗れて降格。兵庫にあるので西地区に振り分けられました。

 

旧・神戸商船大時代の1955年にリーグ戦に参加したという海事野球部。61年間も存続した野球部が統合という形で消滅したのは寂しいですが、これも時代の流れなのですね。

海事野球部の試合をほんの僅かですが観戦出来たのは貴重な思い出です。

 

 

さらば、神戸大学海事科学野球部。(写真の守備側が海事。)

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