僕の甲子園物語 第16話
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こじっく
2010年05月29日 16:50 visibility131
こうして、無念のセンバツ初戦敗退となったK高校。
僕はS君にメンタルトレーニングの本を送った・・・何と言う無神経な!と今では思いやりのない自分の行動に腹が立つが、ずっと後で礼儀正しいS君はその本のお礼を言ってくれた。
K高校はその後苦しんだ。
春の県退会はベスト8止まり。
もちろん、県の8強だから好成績には違いない。
しかしK高校の本来の力からすると不本意としか言えない。
この時の優勝は古豪の彦根東。準優勝は比叡山。
昨秋の県決勝に残った近江もK高校も決勝にたどり着けないのだから本当に高校野球は難しい。
しかし、全ての高校球児の夢は夏の選手権。
そこで頂点をきわめることができたなら、全ての敗戦は栄光への一ページに変る。
7月、甲子園に向けての県予選が開幕した。
昨秋の覇者近江、センバツ出場のK高校、春季大会の2強彦根東と比叡山、そして昨秋K高校と延長15回の死闘を繰り広げた滋賀学園も有力校に挙げられていた。
僕は2回戦が皇子山球場で開催されることを新聞で知り、駆けつけた。
河瀬高校戦。
先発投手はS君だった。
S君は終始落ち着いて試合に臨んでいたように見えた。
昨秋の方が球威があったように感じられたが、丁寧に河瀬高校の打者を打ち取っていく。
打席でも犠打をきちんと決めるなど、チームのために淡々と役割を果たしていた。
しかし、1点も失っていないのに3回で退く。
これじゃまるで調整のための登板じゃないか。
ゲームを託して欲しい・・・。
僕は残念だった。
4回からは今大会エースナンバー1を背負った2年生K合君がマウンドを引き継ぐ。
5回表に1失点。
思わぬ展開にどよめく球場。
しかし、ここは強力打線のK高校。
5回裏に3点、6回に5点・・・。終わってみれば大勝だった。
こうして、一抹の不安を見せながらも、甲子園に向けて順調に船出したK高校だった。
果たして行く手に待ち受けるライバル校を倒して甲子園にたどり着けるか・・・。
(写真と記事は関係ありません)
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