僕の甲子園物語 第17話
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こじっく
2010年05月30日 00:21 visibility139
春夏甲子園連続出場を目指すK高校は夏の予選準決勝まで勝ち進んでいた。
僕は土曜日の準決勝を見るために皇子山球場に足を運んだ。
僕の仕事は土日休みと限らないのだが、その期間はたまたま土日の休みが続き、試合を観にいけたのだ。本当に幸運だった。
準決勝の相手は春の県大会覇者彦根東高校。
文武両道の誉れ高い名門校だ。
純白ではないちょっとくすんだ色調のユニフォームが風格を感じさせた。
K高校のマウンドは背番号10のT山君。
昨秋の滋賀学園戦サヨナラホームランのヒーローだ。
他のチームメートより頭ひとつ大きい。
右のオーバースローで投げ下ろす球もまさに剛球。
うなりを上げて捕手のミットに突き刺さる。
打席に立つバッターに与える威圧感は相当のものだろう。
こういう選手がプロに行くのだろうか・・・そんなことを考えながら見ていた。
序盤から両校ともにきびきびした動きで準決勝らしい緊迫した試合になった。
5回表に彦根東高校が1点先制すると、すかさずその裏にK高校も同点に追いつく。
河瀬高校戦とよく似た展開になった。
鍔迫り合い・・・。
しかし、徐々に地力に勝るK高校が押して行く。
均衡が崩れた。
8回にK高校が2点をもぎ取る。
そのまま3−1でK高校が決勝進出を決めた。
試合後、両校に大きな拍手が贈られた。
締まった好ゲームだった。
よし!明日もう一つ勝って甲子園だ。
僕は翌日も球場で決勝戦が見られる幸運を心から嬉しく思った。
しかし、この日のゲームが、この大会のK高校のベストゲームだったと思う。
翌日は朝から蒸し暑い日だった。
薄曇の空。
僕は球場に出かける前、家の雨戸を開けた時に蜂に掌を刺されてしまった。
嫌な予感がした。
傷む手を気にしながら皇子山球場へと向かったのだった。
(写真と記事は関係ありません)
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