僕の甲子園物語 第8話
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こじっく
2010年05月15日 17:20 visibility103
センバツ初出場のK高校の先発投手は・・・秋季大会で大阪桐蔭に投げ勝った軟投派左腕S田投手背番号10!!
スタンドから期待の歓声が上る。
ここ一番の勝負度胸をかわれての起用だろうか。
K高校ナインは試合前の儀式だろうか、全員が人差し指を天に突き立てベンチの前でAキャプテンに駆け寄る。18人の選手の密集はさながら火山島の噴火のようだ。
「ウォー!!」
甲子園に燃え滾る選手の雄たけびがこだました。
試合開始!
しかし、気合とは裏腹にK高校の選手の動きはどうも硬い。
先攻のK高校初回あっさり三者凡退に討ち取られるとその裏。
先頭打者を三振に斬ったものの死球、四球でバッテリーエラーが出るとノーヒットで先制点。
初出場の初戦とは言え、いくらなんでも硬すぎるでしょ・・・。
スタンドにも不安が走る。
でも最小失点で乗り切った。
すると、S田投手、吹っ切れたのか、そこから緩急自在のピッチングで旭川実業打線を翻弄する。
4回まで10連続アウト。2回の三者連続遊ゴロなんて圧巻だった。
N遊撃手をはじめ野手も堅守で応える。
まさに秋の大阪桐蔭戦の再現である(見てないが)。
打線もS田投手の好投に発奮し、3回に早々と頼れるキャプテンA選手のタイムリーで1点を返して同点とする。
こうなればK高校ペースである。
5回にS田投手が四球で出るとそこから二死でチャンスが萎んだと思ったらキャッチャーD選手が左翼に大打球を放つ。
S田投手がホームを駆け抜けた。勝ち越し!
D選手激走で三塁打!!塁上でこぶしを突き上げた。
初回のバッテリーエラーも吹き飛んだ。
旭川実業打線は反撃に出ようとするが、S田投手の80キロ台のカーブのキレが素晴しくタイミングが取れない。
それでも6,7,8回といずれも一死からヒットでランナーを出すが後続が断たれる。
最終回、旭川実業はまたしても一死から中前打でランナーが出ると次の打者も左前打でたちまち一打同点の好機を作る。まさに執念である。
S田投手もやはり疲労は隠せないか?
スタンドにも動揺が走る。この試合のクライマックス。
S田投手、二人のランナーを背負い次の打者に投げる。
バッターが白球を叩く。
打球は遊撃に転がる。
N遊撃手が鮮やかに捌いて6−4−3のダブルプレー!
歓喜の輪が広がった・・・。
「ああ・・・勝った・・・」
校歌が流れた。
TVで見たとおりの勝利の儀式。
感慨深かった。
TVでは分かりにくいが、校歌を歌う時、スタンドも一生懸命に歌っているのだ。
自分の母校でもないのに、僕もその一体感に酔いしれた。
ああ、よかった・・・。
あれ、しかしこの試合、K高校はピッチャー交代もなければ代打も出ていないぞ。わが教え子のS君は・・・。
(写真と記事は関係ありません)
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